今回の東北出張では、上野から東北新幹線の「やまびこ」に乗って行ったのですけれど、
一本前を走る「かがやき」が丁度反対ホームに入ってくるところに出くわしたのですね。
この春に北陸新幹線の開業に当たって投入された新車両の「かがやき」。
常々「かっちょええのでないの、久しぶりに」と思っていただけに、
こいつはひとつ、写真にでも収めてと携帯を取り出したですが、時すでに遅し。
あれよという間に去って行ってしまいました。
この「かがやき」のかっちょよさでありますが、
やはりそこはかとなくウルトラマンを想起させることと(年代的なところも是あり)無縁ではないような。
先日、TV東京「美の巨人たち」では
初代ウルトラマンをデザインした成田亨の「MANの立像」が取り上げられてましたけれど、
「Simple is best」的な発想で余計なものを削ぎ落としてできたウルトラマンのフォルムは
かなり普遍的な美につながるようでもありますね。
(その後のシリーズではいろんなパーツが追加されましたが)
そんな番組を見ていただけ、余計に
「かがやき」を目の当たりにして連想が及んだのでもあろうかと。
ところで、新幹線を利用して旅するときに「東北新幹線に乗って…」てな言い方をついしがちながら、
(前にも同じ話をしたことがありますので、ご記憶の方もおいでとは思いますけれど)
実のところ「新幹線」に乗ることはできないのですね。
何となれば「新幹線」とは線路のことであって、乗り込むのはその線路を走る列車、
すなわち今回であれば、東北新幹線という線路を走る「やまびこ」という列車に
乗って行ったということになるわけです。
JRの時刻表が今でもロングセラー状態にあるのかは分かりませんが、
時刻表で運賃のページを見ると「幹線」と「地方交通線」という区分けがあって、
それぞれ距離に応じた運賃が表になって掲載されているものと思います。
つまり、鉄道の線路を樹木の幹と枝に見立てて、
東北本線とか中央本線とかは太い幹なので「幹線」、
そうでない仙山線とか身延線とかは幹より細い枝に相当するわけで「地方交通線」、
いわばローカル線ですね。
で、これらは皆、線路というか路線というか、そっちの名称であって列車名は全く別になっている。
ですので、「中央本線の特急に乗る」、「『あずさ』に乗る」という言い方はあっても、
「中央本線に乗る」という言い方は本来的ではない…とはいえ、普通に使われてますけれど。
「新幹線」に戻ると、これは文字通りに「新しい幹線」でやっぱり線路、路線のこと。
昔から東北本線という幹線はあるけれど、それとは別に(高速走行可能な)新しい線路を敷いた、
だから「新幹線」というわけです。
ま、この「実は線路のこと」という話は以前もしましたので、別の方向に向かいますが、
長野行きの新幹線(北陸新幹線の部分開業)ができたときに、
新幹線以前の従来の幹線である信越本線の横川から長野の区間が廃止されてしまったのには
いささかびっくりしました。
仮にも幹線であったものが、高崎から横川まででぱったり途絶え、
碓氷峠を越した向こうの軽井沢から先、篠ノ井(長野の手前)までは
辛うじて第三セクターの「しなの鉄道」として運行されているものの、
もはや信越本線ではないのですなあ。
同じことは東北新幹線ができたときにもありまして、
東北新幹線とは付かず離れず並走している東北本線も盛岡まででJRとしてはおしまい。
盛岡から先はIGRいわて銀河鉄道(盛岡~目時の間)、青い森鉄道(目時~青森の間)と
なってしまっているという。
直近でも、先の北陸新幹線開業時には
エチゴときめき鉄道、あいの風とやま鉄道、そしてIRいしかわ鉄道といった
第三セクターの鉄道会社が部分部分を引き継いでいますですね。
かつて国鉄時代からも
採算がとれないためにローカル線が廃止(中には第三セクター化)されてきてましたけれど、
幹線だからと言って安閑としてはおられないのですなあ。
もっとも一番最初にできた東海道新幹線では
並行する東海道本線に分断が生じたことはないようす。
ですが、やがてリニア中央新幹線なる最新の幹線が誕生したりすると、
東海道新幹線自体が単なる幹線に格下げされて、
東海道本線は第三セクターに身売りてなことになったり…。
ということで、普段使う言い方として「新幹線に乗って…」というのが「間違っとる!」とは
全くもって言うつもりはありませんですが、郡山へと移動する「やまびこ」の中で、
座席の前のポケットにあったJR東日本情報誌に掲載された路線図を見ながら
あれこれ思いついたことを書いたみた…という次第でありました。
