僻地医療に対する疑問に、一問一答してみた | KMMのブログ

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人口700人程の村にある僻地診療所での勤務が終わり、現在は大学病院で勤務しています。
診療を通じてたことや、個人的に気になったことなど適宜書いていこうと思います。

お訪ねいただきありがとうございます。

 

私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。

 

今回Yahoo知恵袋で、僻地医療と検索した時に上がっていた質問を取り上げて、僻地で勤務する医師として勝手に(笑)一問一答形式で解答してみたいと思います。

 

ではさっそくやってみたいと思います。

 

 

Q1 地方の診療所で僻地医療に従事しているお医者さんは、毎日どこからどのようにして、お仕事に来られるのでしょうか?

 

Answer  

僻地って一言で言っても本当幅広くて、それこそ離島も僻地だし、普通にスーパーやコンビ二があって、電車が走ってるくらいの場所でも僻地って言われてたりするので、どのくらいの僻地を指すかで、答えが全然違ってきます。

 

なので今回わかりやすく、最寄駅、最寄のコンビニやスーパーが車で何分のところにあるか? 

で例をあげながら答えてみようと思います。

 

私が勤務する僻地診療所は最寄駅、最寄りのスーパーやコンビニまでだいたい車で30分ほどです。

プラスで30分程走れば(つまり車で1時間、距離で35-40kmほど)で県内有数の中核都市にも辿り着けます。

 

私が働いている僻地は、これでも僻地の中では比較的都市部に近い方の僻地と言われてます。

 

私は村内に住んでますが、私より前に働いていた先生の多くは車で1時間程かけて、中核都市から通勤している方が多かったです。

 

私は今働いている村とは別の村の僻地診療所で勤務した経験もあり、そこは最寄り駅や最寄りのスーパー、コンビニが車で1時間の場所(距離にして40-50km程)でした。

 

そのくらい離れると、やはりほとんどの先生が村内に住んで生活されていましたね。

 

普段は村内に住み、週末や、週に一回いただける研修日に都市部に出て買い物したりして、生活用品を揃える感じですね。

 

僻地診療所で働く場合、村内に住む家は多くの場合村が用意してくれます。

 

ということでまとめると、都市部に近い僻地なら都市部に住んで通う先生も多いが、離れた僻地だと、多くの場合その僻地に住んで生活する、といった感じでしょうか。

 

 

 

Q2 医者が僻地医療に従事する事のメリット デメリットってなんだと思いますか?

 

Answer

デメリットは僻地が不便なこと、対応に困っても自分で何とかしなきゃいけないこと、専門分野への勉強が僻地勤務中はどうしても遅れること、あたりですかね。

 

メリットは医療全体に対する視野が大きく広がること、総合的に患者さんを見る能力が養われること、僻地診療は時間の流れがゆっくりなので、患者さんの話をじっくり聞いたり、色々なことをじっくり考えられること、給料が高めなこと、あたりかと思います。

 

 

Q3 勤めていて困ったことや苦労することはありますか。

 

Answer

やはり専門外の分野で難しい症例が来た場合、かつその患者が高齢などで、病院への紹介も簡単でない場合、こういった場合どこまで診療所で粘るべきか、判断に悩む瞬間は多いです。

診療所でできる検査って限られていますしね。

病院に紹介するにも30km程離れてて、車でないと行けないので、特にお年寄りにはかなり負担が大きくなります。

診療所で粘りすぎて、紹介が遅れてしまったなぁと思うケースは振り返ってみるといくつも思い出されます。そのあたりの判断というか、直感的に「この患者は無理してでも紹介して診てもらった方がいい」、そういった感覚はやはり実際経験してみないと養われないもののようには思います。

 

ただ僻地で働く医師はみんな、試行錯誤しながら、また村の方々にも支えられてながら、何とか上手く対応している、対応していく中で日々成長している、といったところはあると思います。

 

 

Q4 僻地医療の「やりがい」は何ですか?

 

Answer

やっぱりその地域に根差した医療ができること、そのことが一番のやりがいかなぁと思います。

地域全体を医療している、大げさに聞こえるかもしれませんが、そんな気持ちでいつも診療に望んでいます。

これって大病院にいると、なかなか経験出来ることじゃなくって、背負う責任も大きいですが、その分感じるやりがいも大きいですね。

 

 

以上、一問一答してみました(^ ^)

 

私、色々あって僻地診療所での勤務が3月いっぱいで終了し、4月からまた大学病院で働くことになってしまいました。

 

なので僻地勤務の最後に、僻地医療を通じて感じたことを色々と書いてみました。

 

僻地診療所での勤務は、色々不便だったり、不安や不満を感じたりすることもありましたが、この上ない経験ができたと思ってます。

 

色々な方に支えられながら、何とかやり遂げたって感じなんでしょうかね?

少しさみしくも思います。

 

4月から大学病院勤務になりますが、また適宜思ったことを書いていこうと思います。

 

ではでは