精神疾患患者への虐待で看護師ら6人が逮捕された事件について思うこと | KMMのブログ

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人口700人程の村にある僻地診療所での勤務が終わり、現在は大学病院で勤務しています。
診療を通じてたことや、個人的に気になったことなど適宜書いていこうと思います。

お訪ねいただきありがとうございます。

 

 
私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。
 
世間は新型コロナウイルスの話題一色ですが、ちょっと気になったニュースがありました。以下その内容です。

 

「リアクションが面白かった」精神疾患患者に放水・わいせつ・監禁…看護師ら6人逮捕

 

神戸市の神出病院で、入院していた患者に放水をしたりベッドで閉じ込めて監禁したりするなどした疑いで、看護師の男ら6人が逮捕されました。

監禁と準強制わいせつなどの疑いで逮捕されたのは、神戸市西区の神出病院の元看護助手・和田元規容疑者(27)と看護師の橋本涼平容疑者(26)ら6人です。

警察によると、和田容疑者らはおととしから去年にかけて、入院していた男性患者3人に対して、わいせつな行為をしたり、男子トイレの中で椅子に座らせて放水をしたりした疑いがもたれています。

また、男性患者を病室の床に寝かせて、その上からベッドをかぶせて監禁した疑いがもたれています。

被害に遭った患者は、全員が重度の精神疾患を患い抵抗ができない状態だったということです。

調べに対し、6人は「患者のリアクションが面白かった」などと容疑を認めています。

 

以上が記事の内容です。

一部では、性的行為を強要していたとの報道もありました。

 

医療に関わる者として、ただただあり得ない、というのが私が一番に思うことです。

 

今回は病院での看護師による精神疾患患者への虐待でありましたが、同様のケースで介護施設での介護職員による高齢者への虐待など、こういった虐待事例をここ最近よく目にするような気がします。

 

私はこのような事例は今後急増していくだろうと、そう感じています。

 

こういった事件が起きる背景には、いくつかの要因があると思うので、今回箇条書きにして書いてみようと思います。

 

① まず介護施設であったり、精神科病棟というのは非常に閉鎖された空間です、夜間は特にですが、人の入れ替わりが非常に少ない環境となります。

 

② 超高齢の方や、精神疾患を有する患者さんは、自分がされたことを、正しく第三者に訴えかけたり、また証拠を残したりすることが難しいです。

 

③ 介護施設や精神科病棟にいる方は、やはり手がかかる患者が多いです、食事をこぼしたり、排泄物を撒き散らしたり、といったことも頻繁にあります。このことが介護するスタッフのストレスにつながるというのは、少なからずあると思います。

 

④ 看護師や介護スタッフは非常に不足しており、どの病院、介護施設も喉から手が出るほど欲しています。なので、人間性をちゃんと見極めて雇うといったことが、特に大きくない病院では難しくなる、こういった背景から、人間性に問題があるスタッフがどうしても一部紛れこんでしまう、というのはあると思います。


⑤ 看護、介護に関わる仕事は重労働である割に、待遇が良くないことが多い。

 

これら理由から、精神科病棟や介護施設では虐待が起きやすくなるのだと私は思っています。

 

超高齢社会に入り、介護するスタッフが今後さらに不足すること、また核家族化が進んでおり、精神科病棟や介護施設に預けっぱなしで、定期的な家族訪問のない、そういった方も増えると予想されるので、今後こういった事案は急増するんじないかと思っています。

 

もちろん今回の事件で逮捕された方は、厳しく罰せられるべきと思っています。

 

ただ、同時に日本が現在抱えている介護の問題に国がちゃんと向き合い、それを支える看護師や介護士への待遇を改善する等していかないと、同様の事件はさらに増えていくような気がするのもまた事実です。

 

ではでは