お訪ねいただきありがとうございます。
前回に引き続き、2019年医師国家試験の神経内科の分野だけちょっと解いてみました。
今回はD問題です。
今回も私なりの解釈を加えて、神経内科の分野の問題を振り返ってみようと思います。
さっと見ただけなので、全部網羅できてないかもしれませんが、そこのところはご理解を。
(解いた印象で難易度もつけてみました。
1‐10の10段階評価でつけています。
1: 間違えたら絶対ダメ
3: まあ間違えない
5: 最低限の知識があれば間違えない
7:悩む、一癖ある
10:神経内科専門医レベル
という風に私なりの解釈に基づき評価してみました)
恥ずかしながら、この問題間違えてしまいました。
(色々考えた末、aを選択してしまいました)
難しいですね、この問題。
とはいえ私の知識不足です。
視神経脊髄炎(NMO)の場合、AQP4抗体が陽性であるか、あと3椎体以上にわたる脊髄病変があるか、この2点で多発性硬化症(MS)と判別するという印象だったのですが、髄液検査の特徴は把握していなかったです。
調べたらNMOの場合、髄液の細胞数増多や蛋白濃度上昇が顕著であると記載されていました。
オリゴクロナルバンドの陽性率も、MSと比べて低いです(10‐20%程でしか陽性になりません)
再発予防療法の点で、MSと治療法が異なってくるため、NMOの特徴を知っておくことは大事だとは思いますが、この問題はかなりマニアックなところを突いてくるなあという印象です。(今のイヤーノートには青字で載ってるんですかね??)
少なくとも私が学生の時は「NMOはAQP4抗体が陽性である」程度の知識しかなかったですが。
難易度:8
問題文の「右手が勝手に動き、自分の意志で制御できない」の段階で大脳皮質基底核変性症とわかりました。
Alien hand syndromeと呼ばれ、この疾患に特徴的かと思います。(脳梁離断症候群など、この疾患以外でも生じることはありますが)
症状が右側ばかりに出ており、明らかな左右差を伴っていることからも、大脳皮質基底核変性症であると判別できるかと思います。
画像でも左大脳半球の著明な萎縮があるので、診断に迷うことはないでしょう。
難易度:3
球脊髄性筋萎縮症は2年程前にリュープロレリン(前立腺癌などの治療でも使われるお薬です)が保険適応となったこともあり、神経内科の分野では少しトピックかとは思うので、おさえておいた方がいい疾患かと思います。(特に名古屋大学の方は)
伴性劣性遺伝疾患なので男性のみが発症します。
アンドロゲン受容体遺伝子にあるCAGリピート異常伸長が原因となります。
性腺機能異常として女性化乳房などは特徴的です。
遺伝子検査は基本的に症状発症してからでないと行いません。
ただ妹の場合女性になるので症状の発症はありませんが、保因者にはなります。
なので選択肢として
d 女性は発症しないので遺伝子検査の必要はありません。
e まず妹さんにこの病気のことを知ってもらいましょう
のどちらかで悩むと思いますが、今後妹が男児を出産した場合など、やはり問題になってくるので、病気について知ってもらっておく必要はあるかと思います。
なので常識的に考えれば、eが正答であると選択できるかなとは思います。
難易度:5
左手の小指と環指のしびれから尺骨神経麻痺であるということはわかると思います。
この時点でC8レベルの頸椎症性神経根症か尺骨神経の単神経麻痺の2択になるのでb,cどちらかだろうとわかると思います。
神経伝導検査で肘部でCMAPの著明な低下が生じており、左肘部での障害があるのは明らかなので、c 肘部管症候群を選ぶのは容易かと思います。
難易度:1
抗Ach受容体抗体陽性から重症筋無力症だろうと思われます。
そして胸部CTでも胸腺腫の合併認めています。(赤丸部)
ここまでは当然わかると思うのですが、では胸腺腫を合併する疾患は何か?というのがこの問題になります。
胸腺腫の原因として、a 赤芽球癆は有名ですね。ここは選べると思います。
他どれかと考えたとき、消去法で喘息、糖尿病、高尿酸血症で胸腺腫合併に気を付けようみたいなことは聞いたことがないなあということで、自然とeの低ガンマグロブリン血症なんだろうと思い、正解はできました。
(調べてみたら、低ガンマグロブリン血症を伴う胸腺腫は、1954年Goodによって報告されて以来、Good症候群と呼ばれている、とのことでした。)
あんまり神経とは関係ない問題でしたね。
難易度:4
ということで、D問題は5問中4正解でした。
なかなか満点はとるのは難しいですね。
でも勉強にはなりました。
また時間があれば、E,F問題にも挑戦してみます。
ではでは







