結果の一覧表を見ると、A評価もそこそこあるけれど、
B以下の評価もいろいろ取り交ぜて散見される…。
年代的に近しい人ならば(皆が皆ではないでしょうけれど)、
学校の成績評価ではなくして、人間ドックの結果だろうと思い当るのではないかと。
この人間ドックの結果を手にしてからしばらくすると、
健康保険組合みたいなところからまた別の通知が届くことになりますね。
「あなたはメタボです(あるいは、メタボではありません)」みたいな。
食事の量からすれば、さすがに20代の頃と同じように食べるということもないですが、
それでも栄養過多になるんでしょうか、まさに20代の頃と比べると10㎏以上は
自分が重くなっていますから。
逆に言うと、運動不足ということでもありましょうね。
これは何も食べる量が適正だとしても、人間は本来もっともっと動き回っていたのでしょうから、
長い長い年月、動き回ることを前提に出来てきた体にとっては、
意識して動いてやらねばいけんのかもしれません。
で、手っ取り早く何かしら運動というと「走る」ということが浮上するようで。
まあ、取り組み方にもよりますけれど、単に「走る」だけなら余分な出費がないですし、
始めようとその気になれば、すぐに始められるからでしょう。
ですが、「その気になれば、すぐに始められる」という気安さは、
往々にして先送りの口実になったりもしますですねえ。
ですから「その気になれば」の部分が肝心要で…と、
ここまでのところで個人的な健康話、運動話かと思われるかもしれませんですが、
実は映画のお話でして、オランダ映画「人生はマラソンだ!」のことであります。
しかし、それにしてもこの邦題はどうよ?でありますねえ。
原題は「De Marathon」、ご想像のとおりですが、
オランダ語の「de」は定冠詞(男性名詞・女性名詞用)ですから、
英語にすれば「The marathon」。
「人生はマラソンだ」との含意はありませんですね。
「人生はマラソンだ」と聴いた場合の受け止め方は、徳川家康の遺したとされる
「人の一生は重き荷を負うて遠き道を行くが如し」てな言葉とも似ているような。
「重き荷を負うて」いない分、ただ歩くんでなくって走らなきゃなりませんけど。
で、この場合のマラソンというのは単なる例えであって、
「マラソンのような人生」と言い直した方が分かりやすいですが、
マラソンそのものは関係がないわけですね。
ですが、この作品ではロッテルダム・マラソンを完走できるか否かが
運命の分かれ道になっているのですから、マラソンを比喩的に使うのは馴染まない。
また、「人生はマラソンだぁ!」と言った場合、
「おれは生涯をマラソンに賭けているもんね」という受け止め方もできますが、
映画の中でマラソンに挑戦する面々はだらんとした毎日を送っているわけで、
これも意味合いは大きく違ってしまう…。
まあ、「マラソン」というだけのタイトルでは、
既に韓国映画の公開時に使ってしまってますし、
もそっと「人生は素晴らしい!」的なニュアンスを出したいがために、
こうなってしまったのでしょう。
と、前置きが二つもあって長くなってしまいましたが、
とにかく毎日だらんと暮らしていた自動車修理工場に勤める中年男4人組が
フル・マラソンの完走を目指す(目指さざるを得ない)には、
単にジョギングを始める以上の「その気」が必要だったわけですね。
資金繰りが左前になった工場(4人のうちの一人が持ち主)を持ち直すため、
「4人全員が広告塔として完走するから、資金提供を」と
伝手を頼ったスポンサーに持ちかけるんですが、
完走ならずば工場を引き渡すてなことでもないと、スポンサーも動かんですね。
スポンサーの側としても、彼らの様子を見る限り、
「こりゃ、工場、いただき!」と内心、ほくそ笑んでのことかもしれませんが。
とまれ、フル・マラソン完走に向けてトレーニングを開始する4人組ですけれど、
最初のうちのへたれ具合、途中で何やら一皮むけてくるようす、
そして最後には工場の再建はともかく最後まで走ることを生きがいともしてしまうあり様は
いかにも映画にありそうな話…となっていくのですね。
だいたい半年くらいのトレーニングで、昼間からビールがぶがぶ、煙草は吸うし、
工場では車の修理よりトランプやってる方が多いんでないのという4人が
走る切れるわけないよなぁとも。
そうではあっても、あたかも素人さんであるかのような4人の自然体には
ついつい共感させられてしまうわけなのでありますよ。
なかなか手放しで「いいな、いいな、人間っていいな」とは思いにくい気もする昨今にあって、
「人間っていいな、生きるっていい…な」と、堅いことを考えずに見られる映画でしたですね。
ついついこちらまで「走ってみるかな」という気にもなりかかるところながら、
そこはそれ、やっぱり「その気」度合いの問題に直面してしまいますけれど…。