見たことがないので見てみよう…とただそれだけで「メッセージ・イン・ア・ボトル」を見たですが、
今まで近寄らなかった理由のひとつはタイトルでしょうかね。


昨今(といってもこれは1999年の映画ですので10数年前ですが)

外国語をそのままカタカナ化した邦題は山のようにあって、

こればっかりをどうのこうの言えたものではありませんし、
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のようにそれだけでは少しもイメージの湧かないものに比べれば、
どの単語も基礎的な「メッセージ・イン・ア・ボトル」はイメージしやすいだけましなのかも。


ですが、逆に分かりやすい単語が並んでいるからこれでよかろう的なふうにも思えてしまい、
邦題として工夫のし甲斐があるところを端から諦めてはいないだろうかと。


似て非なるものとは知りながらも、

この映画を見て少しばかり近さを感じた「Sleepless in Seattle」には
「めぐり逢えたら」といういい邦題が付けられているではありませんか。
(下敷きに「めぐり逢い」があればこそとはしても)


とまれ、そんなこんなで初めて見るのが今頃になった「メッセージ・イン・ア・ボトル」ですけれど、
実に美しい映像でありますね。そして、何とも素敵な音楽が付いている。
ラブストーリーであることからすれば、この辺りで大きくポイントを稼いだのではないかと思いますね


メッセージ・イン・ア・ボトル [DVD]/ケビン・コスナー/ポール・ニューマン


が、(この映画に好印象をお持ちの方は先へ進まない方がよろしかろうと…)
展開があまりに見え見えですし、それ以前に都合良過ぎなのではなかろうかと。


まず、発端としてテリーサ(ロビン・ライト)が浜辺でメッセージ入りのビンを見つけるわけですね。
これが無いと全てが始まらないですから、
とにかく見知らぬ者どうしがつながる

メッセージの受け渡しがドラマティックに行われる方法として考え出されたのが、

この浜辺に漂着した着くビンという形だったのでしょう。


ですが、このメッセージを流した側であるギャレット(ケヴィン・コスナー)の立場になってみると、
亡くなった妻に対して生前には言えなかったこと、してやれなかったことなどなどを書き付けて、
伝えたい相手は間違いなく亡くなった奥さんなはずですね。


亡くなっていることを受け入れがたいままに日々を送るギャレットであるにしても、
現実に伝える術が無いことは分かっているはずではありますけれど、
伝え残しの気持ちを何とかしたい思いから手紙に書き付けるわけです。


で、その手紙も実際にはどうしようもないものながら、
どこか遠くにいる妻に届けられるかもしれないと(自分を慰められる手段として)海に流すことにする。

ここまでいいとして、それをボトルに入れて流すことにする…というのが分からないのですよね。


妻の死を受け入れかねて過ごしているとはいえ、
どうしたってその手紙が妻の手元に届くまでは考えていない。


となれば、先ほど言ったような考えでもって海へ流す際には、
それはある程度の期間波に洗われる中で雲散霧消していくことこそが
擬似的に妻に届いたと思えることにもなるように想像するところではないかと。


それが、ビンに入れてしまっては栓をしたコルクが何かの拍子に外れない限りぷかぷか浮いて、

中の手紙は温存され、ともすればどこかに漂着するかもしれない、

さすれば誰かが拾って読むかもしれない。


そうしたことは子供ではありませんから十分に予測可能と思われますし、
その予測可能なことが起こることはおそらく願い下げであったことでしょう、ギャレットにとって。

であれば、何故ビンに入れて流したのか…と頭を捻ってしまうのでありますよ。


実はギャレットが2通のメッセージを2回に分けて海に流したのに先立って、
亡くなる直前の奥さんが同様のことをしているのでして、
それをギャレットが知っていたとすれば、

その妻の行為を真似たと考えることもできましょうけれど、
後になってテリーサから「メッセージは3通あった」と聞かされたギャレットの反応は

「2通しか流してない」というもの。


ということは、ギャレットは奥さんがメッセージをビンに入れて流したことを知らなかったわけで、
(映画の中でも、ビンを投げ終えて海辺に佇む妻をギャレットは家に連れ戻しただけ)
ビンにメッセージを入れるという妻の行為を真似ることはできようはずもないでしょうから。


実はほかにも「おや?」という部分はあれこれあるのですけれど、
それを逐一挙げたところでどうよとも思いますので、止めときます。


要はこの映画、映像がきれい、音楽が素敵、主人公たちの時折のしぐさにはっとする…

といった要素で楽しんだらいい映画なのでしょう。


リアリティーが無いといっては身も蓋もありませんですが、
言い換えれば現実から遠いことを描いていると考えれば、

それはそれで受け止めようもありましょうし。


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