お訪ねいただきありがとうございます。
私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。
2020年もはじまりましたね(^^)
今年も適宜医療問題や、中学受験、医学部受験のことなどについて、私が感じていることを書いていく予定でいますので、何卒よろしくお願いします。
先日、
高齢患者に「蘇生しないで」…救急隊員を困惑させた家族の訴え
という記事を読みました。
以下はその中の一部の抜粋ですが、
「そんなに急がないで、ゆっくり来てください」
「サイレンは鳴らさないで来てください」
「午後○時に来てください」
昨今、救命救急の現場では、119番通報の際にこのような注文をする人が増えているという。それだけではない、駆けつけた救急隊員に対して、「蘇生しないでください」「本人の希望です、何もしないで」と懇願し、困惑させることも少なくないらしい。
「サイレンは鳴らさないで来てください」
「午後○時に来てください」
昨今、救命救急の現場では、119番通報の際にこのような注文をする人が増えているという。それだけではない、駆けつけた救急隊員に対して、「蘇生しないでください」「本人の希望です、何もしないで」と懇願し、困惑させることも少なくないらしい。
とのことでした。
残念ながらこのようなことは頻繁に起きてます。
私も少なからず経験があります。
決して家族がわがままを言っているわけではありません。現状そう言わざるおえない、ということは最初に理解いただきたいと思ってます。
僻地診療所で働いていると、人生の最後を在宅で看取るケースもあれば、望まずして救急車で搬送されるケースも数多く経験します。
望まない救急搬送を余儀なくされる理由として、二つの理由があると私は思っています。
まず一つ目、これは制度的な問題だと思うのですが、普段から往診をお願いしている医師がいないケースでは、在宅で静かに息を引き取った場合でも、必ず救急車を呼ばなきゃいけない、そして救急車で来たからには必ず心臓マッサージ等の救命処置をしなくてはいけない、このことが一つ目の問題かと思ってます。
動けなくなったり、息をしていなかったりと、そういった死が差し迫っている状態の患者を自家用車で病院まで連れていくのは、ほぼほぼ不可能なことかと思います。
もちろん普段から往診に来てくれている先生がいれば、その先生に来てもらうようお願いすることもできますが、病院にだけ通院しているような患者さんであれば、そういった状況で往診をお願いできる先生はいないかと思います。
となると救急車を呼ぶしかない
しかし、患者や家族が静かな最後を望まれていた場合、救命処置をしてほしくない
しかし救急隊員はいかなる場合も救命処置をすることが義務付けられている。
→つまり上のような問題が起きるのです。
家族側の望みは、ただ病院に搬送してもらい死亡の確認をしてほしいだけなのに、救急車内で心臓マッサージなどの救命処置をされる。
おそらく病院まで患者を搬送するためだけの役割を持った、ストレッチャーのついた、患者搬送車みたいなものがあれば一番いいかとは思うのですが、今の日本にはないので、救急車を呼ぶしかありません。
ただ救急車で搬送されるとしても、予め医師の指示書みたいなものを持っていれば、救命処置せずただ搬送するだけみたいな感じで臨機応変に対応できるようなシステムがあってもいいんじゃないかなぁと思う今日この頃です。
長くなりそうなので、私の思う二つ目の理由は次回のブログで書こうと思います。
ではでは