3月までは僻地診療所でのんびり医療していましたが、4月から久しぶりの大学病院勤務となっています。
大学病院は外勤が多いですねー( ̄∇ ̄)
外勤がないと生活が出来ないけど、当直か外勤かで、週末のほぼどっちかは潰れてしまうので、それはそれで大変です。
話は変わりますが、立憲民主党の福山議員が、専門家会議の尾身副座長との質疑において、非常に失礼な態度を取ったことが、つい先日ニュースになっていました。
結局福山議員が謝罪に追い込まれる形になったわけですが…
まず、質疑内容に関する大まかなやりとりを振り返ってみようと思います。
尾身副座長は5月4日の専門家会議の記者会見で、「日本ではPCRで捕捉できない無症状の感染者も含めると10倍以上いると推測できる」という指摘に、「当初から軽症者や無症状者が多くて、我々の今のシステムでは探知できないということはおっしゃる通りです」と答えた。
福山氏はこの発言を取り上げて、質問した。
「『今の方法ではやるべき人が検査をやれていないという人がおられますよね』と答えている。陽性者の10倍、日本全体で無症状・軽症の人も含めて10万人程度いるという認識ですか?」
これに対して、尾身副座長は、「10倍ということについて『おっしゃる通り』と言ったわけではない」とした上で、こう回答した。
「10倍か15倍か20倍かというのは今の段階では誰にもわかりません」
「報告された感染者が全てを捕捉しているわけではないというのはおっしゃる通りというのは、この感染症の特徴からして、そういうことだと申し上げました」
また、福山議員は、厚生労働省クラスター班の西浦博・北海道大学教授も、実態は10倍以上いるかもしれないと会見で述べたことに触れた上で、「日本の場合には残念ながら軽症の方や無症状は相談者・接触者外来(帰国者・接触者外来)で弾かれてほとんど検査されていません」と批判。
その上で、「でも世界中はこの感染者の数には軽症者・無症状者の方が含まれています。なぜならこの人たちが感染を広げるからです」との認識を示した。
福山議員はさらに、院内感染の原因ともなっている無症状や軽症者を補足しないで次の対策が打てるのかと問いかけた上で、「10倍いる可能性も否定もできないし、肯定もできないのですね」と質問した。
尾身副座長は「大切なポイントを指摘していると思います」と丁重な態度を崩さず、東京都の陽性率が7%であったことから説明し始めると、福山議員は「ちょっと短くしてくださいよ」と口を挟んだ。
尾身副座長は「わかりました」と続け、この東京都の7%という検査陽性率は、医療機関にかかっている人を検査した結果だと示し、こう述べた。
「一般のコミュニティのリスクは、医療機関に行く人よりもリスクが低いのではないかと考えるのが普通です。仮に東京都が7%の陽性率だとしますと、地域のコミュニティの一般は、7%を超えることはないだろうと考えるのが今のところ常識です」
何らかの必要があって病院で検査を受けた人の方が、病院に行っていない人よりもリスクも陽性率も高いと推定できる。よって、都民一般の陽性率は7%よりも低い。そういう科学的な見方を示したかたちだ。
しかし、福山議員は実際の感染者数が10倍いる可能性を確認することを求めていたためか、「全く答えていただけませんでした。残念です」と返した。
といった内容でした。
尾身先生が私の母校の自治医大の大先輩だから、擁護するというわけではないですが、医者の目線からしても、尾身先生の応対に落ち度はなく、福山議員の発言にやはり問題があると、そう感じます。
まず軽症者や無症状者を含めた感染者数なんてわかりようがないんです。
もしかしたら、普通に生活している方々だって、知らない間に新型コロナにかかっていて、知らない間に治っていた、そういった可能性が絶対ないとは言えません。
定期的に日本の全国民にPCR検査をする、そうでもしないと正確な新型コロナの感染者数なんてわかりっこないのです。
なので尾身先生が応えた「10倍か15倍か20倍かというのは今の段階では誰にもわかりません」
というのが、答えの全てです。
確かに日本ではPCR検査がマンパワーの影響もあり、十分数出来ていない、だから感染者数の把握に信憑性がないと言うのもわかります。
なので、福山議員の「院内感染の原因ともなっている無症状や軽症者を補足しないで次の対策が打てるのか」と言う質問は的を得ています。
尾身先生はこれに対し、医療機関にかかった人のPCR陽性率が7%だったというデータから、ある程度の感染者数を推察し対応策を練るしかない、といった答えをしているのですが、福山議員は実際の感染者数が、公表されている感染者数の10倍以上いる、とにかくその答えを無理やりにでも引き出したかったのでしょうか?
「ちょっと短くしてくださいよ」や、
「全く答えていただけませんでした。残念です」
みたいな、終止無礼な態度を取り続け、最終的に炎上した形になりました。
新型コロナとの戦いは与党、野党関係なくみんなが協力して立ち向かっていかないといけないと思っています。
専門家会議も未知なるウイルスとの戦いの、その舵取りを取るため、日々尽力なさってくれていると思います。
コロナが下火になってからのマスク配布など、自民党の対応にイライラすることは多いですが、怒りの矛先を専門家会議のメンバーに向けるのはやっぱり間違ってますよね。
自民党も安倍首相も嫌だけど、野党も揚げ足をとったり、クレームばっか言っていて、やっぱり嫌だなぁと改めて思ってしまいました( ̄∇ ̄)
なんか強いリーダーシップを発揮できる、支持したいと思える、そういった政治家が一人くらい出てこないかなぁ、とそう思ってしまう今日この頃です。
ではでは