先日、準備のために日暮里 へ買出しの手伝いに出向いた、その町内会イベントが
この土日に行われたのでありました。
地域住民による絵画、写真、手芸、図画工作の類いまで網羅した「作品展」というもの。
10周年ということで、準備される方々は飾りつけにも力が入っていたようでありますよ。
その実際を昨日覗きに行ってみたですが、
いやあ、いろいろなものをクリエイトする趣味をお持ちのおいでの方々が
たくさんおられるのですなあ。
「しかして、その作品の出来は…」なんつうことを云々するのは野暮というもので、
いずれもご本人としては丹精込めて作り上げた作品群を前に
「あらあ、あの人にこんな趣味があったのねえ」みたいな会話を交わすお年寄り方の楽しみ方、
これが正解でありましょう。
そうした出品作の提供者はどちらかというと年齢の(かなり)高い方々が多いように窺える中、
近所の小学校にでも頼んで出してもらったのでしょうか、小学生の絵が十数枚、
飾ってあったのですね。
題材はみな同じで「あじのひらき」!
図画工作の授業の成果なのでありましょうね、きっと。
で、ですね。
こう言ってはなんですが、会場に並ぶどの作品よりも印象深いのが
この小学生描くところの「あじのひらき」なのでありますよ、あの魚の。
同じ「あじのひらき」を描いて、見事に一枚一枚の個性に違いがある。
お手本があって、とにかくそれに近く作り上げれば花丸!というのでない自由さ。
「あじのひらき」をどう見たら、こういうふうに描こうと思うのか、
「まいりました!」というほかないなあと。
「子供から教わることもある」とはよく聞く言われようではありますが、
いろいろなことを身につけて大人になっていく中で、
そのいろいろのことによって忘れてしまう、失われてしまう感性のようなものがあるのだなと
改めて思うところでありました。
折りしもおフランス帰りの都知事によって
「アール・ブリュット」(と言う言葉)が注目されつつありますけれど、
この「あじのひらき」こそ「アール・ブリュット」ではなかろうかと。
例によって多額の税金を投じて「アール・ブリュット」の拠点を作るも良しとしても、
市立や区立の美術館などでは地域の、あるいは学校の作品展がまま開催されているわけで、
これを当該地域や当該学校の関係者でない人たちがふらりとにもせよ、たくさん覗いていくような
美術との親しみ方が先にあってもいいのではないですかね。
てなこと言いつつ、個人的にもそうした類いの展覧会をさして覗く方ではないので、
言えた義理ではありませんですが、思わぬ刺激、よもやの気付きがあることに思い至ったからには
ちと気に掛けてみようかと思ったのでありました。
あたかも「あじのひらき」のように、目を開かされることもあるということで。