いやはや妙に暖かい週末ではなかったですかね。

もちろん、全国的にそうだとはいえんのでしょうけれど。

その暖かい日に行ってしまったわけですなぁ、スキー場へ。

おそらくは自宅から最も交通至便と思われる富士見パノラマスキー場であります。

伊豆富士見紀行 を中断して、また富士見かとも…)


10何年かぶりであろうと、もはや正確なところも分からなくなってますが、

しかし何とはなし、ゲレンデを目の前にしただけでワクワク感、ありましたですね。

うむ、まだイケる!と(何のことだか…ですが)。


富士見パノラマスキー場

上の写真を見る限りではまださほど滑ってる人がおらないと見えましょうから、

やっぱりスキー人気のかげりもここまで来たか…とも思ってしまいそう。


到着早々に撮ったからとも言えますが、実はゲレンデのこの人数の裏には、

レンタルスキー、レンタルウェアを借りるべく並んだ行列が長く長く伸びていたのでありますよ。

その中の一人として、スキーを履いてゲレンデに出るまでえらく時間がかかってしまいました。


最初こそ戸惑いましたけれど、どうやら身体が覚えておるようですね。

前々から滑りの悪い癖と思っていたようなことも、すっかりそのままに。


ですが、10数年の年月は確実に筋力を減退させておるわけでして、

昨日今日の段階で、階段を下りにかかったりすると「腿、いってえなぁ」ということに。


富士見パノラマスキー場から望む八ヶ岳


で、その翌日です。

10数年ぶりのスキーとあっては「あんまり無理することなかれ」と神さまの思し召しでしょうか、

雨降りなのですよね。


雪であれば、多少吹雪いてもスキーは滑っておりましたけれど、雨ではいかんともしがたい。

まあ、少なくとも「まだイケる」感?を得ただけも今回はいいか…と、帰途につく方向に。


帰る中央本線の沿線はずいぶんといろんなところも見て回ってますけれど、

「これは!」と思うところで行き漏らしが実はあったものですから、

この際立ち寄ることにしたのですね。


最寄り駅は小淵沢駅からひとつ新宿寄りの長坂という駅。

お目当ての清春芸術村はここから出向くことになります。


清春芸術村


正面に見える一風変わった建物が「ラ・リューシュ」と呼ばれるもの。

フランス語で「蜂の巣」の意であるこの建物の本物は、

エッフェル塔で有名なギュスターヴ・エッフェルの設計によって1900年のパリ万博で

ワインのパビリオンとして建設されたそうな。


むしろその後にモンパルナスへと移築されて、

シャガールやスーチン、モディリアーニなどがアトリエ兼住いとしたことの方が知られてますですね。


その建物を再現してあるわけですが、ここでは本当に

日本(だけでないのかも?)の芸術家がアトリエ兼住いとして使用しているようで、

建物内はアーティストのコロニーとして居住者オンリーのスペースになっているという。


ですので、部外者としては同じ敷地内にある清春白樺美術館と

光の美術館、ルオー礼拝堂などを見て回るわけです。


明治末から大正にかけて雑誌「白樺」に寄って文芸活動を展開した白樺派

当時として新しい美術の紹介などにも力を入れていた人たちは独自の美術館を作りたいと、

例えば武者小路実篤が美術館建設構想を発表したりもしていたそうなのですね。


その思いの実現として出来上がったのが清春白樺美術館でして、

白樺派に関わる人々の絵画や原稿などが展示されており、

武者小路が崇敬して止まぬジョルジュ・ルオーを礼賛した文章の生原稿は

実篤の人となりも感じられるところでありますよ。

当然にルオー作品も見ることができます。



ルオー礼拝堂@清春芸術村


外側から見ると冷たい印象のルオー礼拝堂は、

中に入って振り返ると扉の上に飾られたルオー自作のステンドグラスが、

「ミゼレーレ」といった作品での厳しさとは違う暖かく柔らかな光を投げかけていましたですよ。

このステンドグラスはルオーの娘さんから贈られたということです。


しかしまあ、白樺の木立に囲まれた清春芸術村は

その雰囲気からしても十分に白樺派の思いを今に伝えるものでもあろうかと

思わせてくれますですね。


…ということで、結果スキー半分、美術館半分の週末を過ごしてきたのでありました。