宇宙から謎の生命体が地球にやってきて大暴れ!人類はどうなる?…
てな映画はよくありますですね。
パワードスーツを身にまとい、迫り来る敵兵をばったばったとなぎ倒し…
てな映画もよくあるような。
実は「へタレ」であったのに、過度な期待を掛けられて苦しい試練に直面し…
というのも、ありますね。
ある瞬間になると時間がリセットされて逆戻り、同じ光景を何度も繰り返し見ることに…
という話も実に実にたくさんある。
こうした「どこかで見た」的要素が渾然一体、組み合わさっているのが、
映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」だったのですなぁ。
これまた予備知識無く見たのでして、
ただただトム・クルーズが装甲兵みたいな恰好をしているだけに、
例によって「かっこよさ独り占め」みたいな映画かと思っていましたら、
かなりヘタレであったとは(笑)。
それと、ここへ来て言うのもなんですが、時間リセットの点は幾分ネタばれっぽくあるものの、
まあ、最後の最後まで引っ張られて分かることではなく、早々に判明する部分ですのでご容赦ください。
で、ここではその時間リセットのことに関して少々。
地球外生命体には隊長と兵卒みたいのがおりまして、隊長を倒してその地を浴びると、
倒した側の地球人は自分が死ぬと時間がある時点まで巻き戻って、やり直しが利くようになるのですね。
そして、返り血を浴びると時間がリセットすることになる地球外生命体の「隊長」クラスというのは
どうやら何人(何匹?)かいるようす。
と言いますのも、ヘタレ少佐(トム・クルーズ)が繰り返し人生を歩み始める以前に
やはり敵の隊長クラスをしとめて同様のリセット状態を繰り返した人が他にもいて、
その人物(エミリー・ブラント)はとうにリセット能力(?)が失われていることが判明するのですよ。
(どのように失われるかは触れませんが…)
つまり、繰り返し繰り返しのリピート人生の主役が
エミリー・ブラントからトム・クルーズへと選手交代したような状況。
ですが、可能性としては両者がそれぞれにリセット能力を保持していたら…との想像は
全くありえない可能性ではなかろうかと。
仮にそんな状況になっていたとすれば、エミリー・ブラントのリピート人生と全く違うタイミングで、
また違う進行状況でトム・クルーズのリピート人生が存在することになりますですね。
もしかして、彼らとはまた別に敵の隊長クラスをやっつけた人がいたとすれば、
その人のリピート人生もまた同時に並存することになりますし、これまた可能性を考えれば
幾人分もリピート人生が同時並行でいくつも展開することもあり得る…。
パラレル・ワールドもいいとこなわけです。
パラレル・パールドが存在すると、その分、それぞれの世界で
隊長を返り血を浴びてしまう人の出現可能性は高まりましょうから、
それこそねずみ算的といいますか、加速度的といいますか、
パラレル・ワールドの重層は途方もないものになっていきそうな気配を感じるような。
と、ここまで来て気付くのもなんですが、
人が返り血を浴びることでリセット能力を帯びることになるのであれば、
そもそもその返り血のと提供元である敵の隊長クラスにも当然のようにリセット能力があるのでは?
と考えてもおかしなことではない。
となれば、敵は敵でそのリセット能力によってパラレル・ワールドの重層化はさらに進むわけで、
物語としてはトム・クルーズがリセットの効能の活かし、失敗を繰り返さないようにしながら、
敵の本拠を叩きに向かうのも、当然にして敵さんはそうさせないようにリセット能力を活かして
いくことになる…となると、こりゃあもう終わりのないことになりますよね。
取り敢えず、この物語では
返り血によって敵のリセット能力みたいなものが移植されることになるのか、
敵側にパラレル・ワールドが生まれる可能性はなさそうですが、
人間側でも差し当たり隊長クラスを倒すことの難しさからでしょうか、
リセット能力を持つ人物を同時並行で存在させることはしていない。
そうすることによって、何とか話はお終いまで(何度もの繰り返しを乗り越えて)進むことになる。
こうした辺りにはちと説明不足というか、説得力の足りなさを感じたりしますけれど、
一方で、これも今さらながらの感想ですが、ものすごくRPGっぽいではないかと思いますよね。
どうやら原作は日本人の書いたライトノベルなのだそうで、
このゲーム感覚は日本人から出ているのか…と、これは後から気付いたことですが。
話がリセットするというのは、時に記憶障害の関係であったり、
時には可能性のバリエーションを見せる手段であったりするものと思いますが、
この映画では、予備のマリオが尽きることなくいる状態てな感じ。
この局面はこのままだと乗り切れんなと思うと、死んでしまえばいいわけで、
すぐさま別のマリオとして生き返り、しかもそれまでの記憶は残ってますから、
同じ轍を踏まないように先のステージへ迎えることになる。
映画では繰り返しによってヘタレが最強戦士であるかのような振る舞いを見せるようになる点で、
(何事も練習すれば結果は付いてくる的なスポ根話を思わせるふうでもありますが)
人生、何でも駄目ならリセットすればいい的な発想にも通ずるところ無きにしもあらずかも。
とやかく言わずに上っ面で見れば、それなりに面白いとは言えますが…。
