納涼の意味を込めて震え上がる映画を…というわけではありませんが、
「ジュラシック・パーク」三部作を通して見てみたのですね。


書き出しからすれば普通はホラー系に行くものと思うところながら、
ひとつには大の苦手だということ、もうひとつは自然と生き物の関連 でと申し上げておくとしますか。


ジュラシック・パーク [DVD]/リチャード・アッテンボロー,サム・ニール,ローラ・ダーン ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [DVD]/ジェフ・ゴールドブラム,ジュリアン・ムーア,リチャード・アッテンボロー ジュラシック・パークIII [DVD]/サム・ニール,ウィリアム・H・メイシー,ティア・レオーニ


とまれ、この三部作、いやはや何ともだなぁと。
最初のは新鮮さもあり、それは改めてみてもそう思うところでもあって、まずまずかと思うところですが、

初めて見た第2作、第3作は文字通りの二番煎じ、三番煎じでありました。


特に第二作「ロストワールド」は途中で見るのをやめようかと思ったくらいでありますね。
しばらく映画を腐すことなく済んでましたけれど、久しぶりに正面から「ダメ出し」できそうな。


クローン技術で作りだした恐竜が大暴れしてしまい、
ともすれば人間も襲われるというところは第一作でも描かれているわけで、
これを続きではどうするのかが勝負でしょうけれど、
人間を襲うということでの怖さアップに向かったために、
ストーリーなんか、はっきり言ってどうでもいい「襲う恐竜VS逃げ惑う人間」のシーンばかりを
延々と見せられることになってしまいました。


しかも、人間が想像で作りだした怪獣と違って、
恐竜がやたら理由もなく暴れまくるとは想像しにくく、
ヒトという動物を捕食することは恐竜の生理にも適っているかもですが、
ことさらに人を脅かそう、怖がらせようということはないのではないかと思うわけです。


ですから、Tレックスに崖っぷちまで追い詰められた登場人物ご一行が車の中に潜んだところ、
その車を崖から落とそうとする行動をTレックスがとりますけれど、
いかに脳が小さいと言われる恐竜でも獲物を崖から落としてしまったら捕食できないくらいは
経験上(というか、遺伝子で伝えられる本能からしても)分かりそうなものではないかと。


また、これは二作目だったか、三作目だったか(もはやごっちゃ!)ですが、
ヴェロキラプトルがこれまた人間が車に隠れたときに

車のガラスを頭でがんがん叩いて割り始めるのですよね。


この小ぶりな恐竜が凶暴かつ敏捷でなお頭もよい(?)ことは

1作目の調理場のシーンで承知の上ですけれど、
よほど頭自体が硬くて頭突きが得意ならばまだしも、

捕食のためにはこうした自分が痛そうなことまでするんでしょうかねえ。


このシーンからは、

治安のよろしくない町に乗り付けてしまった車のフロントガラスをやおら金属バットでぶったたいて、
金品を奪う無法者としか見えないわけで、

要するに襲う側がヴェロキラプトルなのか、無法者なのかはともかく、
とにかく怖がらせる場面が撮れればよいというようにしか思われないわけです。


加えて、洋上に隔離された島においておいても手に負えない恐竜を

わざわざサン・ディエゴに運んでくるに及んでは、
街を破壊させ、人々を怖がらせる設定作りありきとしか思えない。

うむむというのも致し方なしではないかと。


第1作に戻れば、洋上の孤島に「ジュラシック・パーク」を作って
本物の恐竜を生きた姿で見せたいと考えたときに思い付く限りの対策を講じていますですね。


クローン恐竜はメスしか作り出さない、
ある種のアミノ酸が欠乏する状態にしてあるので人間が与えなくては生きていけない…といった。


ですが、メスしかいなくなった状況下では

突然変異的にオスが誕生することになって自然に繁殖が進んでしまいますし、
欠乏するアミノ酸とやらも人間が与えずとも代替的に補って

摂取することができるようになってしまうのですよね。
まさに「自然をなめたらあかん」というメッセージがあるのだなと。


第2作も第3作も必然的にその要素は残しながらも、

単に第1作の延長でしかないとすれば、これもまた二番煎じ。

とにもかくにも、「ジュラシック・パーク」は第1作だけで十分ということでありますね。


そして、変に脅かしにばかり走ってない中で、

自然に生物が持つ不思議さに思いを馳せることができれば、なおよろし…ということになりましょうか。