これまでは伊豆の、歴史に関わる側面を辿ってきたですが、

富士見という点での本番はこれからと言えましょうか。


当初は中伊豆だけと思っていたのが急遽西伊豆も廻ることになったところ、

どこから見ても富士が顔を覗かせて…という状況なのですよ(もちろん中伊豆からも見えますが)。


伊豆長岡の温泉街は間近に源氏山(鎌倉の方が有名でしょうけど)という里山をもつこともあって
さほど海が近いとの印象はないですが、山間を西へ抜けていくと10kmくらいなものでしょうか、
やおら駿河湾が望めるようになるのですね。


伊豆の西海岸は半島の際をなぞるようにくねくねとした道が続いており、
そのまま辿って行きますと、伊豆半島で駿河湾に最も突き出した場所に到達します。


大瀬崎(おせざき)という岬なんですが、
こうした海に突き出た地形を砂嘴(さし)と言って、

海流が運んできた砂が堆積して出来上がるそうな。


大瀬崎の解説

しかしまあ、知らないこととは言え、こんなところもあるのだな…と思いましたですね。

確かに解説には「一年中ダイバーが訪れる有数のダイビングスポット」とありますが、

これ、このとおり。


大瀬崎のダイバーたち


ダイバーがうじゃうじゃいるのでありますよ。

確かに水はとっても透明でしたので、海中でも見通しがいいのでしょうね。


こうした人たちはもっぱら海の中にお目当てをもっているのでしょうけれど、

潜らない者としてはやはり眼前に姿を現した富士のお山の方にこそ目が行くわけでして、

お山の手前の木立が大瀬崎の先端、砂嘴の部分に当たりますので、

当然そちらに向かうことに。


先端部分は大瀬神社の神域とされているようで、

拝観料(?確か100円…)を納めて、まずは神池の方へ。

上の解説板では左上に突き出した砂嘴の先がドーナツ状になっているのが見てとれますが、

ここが神池です。


大瀬神社神池


木々に囲まれた静寂さは、とても海が間近にあるところとは思えないふう。

木立も繁茂する柏槇(びゃくしん)が天然記念物に指定されているらしいですよ。

ですが、池の鯉の腹の空かせ方も天然記念物級でしたが…。

(写真は鯉の口だらけの水面で、ちとグロいので載せかけてやめました)


それにしても、海の目の前なのに淡水なのですよね。

なんでも潮の干満によって水位が変わるようなんですが、それでも淡水。

不思議なものです。


…とまあ、そうした神様領域を通り抜けた先(あっという間ですが)には駿河湾が広がり、

愛鷹山を露払いに鎮座まします富士のお山でございます。


大瀬崎から望む富士


朝方は雲に隠されていたものがだんだんと姿を現してくる、その途中段階です。

中伊豆からだと愛鷹山がもそっと真正面にきてますですね。


今度は神社に参拝へ。

石段を登り詰めた大瀬崎で一番の高所ですが、

拝殿に掲げられたカラス天狗の謂われや如何に?(ちと不明です…)


大瀬神社のカラス天狗


そしてせっかく高所まで来ましたから、

もう一度角度を変えて富士のお山の雄姿を望むといたしましょう。


大瀬神社より望む富士


左下に停泊している漁船が浮世絵の趣を湛えるなと自己満足しかけたところ、

右下の松に目を転じると、銭湯の絵のようだな…とも。

まあ、何にしても絵になる姿、世界文化遺産の由縁でもあろうかと思いますですね。