お訪ねいただきありがとうございます。
私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。
世間は新型コロナウイルスの話題一色ですが、その中でちょっと気になったニュースがありました。以下その内容です。
「1回2億円超」の新薬承認へ 難病SMAの治療に使用
米国での1回の治療費が2億円を超える新薬が、日本でも承認される見通しとなった。厚生労働省の部会が26日、製造販売について了承した。国内での販売価格は改めて検討され、今春にも公的医療保険が適用されることが見込まれる。
この薬はノバルティスの「ゾルゲンスマ」。運動神経がうまく機能しないために筋力の低下などを招く「脊髄性筋萎縮症」(SMA)という病気の2歳未満の患者に使われる。
この薬はノバルティスの「ゾルゲンスマ」。運動神経がうまく機能しないために筋力の低下などを招く「脊髄性筋萎縮症」(SMA)という病気の2歳未満の患者に使われる。
というニュースです。
すごいですね笑
ついに億単位のお薬が出てしまいました。
脊髄性筋萎縮症とは、脊髄の前角細胞と脳幹の運動ニューロンの変性により、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮が徐々に進行する病気です。
小児期に発症するI 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)
II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)
III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)
成人期に発症するIV型に分類されます。
Ⅰ型は一番症状が重く、生後6か月ごろまでに発症、運動発達が停止し、体幹を動かすこともできません。支えなしに座ることができず、哺乳困難、嚥下困難、誤嚥、呼吸不全を伴います。
人工呼吸器を用いない場合、死亡年齢は平均6〜9カ月、95%は18カ月までに死亡するといわれており、多くの例で気管内挿管や気管切開と人工呼吸管理が必要となります。
この難病である脊髄性筋萎縮症に対して、今回「ゾルゲンスマ」という新薬が出現したわけです。
一回で治療が完了する新薬とはいえ、その金額が2億円って、びっくりする金額です。
現在この病気に対しては、スピンラザというお薬が保険適応になっていますが、このお薬も1回投与するのに900万円します。しかも年3回投与する必要があり、一年で2700万円かかります。もちろん患者さん負担はその内のごく少額であり、残りは国からの保険料で賄われています。
難病に対する治療薬は当然のことながら高くはなるのはわかりますが、一回2億円ってなると、やっぱりちょっと考えなきゃいけない、そんな気はします。
私も決して反対してるわけではないのですが…
人の命はお金には変えられないというのもわかります。
ただ高額な治療薬が今後どんどん出てくるのは間違いないと思うし、多分2億円をも上回るような高額な治療薬も今後出てくるでしょう。
ただでさえ超高齢化による医療費の増加が、国の財政において深刻な問題になっている現状です。
なので、高額治療薬に対してはどっかでストップをかけないと、医療崩壊に繋がりかねないのでは?
とか思ったりもします。
難しい問題ではあるのですが、超高額治療薬がどんどん生まれてくるこの現状に、待ったをかける、そういった姿勢も必要なんじゃないかなぁと思ってしまう今日この頃です。
ではでは