インド映画「ダバング 」のミュージカル・アクション・コメディーも
それはそれで楽しくはありましたですが、
ミュージカルらしいミュージカル が見たいような気がしていたところへ、
ピタッと来る映画「サンシャイン 歌声が響く街」に出くわしたのでありますよ。


映画「サンシャイン 歌声が響く街」


タイトル的には「またまたチープな感じだぁねぇ…」と思っていたですが、
「Sunshine on Leith」が原題とあっては仕方ないのかなとも。


「Leith(リース)」というのは英国、というよりスコットランドの
エディンバラにある港町だそうで、さしずめ「下町の太陽」みたいな意と
通じるところがあるのかも(とは、単なる想像ですが)。


元々「Sunshine on Leith」というのは、
まさにリース生まれの兄弟ふたりによるプロクレイマーズというバンドの曲名であり、
アルバム・タイトルでもあるといいます。


そして、このミュージカルの全編にたっぷりと配された楽曲は全て、
このプロクレイマーズの曲なのだそうな。
フライヤーのキャッチにもある「スコットランド版『マンマ・ミーア』誕生!」とは
それなるが故のことであるわけなのですね。


されど、さすがに「マンマ・ミーア」に取り上げられたアバの曲は聴いたことがあるものの、
ポップス系に疎い者としてはプロクレイマーズなるバンドも、その楽曲も
とんと知らずにいたのでありますが、いやあ、素敵な曲ばかりではありませんか。


プロクレイマーズ・オリジナルの本来的な歌詞の意図するところとは違うのでしょうけれど、
それぞれ独立した曲をあれこれ寄せ集めて一本のミュージカルに仕立てる、
ジュークボックス・ミュージカルというらしいですが、
それにしてもうまいこと、場面々々にしっくり当てはまるものですよね。

制作スタッフの力量全開というところでもあろうかと。


2007年にオリジナル・ミュージカルとして上演されたところが大ヒット、
このたびの映画化に繋がったということですが、
映画には映画の魅力があるということで、ここでは何よりも
古都エディンバラでのロケーションの賜物でありましょうね。


エディンバラのための映画と言ってもいいくらい、
となれば9月の住民投票 に向けたプロパガンダかとさえ思えてくる。


アニメーション映画の「イリュージョニスト」もエディンバラの風景の中で展開されて
素敵な街だなと思わせてくれましたですけれど、ここでの映像は実写ですものねえ。
ロンドンには無いものがここにはある…てな気になってしまいますですよ。


話の方は至って単純、お茶の間ミュージカルかと思ってしまいそうなくらいで、
父と母、娘とその恋人、息子とその恋人という3組の男女の気持ちのすれ違いを
錯綜させながら、最終的に全てがハッピーエンドとはいかないものの、
いずれにしても前向きな気持ちで終わるようにはなっているのですね。


ですから、話に深みが無いてなことまで言うつもりはありませんが、
それだけシンプルだからこそ、歌と踊りのミュージカルらしさに没頭もできるわけで、
そういう点では「レ・ミゼラブル」とか「エビータ」とか大きなドラマ性を持つものより
往年のハリウッドで量産されたミュージカル、例えば「巴里のアメリカ人」なんかを
思い出すような、何とも懐かしい味わいがするところでもあろうかと。


てな言い方をすると、またしても腐しているかのようですが、
決してそんなことはありませんですよ。
見ると元気になる!それだけで十分によく出来た作品だと言っていいと思います。
久しぶりにサントラCDを買っちゃおうかと思っとりますし。