タイトルを伊香保榛名紀行と銘打っておりますから、
当然に榛名山、榛名湖の方にも出かけるつもりでいたのですが、
どうも天気は芳しからず、ともすると悪くなる一方かと思われるようすだったのですね。
取り敢えずは先に伊香保ロープウェイ
に乗って見晴展望台まで上がったものの遠望はきかず、
翌日には朝から濃霧注意報が出ているありさまで、宿の窓から見ても山の上は全て霧の中とあっては、
むしろ上りにかかるよりは下ってグリーン牧場
に行ったりするのがよかろうと考えたわけです。
午後にはさらに雲行きが怪しくなるとも予報では言われていたのでありますけれど、
いざ午後になってみれば差し当たり何とか天気はもっているし、
霧の方も幾分薄れてきたようにも見えましたので、
いっそこの機を捉えて上を目指すことにしたのでありました。
ではありますが、上ったら上ったでやはり眺望が愛でるといったふうでもなかったものですから、
榛名湖畔は一端通り過ぎ、近頃はパワースポットとして夙に有名になっているようすの
榛名神社に向かうことに。
もっともパワースポットだから行ったというよりは、
用明天皇の時代(585~587年)に創建されたという古社の佇まいに触れにいったのですが。
伊香保温泉側からはヘアピン30カ所と案内のあった山道を上っていった後、
榛名神社に達するには榛名湖畔を過ぎて再び下りにかかり、
いくつもの急カーブを過ぎなければ辿りつけない道筋。
何と山深いところに神社を作ったものでありますね。
水沢観音
を「山懐に抱かれた」的に表現しましたが、こちらは完全に山の中でありますよ。
こうして入口のところだけを見ると、鳥居の奥のお社でお終いかとも思われ、
なんつうことないじゃん!となるところが、これはまだほんの序の口。
遠目にお社かと思ったのは山門でありました。神仏習合の名残ですかね。
随神門と言われるこの山門を潜ると、渓流沿いの山道をずうっと登っていくことになります。
そして、途中にはこのような場所も乗り越えていかねばなりません。
パワースポットとは厳しき道なのでありますね。
いよいよ最終目的地である本殿は近いようです。
それにしても、岩が上からのしかからんばかりではありませんか。
ですが、「おおお!」と思ったのはやはりこれから、これから。
と、ようやくたどりついたこれが本殿。
パッと見では神社のようであり、お寺さんのようでもありで「う~む」ですが、
(権現造りというタイプのようですね。1806年に建てられたもののようです)
実はびっくりしたのは、そこではないのでありまして、脇に回ってみると判明します。
よおく見ると、お社が後ろの岩と一体化しているかのようではありませんか。
ここで「おお!」と。
でも「おおお!」となるのは、お社の上をご覧くださいまし。
正面から見たときには木の陰に隠れてはっきりとはしませんでしたが、
後ろの大岩は上部にくびれがあって、何とも言えぬ不安定さを醸しつつさらに上に伸びている。
くびれを首の部分と見れば「なるほど」ですが、これを御姿岩というのだそうで。
とまあ、古式床しさを備えると共に峻嶮な自然に囲まれた榛名神社は
武田信玄が戦勝祈願をしたとも伝えられておりまして、
いかにもパワースポット然としておりましたですよ。