母親は何年か前から携帯電話を持っていて、

通話とメールに関しては使いこなしているようなのですけれど、
父親の方は頑なに?持とうとはしないままで来ておりました。


差し当たり矍鑠としておるとはいえ、年齢からしてもいつ何どき何かしらのことが起こるやもしれず、
ついには母親に説き伏せられたらしく、携帯電話の新規購入ということに。


ついては購入に付き添ってもらえんかと連絡があったものですから、
両親と連れ立って携帯ショップに行きましたですよ。


契約しようとする会社は母親のと一緒、

機種もいわゆる「簡単ケータイ」限定で一機種だけのようですから、選ぶのは本体の色くらいなもの。
このあたりに何の苦労もないわけで、付き添いも何も…とは思いましたけれど、いざ契約となりますと、

係の人がチェックリスト(係の人が説明にもれがないようにするための、つまりあちら向けのもの)を前に

ひと項目ずつの説明が始まりました。


何せ初めて携帯電話を持つわけですから、

父親にはあれこれの用語すらすぐさまストンと落ちるわけがありません。

聴き直すのも何だと目の前にある資料(件のチェックリストですが)に目をやるわけですが、
とんでもなく細かな字がびっしりと書いてある…つまりは読めないわけです。


ついつい保険会社のCMで見かけるような

「顧客満足度No.1」とかいうでか文字の下にこまかぁく書いてある但し書きを思い出してしまいました。
「ちゃあんと書いてありますよ、ただ読めようが読めまいが知ったこっちゃないですが…」的な書き方。
早い話が読めないように書いてあるのではと思える代物でありますね。


とまれ、この辺りから先、係の人は購入者である父親よりもこちらに向かって話しかけ、
それを父親に「これでいいか、あれでいいか」と確認する通訳状態に入っていきました。


こうして父親は簡単ケータイを手に入れましたが、

どうして「0円」で手に入ったのかには理解が及んだでしょうかね…。


高齢者にとっては、口頭にせよ文書にせよ、

説明方法のバリアフリー化を考えてもらわないとなぁと思いますですねえ。


何も携帯電話の契約に限った話というわけでなく、

見た目は利用する側がとっても得するような料金提示の裏側で
「その料金でご利用いただくには、これこれこうした条件があって…」というのは

どう考えても相手を煙に巻く作戦としか思えません。

もっともっとシンプルに「これはいくらです!」と言ってくれればいいのに。
(マーケティング手法だかが進化したから、こうなっちゃったんでしょうか…)


近い将来(?)高齢者の仲間入りとなる可能性が高い(それまで生きていればですが)だけに、
そのときに自分自身が困らないように何とかシンプルな宣伝、シンプルな料金、シンプルな契約…
こうしたあたりこそ考えて、文字通りの「簡単」を実現してほしいものでありますよ。


あまりTVを見ないのでここまで書いたあとで気がつきましたが、

ドコモのCMは結構「意識」しているようですね、年齢の高い人のことも。

それが「意図」(アピールにつながるじゃんという)でなくして、

「意志」(見せかけでなく、本気)であるかどうかは見極めが必要ですけれど。

(穿ちすぎですかね…)