仕事で外回りをしておりますときに、ちょいとした加減で次の立ち寄り先に向かうまで
45分ほどの空き時間が生じてしまったのですね。
5分、10分なら自販機で冷たいものでも買って、日影でぐいっとやって過ごすこともできますが、
やはりドトール(スタバではなく)にでも入って時間調整に及ばないと熱中症になってしまうかなと。
されど、目の前はバス通りながらも駅前でもないんでないその辺りに
それらしき看板は皆目見当たらず…と思ったところで目に留まったのが「純喫茶」という文字。
懐かしいというか何というか、ついぞ見かけなくなったですよね、純喫茶。
恐る恐る近寄ってみますと、看板屋さんだか不動産屋さんだか、そうした店が並ぶ中に
完全に埋没している感じでひっそりと一軒の喫茶店があったのでありますよ。
近付くのも恐る恐るならば、入るのも恐る恐る。意を決して扉を開けて見ますと、
いやあ狭い空間に小さな4人掛けのボックス席が5つくらい詰め込まれていたでしょうか。
今日この頃ではおよそ見ることのできない店内のあり様でありました。
と、誰が先客で誰が店員か不明な男性3名がてんでばらばらに席を占めてましたが、
ふいに開いた扉の方へ一斉に視線を向け、怪訝そうな顔つき。
それでも、どうやら客らしいと踏むと、その中の一人が立ち上がって「いらっしゃい」と。
とにもかくにも、エアコンの効いた店内に落ち着き、
アイスコーヒーでひと息付いたわけですけれど、店内の男性3名、
そしてどうやら死角になっているらしい席からざらっとした声の聞こえる女性1名、
皆して高いところに据えつけられたTVを見ながら話をしているようすだと分かってきました。
で、そのときTVに映っていたのがボートレース、競艇なのですなあ。
おそらくは近所の競艇ファンのたまり場となっているのが、
この純喫茶の存続理由となっていたのかもしれませんですよ。
とまれ、ひとレースが終わってもとにかく競艇のことしかTVからは流れませんので、
こりゃあそういう専門チャンネルが存在するのだなと知るところとなったのも新鮮ながら、
釣られてぼんやり見ている側、これまでに一度も競艇を見たことの無い者にとっても、
スピード感ですとかコーナリングの妙とかの点で「これ、面白いかも…」と感じたことが
何とも新鮮であったと言いますか。
入れ込んでいる人たちはボートレースが好きなのはもちろんでしょうけれど、
それだけではなくしてやっぱりギャンブルであることを多分に、否強く意識して
勝負に見入っているものと思われます。
ですが、中には舟券(馬券に相当するもので名称は初めて知った)を買うことなしに
単純にレースとして見て楽しんでいる人がいるのかもしれませんね。
例えば適当かはともかく、F1を賭けの対象とするでなく(してる人たちもいるんでしょうな)
カーレース、カースポーツとして見て楽しんでいる人たちもいるでしょうから。
ということで、思いがけずも入り込んだ町の純喫茶で
これまた思いがけずもボートレースも見る分には面白いかもねと思ったというお話。
どこでどんな発見があるか、わかったものではありませんなあ。