2018年(第112回)医師国家試験の神経内科の分野を解いてみた(B, C問題) | KMMのブログ

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人口700人程の村にある僻地診療所での勤務が終わり、現在は大学病院で勤務しています。
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お訪ねいただきありがとうございます。

 

前回に引き続き、今回も医師国家試験の神経内科の分野、2018年分に関して書いていこうと思います。

今回はB,C問題に関してです。

 

今回も私なりの解釈を加えて、神経内科の分野の問題を振り返っています。

 

さっと見ただけなので、全部網羅できてないかもしれませんが、そこのところはご理解を。

 

(解いた印象で難易度もつけてみました。

 1‐10の10段階評価でつけています。

 1: 間違えたら絶対ダメ 

 3: まあ間違えない

 5: 最低限の知識があれば間違えない 

 7:悩む、一癖ある 

 10:神経内科専門医レベル 

という風に私なりの解釈に基づき評価してみました)

 

B問題

4番

徒手筋力テストでMMT1が筋収縮がわずかに認められるだけ、MMT0が筋収縮を認めない。

このことを知っているかの問題になるかと思います。

MMTって1-5で評価するって印象もあるかと思うので、間違って覚えないよう気を付ける必要があります。

難易度:3

 

5番

造影CTは神経内科でもよく施行します。

造影CT前に気を付けることとして、

①アレルギー歴・・・・・造影剤でのアナフィラキシーショックは時々経験します。

②腎機能・・・・腎機能低下している患者の造影CT検査はかなり気を遣います。昨年(2019年)京都大学病院で発症した炭酸水素ナトリウム誤投与の事件などは、一番わかりやすい例かと思います。

③メトホルミンの内服・・・・これも必ず確認した方がいいです。糖尿病の内服薬でよく使われるお薬ですが、乳酸アシドーシスのリスクがあり、造影剤を使用する検査の前には必ず休薬する必要があります。

この3点ですかね。

d 腎機能選ぶこと自体は容易かと思います。

難易度:1

 

 

髄膜炎の可能性→c 項部硬直 の確認

それだけの問題かと思います。

難易度:1

 

 

D問題

介護度の認定はコンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行われ、そこにケアマネージャーは関与していません。

ケアマネージャーの仕事は、要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じ、介護サービスを受けられるように介護サービス等の提供についての計画(ケアプラン)の作成や、市町村・サービス事業・施設、家族などとの連絡調整を行うことです。

学生のうちは医師・看護師以外の職種と関わる機会って少ないですが、実際の医療の現場では理学療法士や検査技師、ケアマネージャーなど含め、色々な方が関わってくれて初めて成り立つものです。

働き始めるとそのことを実感すると思います。

とはいえこの問題は難しくないですね(笑) 消去法で考えてもすぐe ケアマネージャーにたどり着くと思います。

難易度:1

 

 

 

まずこれが多発性硬化症(MS)とわかるかどうかですね。若い女性に発症する神経疾患ってみたら、片頭痛、多発性硬化症、NMDA脳炎、あとGuillan-Barre症候群・・・・・・パッと思いついたのはそのくらいですが、いずれにせよあんまり多くないですよね。

なので35歳の女性、複視、自然軽快って見た時点で多発性硬化症だろうなあとは思いました。

丁寧にAQP4抗体陰性って書いているので、「視神経脊髄炎でなく多発性硬化症である」と、そこからでも気づいてほしいところですね。

MRI画像は脳室周囲に複数のFLAIR高信号病変を伴っています。画像上は右錐体路病変ははっきりしませんね。

63番はb 視覚誘発電位(VEP)ですね、これは学生にはなじみが薄いかもしれません。

ただMSが視神経の症状が出やすいことは知っていると思うので、そこから推測して選択することはできそうな気はします。他の選択肢4つもMSではすることのない検査なので、消去法でも選べそうな気はします。

問題にケチつけるわけではないですが・・・・

VEPも診断に有用だとは思いますが、でも優先順位が高いとは思いません。

この状況だとまず造影MRIですね。あと脊髄のMRI。

MSを見たらMcDonaldの診断基準(ファーストフードのマクドナルドじゃないですよ)に当てはめて診断していきますが、空間的多発性の診断ではMRI において、特徴的な領域(脳室周囲、皮質直下、テント下、脊髄)の2領域以上に1つ以上の無症候性のT2 病変、このことを証明する必要があります。

あと造影MRIで造影される病変があるかどうか、これも必ずチェックする必要があるかと思います。

時間的多発性の証明では「ある時点の MRI で2つ以上の T2 病変があり、1つ以上の造影病変と1つ以上の非造影病変」となっているので、造影病変と非造影病変が混在して存在していればより時間的多発性の証明を確固たるものにできます。この二つが診断基準と照らし合わせても優先されるべきと思います。

次にIgG index、オリゴクロナルバンド、ミエリン塩基性蛋白の測定、これも絶対必要ですよね。


VEPは異常がでないこともあるし、確実にMSって診断したうえで行う検査だと思うので、この状況においては有用ではあるが必ずしも優先順位が高くはない、というのが私の意見です。

難易度:5

 

64番

MSの急性期なんでステロイドパルスですね。

これは視神経脊髄炎(NMO)でも同じです。

ステロイドパルスで効果不十分の場合は、次の治療として血漿交換が検討されます。

難易度:3

 

65番

再発予防療法の問題ですね。

これはMSとNMOで違うので、覚えておいてほしいですが、MSの場合はまずIFN-βになります。

ほかフィンゴリモドやナタリズマブ、グラチラマー酢酸塩などありますが、なかなか実臨床でMSを経験していないと、このあたりの違いを把握するのは難しいかもしれません。

IFN-βですがNMOでは使用できないので、そのことは覚えておきましょう。

後MSの再発予防療法ではステロイドは使わないので、そのことも併せて覚えておいた方がいいと思います。

難易度:5

 

以上になります。

一応このパートも7問中7問とも正解することはできました。

難しいとは思いませんが、薄っぺらくしか覚えていないと間違えそうな問題かなあとは思いました。

 

また後日D,E,Fパートも解いていこうと思います。

2018年(112回)分の神経パートは全問正解したいですね。

 

ではでは