お訪ねいただきありがとうございます。
明日からセンター試験ですね。懐かしいです。
受験生の方には悔いのないよう、今までの頑張りの全てをぶつけてほしいと思います。
さて、今回も2019年医師国家試験の挑戦企画、最終回の4回目です。
前回に引き続き、2019年医師国家試験の神経内科の分野だけちょっと解いてみました。
今回はラストE,F問題です。
今回も私なりの解釈を加えて、神経内科の分野の問題を振り返ってみようと思います。
さっと見ただけなので、全部網羅できてないかもしれませんが、そこのところはご理解を。
(解いた印象で難易度もつけてみました。
1‐10の10段階評価でつけています。
1: 間違えたら絶対ダメ
3: まあ間違えない
5: 最低限の知識があれば間違えない
7:悩む、一癖ある
10:神経内科専門医レベル
という風に私なりの解釈に基づき評価してみました)
E問題
医師国家試験に合格し、無事研修医になると、救急外来などで痙攣の患者さんを経験することもあるかと思います。
その時指導医から「セルシン半筒IV」(セルシン1Aが2ml 10mgなので半分の5mgを静脈注射することです)みたいな指示をされる瞬間があるかと思います。
そのセルシンこそが、ジアゼパムの商品名です。
難易度:2

嘔吐、意識障害、両側うっ血乳頭あり。指鼻試験拙劣や眼振から小脳病変疑われます。
頭蓋内出血を考慮して頭部CTを選択する・・・・・間違いようがない問題かと思います。
難易度:1
F問題
普通に知っていればd 拘縮を選んで終わりの問題ですが、あえて消去法でも考えてみようと思います。
強剛・・・筋強剛、つまりパーキンソン病などで見られる固縮のことになります。
強直・・・・・・強直間代性痙攣を考えたらわかると思いますが、てんかんなどで見られます。
振戦・・・・・これもパーキンソン病で見られる安静時振戦が代表的かと思います。
痙縮・・・・脳梗塞など上位運動ニューロン障害が出現する症状です。
パーキンソン病、てんかん、脳梗塞と、いずれも骨格筋の短縮を来す病態でないことは明らかかと思います。
難易度:3
男性のみに発症していることから、伴性劣性遺伝であることは容易に想像できると思います。
「Duchenne/Becker型筋ジストロフィー=男児に発症する」 の印象を持っていれば、aを選ぶこと自体は容易です。
Hungtington病は常染色体優性遺伝疾患ですね。
難易度:4
皮膚筋炎・多発筋炎って皮膚科・膠原病内科・神経内科・呼吸器内科など、多くの科が関係する病気ですが、神経内科がメインで担当している病院も多いかと思います。
写真はGottron徴候と四肢伸側の紅斑かと思います。
上眼瞼及び前頭部の紅斑・・・・ヘリオトロープ疹と思われます。
CKも著明に高値となっており、皮膚筋炎の診断を誤ることはないかと思います。
抗体はTIF-1γ陽性ですね。
ちなみに保険で測定できるのはARS、Mi-2、MDA5、TIF-1γの4つになります。
この中ではARS抗体が頻度も高く、なじみもあるかとは思いますが。
MDA5は急速進行性間質性肺炎と関連します。(神経内科専門医試験では大事ですが、医師国家試験には出ないと思います。)
いずれにせよ、「皮膚筋炎の合併症において、間質性肺炎と悪性腫瘍は特に重要である」
このことを知っていれば、a 悪性腫瘍を選ぶのは容易かと思います。
実際、TIF-1γは悪性腫瘍の合併率が高いことが特徴の筋炎関連抗体でもあります。
難易度:3
「突然後頭部痛、めまい及び悪心を感じ・・・・」
この時点で椎骨動脈解離に伴うWallenberg症候群だろうなあと思いました。
MRI画像からも右側のWallenberg症候群であることは明らかかと思います。
Wallenberg症候群・・・・学生嫌いですよね、この疾患(笑)
僕もこの疾患の特徴を覚えるのに苦労した記憶があります。
「Wallenberg症候群は延髄の色々大事なところが障害を受けて、色々な症状がでる」
もちろん間違いではありませんが、この程度の理解では当然国試の問題は解けません。
ポイントとして
①どの血管が障害を受けて生じるか
②原因は何が多いか
③どんな症状がでるか
この3点になるかと思います。
①はまず後下小脳動脈ですね、椎骨動脈から分岐する枝になります。ここの閉塞が原因となり発症します
②椎骨動脈解離ですね。突発する頭痛や頸部痛が特徴になるかと思います。(もちろんこれら症状を伴わないケースも多くありますが)
③ここが難しいと思いますが、私の覚え方として
・まず大きく分けて6つ症状が出ること。
・同側に5つ、対側に1つ症状がでること。
・顔面と上下肢で感覚障害が逆になること→顔面は病側(三叉神経脊髄路核)、頸から下は反対側の温痛覚障害(外側脊髄視床路)となります。
・残り4つが同側に症状が出現する。延髄にある脳神経核、前庭(Ⅷ)、舌咽・迷走(Ⅸ,Ⅹ)が障害受ける。
前庭神経核の障害で眼振・めまいを、舌咽・迷走神経の障害で球麻痺など症状を来す。
ちなみに舌下神経は延髄内側症候群(病側の舌下神経麻痺、対側の顔面を除く片麻痺、対側の深部覚障害を特徴とする病態です)で出現します。神経内科専門医試験では出ますが、医師国家試験には出ないと思います。
・残り二つ、同側に出る症状として小脳失調とHorner症候群がある・・・・・これは覚えるしかありませんが
みたいな感じで覚えました。
上記踏まえて設問を見ると、81がc 右Horner症候群であるとわかります。難易度:5
82は削除問題になっていましたね。理由は知りませんが・・・・
83は舌咽・迷走神経障害による球麻痺症状が原因で生じた嚥下困難であると容易に想像できるので、経管栄養が必要であることはわかるかと思います。
胃瘻造設ですが、まず経鼻経管栄養で2週間程粘ってみて、それでも嚥下機能が改善しそうになく、経鼻経管栄養でずっと粘るのも限界かなぁと感じた時に、胃瘻造設を考慮するのが一般的かと思います。
なので設問82は普通に考えれば、いきなり胃瘻造設とはならないので、cの経鼻経管栄養になるでしょう。
高カロリー輸液もありだとは思いますが、嚥下障害を示唆する状況が設問に書かれていることを考慮すると、この時点での対応としてはfirstではないということなんでしょう。
難易度:3
以上4回にわたり、国試の神経内科の問題を解き、私なりの解説を書かせていただきました。
結果 A問題 9/10 B問題 2/2 C問題 3/3 D問題 4/5 E問題 2/2 F問題 5/5 27問中25問正解
専門分野でも満点とるのは難しいですね。
ただ知識の整理にはなりました。
国試にどんな問題が出るか知っていると、学生指導するときにも多少は役に立ちそうな気もしますしね。
ということで、また気が向いたら他の年の医師国家試験の問題も解いてみようと思います。
ではでは







