予備知識がほんのわずかばかりながら、映画「聖☆おにいさん」を見てきたのですね。
そのわずかな予備知識といいますのは、
イエスと仏陀という聖人二人が東京都は立川市に住まっていることで巻き起こる何やかんや・・・
というようなことくらいでして。
立川在住ではないものの、
隣接地域の居住者として休日を中心に生活圏から考えればほぼ立川在住に等しいような者からすれば、
立川の登場の仕方にいささか興味があったと申しましょうか。
それが地元・立川となれば盛り上がりようと言いますか、
盛り上げようのほどにはかなり力が入っているような。
まさに「聖☆おにいさん」が上映されている映画館の前の通り、
つまりは多摩都市モノレールの下の通りということですが、
ここにはずらりとこのようなものが。
見てみると、ストーリーとしては他愛のないものですけれど、
小ネタの積み重ねによる作りは楽しいものですので、どちらかといえばTVシリーズ向きではないかと。
しかしながら、人物などの描写がかなりラフなのに比べて、
立川のあちらこちらを細密に描き出した背景には感心しましたですねえ。
この部分が映画ならではところかもと思ったり。
でも、これは目の前に見る風景の実際をよく知っているからなのかもしれません。
主人公二人が特売のボックスティッシュを買いに出かけて通り過ぎる「はっぴい通り商店街」などは
あそこまでリアルに出しちゃうんだぁ!?と。
この商店街は立川駅北口からちょいと離れたダイエーの裏側あたりを抜けている
「シネマ・ストリート」という商店街(の残骸になりかかりつつありますが)なのですよね。
個人的には自宅から自転車で立川の映画館に行くときに必ず通り抜ける道でありまして、
映画を見ながら「おお、あの和菓子屋!」「え、多摩水族館(金魚屋といっていいかも)まで出ちゃう?」
などと、いちいち反応してしまうわけです。
ただし、あの通りにはボッスクテッシュを特売するようなスーパーはありませんが…。
とまあ、もっぱらロケ地(アニメーションでロケ地とは言わないか)の話ばかりですけれど、
映画の中などに映し出された場所を知っているというのは、
本筋とは関わりないところで楽しいものであるなと思いましたですよ。
と、最後にあらためて「聖☆おにいさん」のことを。
細かいエピソードの積み重ねで出来たものなので、
作品の作り手側の本当の意図を見通すことはできないが故に反って自由に言わせてもらいますと、
「こうあった方がいいのだろうなぁ」と思ったのですね。
「こうあった方が・・・」というのは、つまりはこういうことです。
ようするに宗教は信じる者個々が心の平穏を保つための拠り所といったものでもあろうかと思いますが、
個々のレベルにおいては何を信じようと個々の平穏が保たれるなら、それが何であっても構わないわけです。
ですが、信じる者にとっては自分に心の平穏を保ってくれるものが「一番いい」となって、
宗教どうしを比較して最上位だと考えるところがありますですね。
それが組織ぐるみになってくると、他よりも優る(と信じてしまっている)ものこそを信じるべきと
他人に干渉するようなところが出てきてしまいます。
ですが、このお話のようにそもそもの神さま仏さまが互いに仲良くしており、
しかも助け合って日々暮らしているという姿が示されるという。
一神教だあ多神教だあということを始めとしていろんな考え方があるにせよ、
人間が人間のために作り出されたのが宗教でしょうから、人間が平穏でいられてこそなんぼの世界。
それを異なるものを信じる人間が互いに争ったりすることのナンセンスさを、
イエスと仏陀が互いにかばいあい、なぐさめあいする姿は見せ付けているように思うところでありますよ。
大袈裟な物言いになりますが、
この「聖☆おにいさん」二人が立川に降臨したことで世界が平和になりますようにと
願ってしまうのでありました。