お訪ねいただきありがとうございます。
私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。
先週末が医師国家試験でした。
前回「第114回医師国家試験の感想」という記事をあげたのですが、アクセスが多く、反響ありそうなので、今回Part2を書いてみたいと思います。
早速ですが、私の専門の神経内科の分野と、他数問だけチェックしました。
「学生が真面目に病棟実習に出ていたか?」
医師国家試験でも実臨床に沿った問題が多くなっており、やはりそのことが重要視される傾向にある気がします。
今回も気になった問題を数問だけ取り上げてみたいと思います。
面白い問題ですね笑
クイズ番組にでそうな感じの問題です。
iPS細胞の山中先生は超有名ですよね。
免疫チェックポイントの本庶先生もつい最近話題になったので間違わない気はします。オプジーボってお薬の名前は皆さんもニュースで耳にしたと思います。
マラリアでノーベル賞取った方がいたら、もっと医学部の授業とかで習うだろうとも思うので、多分bなんだろうなぁと選べそうですね。
マラリア自体日本にない病気ですし。
ちなみにマラリアに対する新たな治療法を発見したのは屠 呦呦という中国の方みたいです。
大村智先生と同じ年の2015年にノーベル医学生理学賞を受賞していました。
時事ネタに絡めた問題で、斬新な感じがしました。
臨床の現場でこの患者が来たら、まずラクテックなどの細胞外液でルートキープして、同時に採血と血液ガス検査もする、気管挿管も必要そう、CV挿入もして、胸部レントゲンや頭のCTもとって…
病棟実習でそういった現場を何度か目にしている学生だとイメージが湧いてくると思いますが、実習に真面目に参加していない学生だと、イメージが湧きにくいかもしれません。
63は細胞外液を選べばいいのでeとわかります。
64はABCってことを考えれば、素直に気管挿管を選ぶってなるでしょう。
胃洗浄は服用1時間以内ってなるかと思うので発症時間がはっきりわからないこのケースでは選択できないでしょう。
65はCV挿入の際、動脈を傷つけたということだと思われます。
常識的に考えても圧迫止血ですよね。
反射的にみんなそうすると思いますし、出血してる中、他のことをもし研修医がはじめたら、僕が指導医であればめちゃくちゃ怒ると思います笑
腓骨神経麻痺ですね。
学生によく、「足関節の背屈は何筋で何神経支配」って質問するのですが、このことをちゃんと知ってたら解けますね。(知らなくても解けますが)
ちなみに足関節の背屈は前脛骨筋で深腓骨神経支配になります。
足を組むと腓骨頭が圧迫されます。
神経伝導検査では、腓骨神経の近位部の評価で腓骨頭を刺激します。
実習でそういった現場を見てれば、迷いなくd 神経伝導検査と選べると思います。
REM睡眠行動異常症→Lewy小体型認知症かと思います。
ポリソムノグラフィーは迷いようがないと思います。
MIBG心筋シンチとドパミントランスポーターSPECT(現場ではDATスキャンって読んでます)、学生には馴染みは薄い検査かもしれません。
どちらもパーキンソニズムを呈する疾患において有用な検査ですが、できる施設は限られてるし、検査費用も高いので、やってもどっちか一つだけにしておくことが多いですね。
MIBG心筋シンチでは、パーキンソン病とレビー小体型認知症で心筋への取り込み低下を呈します。
DATスキャンはパーキンソン病、レビー小体型認知症に加え、多系統萎縮症や進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症でも異常をきたします。
つまり二つの検査を両方行うことで、疾患をかなり絞り込むことが出来ます。
両方に異常があれば、パーキンソン病やレビー小体型認知症かな?ってなるし、DATスキャンだけだと多系統萎縮症や進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症かな?ってなるし、両方とも異常がないと薬剤性や本態性振戦かな?ってなるし。
みたいな感じで絞り込むのに有用なのは事実です。
ただあくまで目安程度に使うもので、ちゃんとした診断には病歴と診察所見が一番大事なのは間違いないです。
ということで正解はc.d.eとなります。
と以上4問を取り上げてみました。
医師国家試験終わった学生は今頃海外旅行とかしてるんだろうなぁ。
うらやましい( ̄∀ ̄)
この記事を読んでくれた医学生のみんなが医師国家試験に受かっていることを願っています。
ではでは





