新型コロナウイルスの自粛緩和について思うこと | KMMのブログ

KMMのブログ

人口700人程の村にある僻地診療所での勤務が終わり、現在は大学病院で勤務しています。
診療を通じてたことや、個人的に気になったことなど適宜書いていこうと思います。

お訪ねいただきありがとうございます。
 
3月までは僻地診療所でのんびり医療していましたが、4月から久しぶりの大学病院勤務となり、てんやわんやしてます笑。
 
新型コロナの規制緩和基準を、大阪の吉村知事が独自に打ち出し話題になっているかと思います。
 
話は変わりますが、
医者してると、よく「いつから学校や仕事、部活に復帰していいですか?」と患者さんから質問されます。
 
一つ例をあげてみます。
 
部活で足を捻挫した学生が来たとして、
湿布と痛み止めの処方や、場合によっては簡単な固定術をしたとします。
その後、多く患者さんは
「いつから部活復帰していいですか?」
みたいな質問をされると思うのですが、
大抵の医者は
「完全に痛みや腫れがなくなったら復帰してもいいと思います、1ヶ月くらいは安静にした方がいいでしょう。」
みたいな返答をするでしょう。
 
「えっ? 1ヶ月も!?」
って思う方は多いかと思いますが、だいたい患者さんは医者の言ったことは守られず、痛みが引いたら、
「もう大丈夫!」
と自己判断して、早ければ一週間くらいで部活に復帰する、そのような経験って誰しもあるのではないでしょうか?
 
はっきり言って医者もどこかで、そのことを許容している、そう言った面もなきにしもあらずです。
 
ただ、もし一週間で強行復帰して、足の痛みが悪化したなどあった場合、当然医者は「言わんこっちゃない、言うことを守らず勝手に部活復帰したからだ」みたいな感じで、自己責任だと言うでしょう。
 
つまり何が言いたいかというと、医者は
「普通に考えて絶対大丈夫である」
そういった状況にならないと、許可をださないのです。
 
基本的にはそういうスタンスで考えていて、それを守らず何かあった場合は、患者の自己責任で行ったこと、とそういう風に考えます。
 
つまり新型コロナが流行している現状に当てはめて考えると、
「新規感染者がほぼほぼいない状況で、全員の感染源がきちんと特定できる。そういった状況が1ヶ月以上続いている」
 
このくらいになって初めて、
「自粛解除してよいでしょう」
と自信を持って言える、というのが医者の立場でいう本音かと思います。
 
もちろんここには生活面や経済面への配慮は一切なく、新型コロナの流行を抑え込むということのみに焦点が当てられています。
 
というのも、生活面や経済面への配慮は、本来医者の仕事ではないからです。
 
さっきの捻挫した患者を例にあげていうと、
「一週間後に大事な大会が控えているんです、もし痛みがマシになってたら出場していいでしょうか?」
と言われても、
「それいった事情なら出場して大丈夫ですよ」
とは絶対医者は言わないでしょう。
 
おそらく医者がいうのは
「気持ちはわかりますが、やめといた方がいいと思いますよ」
とか
「万が一、それで何かあっても自己責任になりますよ」
みたいな返答になるでしょう。
 
心ない言葉になってしまいますが、医学的な目線で言えば、こう言うしかないのです。
 
ただ
「交通事故が起きて人が死ぬ可能性があるから、車に乗ってはいけません」
とはならないように、新型コロナに関して言えば、リスクとベネフィットの両方を勘案して、一定の解除基準を、国が示すべきだと思っています。
 
今回大阪府の吉村知事が医療崩壊が起きないことを第一に考えた上での緩和基準を明示したことは、すごく理にかなっているなと感じました。
 
私を含め、国民の間にもコロナ疲れが蔓延している感じも受けるので、少しずつ規制緩和の方向で進んでいくこと、その上で新型コロナの封じ込めに成功すること、そのことを祈るばかりです。
 
ではでは