どうにかこうにかパリで乗り換えてロンドンにたどりついたところ からの続きになります。
ツアーとはいえスケルトン・タイプですので、空港からの移動は自分たちで。
ここでどう移動したかも覚えていないのですが、たぶん地下鉄に乗っていったのではないかと。
ちなみに、パリで乗り換えてロンドンに着いた…となれば、
夕刻か夜だろうと思うのは間違いでして、
今現在の直行便と違って当時の北周り便は成田を夜に発ってヨーロッパには朝着。
ここでのロンドンは朝ということになります。
とまれ、地下鉄で目指したのはヴィクトリア・ステーション。
その場所でオリエンテーションが行われることになっていたからです。
このオリエンテーションもまた、細かい内容までは記憶にないですが、
「駅にはインフォメーションがあっていろいろな情報が手に入るのですよ」というご指導のもと、
「では市内マップを実際に貰ってみましょう」と、
このオリエンテーションに集まったもっぱら20代前半の日本人たちは
入れ替わり立ち替わりブースでもって「ロンドン・マップ、プリーズ!」を繰り返すことに。
窓口の女性(だったと思うのですが)のうんざりした顔が今でもちらつきますですよ。
と、一瞬だけ集った日本人の一団はロンドン・マップを片手にてんでに散って行きます。
元々からして団体ではありませんですし、我らは友人とふたり、
ロンドンでのふた晩分は確保されているホテルへと行ってみることにしたのですね。
いまだ「ロンドン・マップ、プリーズ」くらいしか発していない英語では
バスに乗ることも出来ず、またしても地下鉄に乗り込みます。
ホテル(名前は忘れましたが)の最寄り駅はベイズウォーターということでしたので、
ヴィクトリア・ステーションからは地下鉄のサークル・ラインに乗れば乗り換え無しで行けましたし。
空港からヴィクトリア・ステーションに着いたときには駅らしい喧騒があって、
外には二階建てのバスが走り、でっかく黒いキャブも走りと「おお、ロンドン!」と思ったのですが、
ホテルへ向かってたどりついたベイズウォーターは住宅街のように見受けられました。
何の変哲もない、といっても明らかに日本にはない住宅街。
2月の平日の昼間でひと通りもなく、ホテルに辿りつくのもまた難儀を極めたわけです。
が、記憶する限りこのホテル、いわゆる観光付きの
(ま、昔風に言えばジャルパックのような)ツアーではおよそ使われないだろうところながら、
何だか下宿人になったような感じで印象は決して悪くなかったような。
ただ、旅慣れないとはこういうことなんでしょうね、
ともかく部屋に入れてもらって荷物を置いたあとには、そりゃあ外に出たいわけです。
そそくさと友人とふたりそろって部屋の外に出てから、お互いに「お前、鍵持ったか?」と。
オリエンテーションでも今さらのようにオートロックのことには触れていたように思いますが、
こうもあっさり初日から締め出しを食うとは予想もせずに戸惑う二人でありました。
で、日本人の純朴な学生二人、レセプションに頼んで開けてもらえばいいものを
何だか飛んでもない失敗をしたように思えてしまい、
自分たちでリカバーせねばと思ったようです(ひとごとのようですが)。
何食わぬ顔でホテルから外へ出る。
自分たちの部屋の辺りに回り込むと、案の定試しにと開けた窓の錠が外したまま。
1階だったからできたことですが、よじ登って窓から入りましたですよ。
しかしまあ、よおく考えてみれば(みなくても?)
オートロックに締め出されたのもバツが悪いですが、
自分たちがよじ登れるくらいの部屋の窓の錠を開けたまま出かけてしまったとしたら、
それはそれで大失敗であったろうなと思うわけでありますよ。
初めて訪れたロンドンでいちばん忘れがたい出来事はこのホテルでの一件。
なにしろどこへ行って、何をし、何を食べたりしたかはもはや覚えていないものですから。
ただ大英博物館にだけは行ったのではなかったかなぁと。
その他にはおそらくですが、バッキンガム宮殿やウェストミンスター寺院、
ピカデリー・サーカス、ハイドパークといった有名どころを何となく回ったのだと思われます。
とにかく初めてのヨーロッパ、初めてのロンドンは「そこにいる!」だけで感慨深いものでしたから。
とまれ、ロンドンに2泊というたったそれだけに時間で(ホテルでの失敗もどこへやら)
だんだんと旅慣れたつもりになってしまうのが怖いところですが、
ロンドン2泊の後に迎えた3日目はおまけ的にツアーに着いていたワン・フライトで
ローマへと向かうことになっておりました。
そして、俄仕込みの旅慣れ感はローマで見事に打ち砕かれる…
と、この辺りは次の機会にということで。(つづく)