新宿に出るとよく立ち寄るコニカミノルタプラザ。
主として写真展が行われるスペースですけれど、今はちょうど「超・深海展」というものを開催中とのこと。
朝だろうが夜だろうが暑い日々が続く中では、ひんやり感がありそうで覗いてみましたですよ。
いつもなら壁面に適当な間隔で写真パネルが展示されているだけといえばだけなんですが、
今回はちょっとばかり凝っていて、暗くしている場内には入口で懐中電灯を借りて入るという仕組み。
あたかも自ら潜水調査船に乗り込んで、太陽光線すら届かない深海を灯りを頼りに進むといったふう。
でもって、壁面にライトを当てるとそこにある写真パネルにはどれもこれも奇妙な生物の姿が。
名札を見てもかえって「これ、どうみたらエビなんだ?」とか「どうみてもタコじゃあねえだろ」みたいな
ものが次々と出てくるわけです。
深海っぽい設えと適度の空調で予想どおりにひんやり感に包まれたのですけれど、
ともすると「これって、エイリアンじゃないの」といったものにも遭遇するわけで、
こわがりなたちとしては肝まで冷やしてしまうという。
このコーナーを過ぎますと、
独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC・ジャムステックというらしい)が誇る?
潜水調査船「しんかい6500」の紹介があり、映像では(さほど深海ではないものの)
東京の近くでもいろいろいるんだねえと思わせる相模湾沖の海中の様子が流されていたのですね。
その映像の中に出てきた、鯨の死骸を餌にしている生物たちのお話。
深海ともなればそうそう満足な栄養源もないわけで、そうした条件の悪い環境に生きる生物たちは
その生物なりの処世術を身につけてきたということなのでしょう。
もっとも、鯨の死骸も驚くほどしっかりと片付けられて(平らげられて)しまうことで
海の浄化機能は働いているともいえるのでしょうし。
そんなふうに自然と共生している生物のことに思い至りつつ、別の展示会場を覗いてみれば、
「ナショナル・ジオグラフィック」誌フォト・ジャーナリストであるクリスチャン・ツィーグラーという方の
作品展「Jungle Spirits」が開催中でありました。
よくこんな瞬間が撮影できたものだと、コウモリが小魚をつかまえた瞬間を見て思ったり、
腐敗臭を出すというジャングルの花にハエがたかってるじゃんと思えば、
ハエを呼び寄せて受粉の手伝いをさせるために腐敗臭を出していると解説されて「ほお」と。
(世界最大の花ラフレシアも臭いそうですが、こういうことだったのですねえ)
ともかく、「はぁ」とか「ほお」とか思いながら見て回ったんですが、
結局のところ思うのは「超・深海展」の方と同じようなことなのですね。
例えば、ネコ科の小型肉食獣が巣穴に潜む齧歯目の小動物(ネズミとかリスとか)を捕食する。
てなことを言うと、食物連鎖みたいなことを思いますが、その実、
捕食されてしまった側の巣穴には彼らが食べようと集めた木の実などが蓄えられており、
主のいなくなった巣穴の中でやがて芽を出していくという。
元々の木のそばからは多少なりとも離れた巣穴で芽を出すということは、
その植物にとっても繁殖エリアが広がることになるわけですね。
ネコ科の動物が、植物の繁殖を助けてやろうと思って小動物を食べてしまうわけでもないのに、
結果としてこんなつながりがある。
決して作為的なものではないだけに、自然のつながりといえましょうか。
動物も植物もこうした自然の中でのつながりに、意識することなく縛られていて、
でも縛られていることを必ずしも厭うものでもなく過ごしているのですよね。
そうしたところから離れているのが、人間でありますね。
この地球上での、人間の特殊性をついつい思わずにはいられない。
もしかすると(もしかしなくても、ですが)もっとも奇妙な生き物は人間なのかもしれませんですね…。