観光地にはガラス器オルゴール の展示施設がまま見受けられるとは

以前にも触れたことですけれど、どうしてどうして絵本に関する施設も

またあちこちで出くわしますですね。


取り分け清里 から小淵沢の間にはいくつもあるわけですが、

ロケーション的にはこの「八ヶ岳小さな絵本美術館」も括れてしまうかもしれません。


ここまで来ると原村になりますから、蓼科からも離れたなぁと思うわけですが、

おしゃれな雰囲気のカフェ・レストランでの昼食ついでに立ち寄ってみたのでありました。


八ヶ岳小さな絵本美術館はこちら


本館は岡谷市にあるそうで、こちらは別館。
さとうわきこさんという絵本作家が作った美術館だそうですが、
ご本人の作品展示よりももっと大きく絵本を取り扱うあたり、
その人を知らずとも楽しめるところではないかと思われます。


訪ねたときにはハンス・フィッシャー展を開催中で、結構楽しめる内容でした。
と、実はハンス・フィッシャーと聞いて即座にピンとは来なかったものの、絵を見て「そうか!」と。


ブレーメンのおんがくたい―グリム童話 (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)/グリム


福音館書店版の絵本「ブレーメンの音楽隊」。
この線描の表紙絵に見覚えがおありの方も多いのではなかろうかと。
子どもの絵本としては「ブレーメンの音楽隊」の決定版なのではと思ったりするところです。
で、この挿絵を描いた人がハンス・フィッシャーだったという。


童話作家、絵本作家によくある例として、
元は自分の子どものために作り始めたというのがありますが、

ハンス・フィッシャーも同様だったようです。


ですから、「ブレーメンの音楽隊」のように

グリム童話としてすでにあるものに挿絵を描いたりしている一方で、
自作の物語を絵本にもしているわけで、その代表的なものが「たんじょうび」かなと。


たんじょうび (世界傑作絵本シリーズ―スイスの絵本)/ハンス・フィッシャー


これも表紙をご覧になって「あった、あった!」と思われるところではないですかね。
美術館には、こうした挿絵の原画なども展示されていたですが、
何をどこに配置するかといった大きなことも含めての描き直しを目の当たりにすると、
元は自分の子どもためと言いつつ、挿絵に手を抜くことはないのだなと思うところでありますよ。


絵本がいわゆる「子どもだまし」なものではなくって、
イメージ喚起力を与える挿絵とそもそもの物語とが一体的な作品と意識していたからではないでしょうか。


もっとも、絵本作家の方々は当然にそうした考えで作品製作をされているのやも知れませんけれど、
ここでハンス・フィッシャーの作品に接して、そんなことを改めて思ったものですから。




ところで、この美術館は原村にあると言いましたけれど、
原村といえばひと頃ペンション村として結構賑わったものと思います。


今ではどうなんでしょうね。
通りすがりに「この辺りがペンション村かな」という辺りを行き過ぎましたが、
いかにもペンション然とした建物が並ぶ中には、ただもう住んでいるだけなのね的に
生活が窺えるように思われるものもあったようですし。


ペンション村が出来上がる頃に移ってこられた方々も

もはや高齢になっておられるのではと想像しますし、
元来家族経営みたいなのが特徴でもあったペンション経営が

親から子へスムーズに引き継がれているんでしょうか。


まあ、余計なお世話なんですが、
そんなことを思いつつ、道の駅小淵沢に向かい足湯に浸かって体に温みを取り戻し、
今回の旅から現実へと戻ってまいった次第でありました。