毎度のごとく遅ればせながら、先月末放送分の「古典芸能への招待」で
歌舞伎「伽羅先代萩」(これで「めいぼくせんだいはぎ」と読むとは、歌舞伎のタイトルは難しい)を
見たのでありますよ。
史実である「伊達騒動」を下敷きにした物語で、
幼い主君を守りに守る乳母政岡の独擅場ともいうべき芝居でありますけれど、
これを演じたのが坂東玉三郎でありました。
Wikipediaに「政岡は女形最大の難役の一つといわれ」ると書かれておりますが、
幼君に迫る危機に際して、くわっ!と見開いた眼にはうなされそう心地がしたものです。
これまで「玉三郎、玉三郎っていったいなんの騒ぎ?」的に思っていたものの、
ようやっと「この人、すごいんじゃね?」という気がしてきましたですよ。
ところで御殿の場というひと幕では、逆臣たちに命を狙われている幼君に
めったなものを供して毒でも入っていたら一大事と政岡自らが茶釜で飯炊きする場面がでてきます。
この場面、飯の炊きあがりを勘案してか(今の炊飯器のように「早炊き」機能などないわけで)、
やたらに長い。茶の湯のしぐさを見せる場とも言えるにしても、展開がないので冗長のようにも。
それ故か「短縮されることが多い」場面であるとWikipediaにありましたですが、
ご飯をおいしくいただくには時間がかかるし、大変なのだな…てなことを改めて。
無洗米と水を電気釜に放り込んで、待つことしばし、さあ食べよ、とはいかないわけで。
水だって捻ればじゃーと出てくる時代ではありませんしね。
てなことを思い浮かべた背景としては、
またしても畑仕事の手伝いに出かけて当日の作業の説明を受ける際に、
講習会冒頭のひと事を述べる人が防災士の資格(というのがあるそうで)を持つ人で
熊本の地震を受けて東京でも他人事ではなく、いざというときのために
水とカセットコンロのボンベは買い置きしておいた方が絶対に(!)いいという話をしていたもので。
それさえあれば、ご飯が炊けるということでもありましょう。
ちなみにその方曰く、水はひとりあたり1日3リットルで一週間分の備蓄がいいとのこと。
水道がいかれた場合にはそう簡単に復旧しないだろうからと。
ひとりあたり1週間分で27リットル、これを保管するスペースの有無が問題になりますが、
いざというときのためにはそういうことらしいですよ。