「看護師が明かす、あなたが医師にすべき質問7つ」という記事を読んで Part1 | KMMのブログ

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人口700人程の村にある僻地診療所での勤務が終わり、現在は大学病院で勤務しています。
診療を通じてたことや、個人的に気になったことなど適宜書いていこうと思います。

お訪ねいただきありがとうございます。

 

 

 

私は自治医科大学を卒業し、現在人口700人ほどの村にある診療所で、村唯一の医師として勤務しています。
 
Yahooニュースで以下の記事を読みました。

 

看護師が明かす、あなたが医師にすべき質問7つ

 
という記事です。そしてその7つの質問が以下になります。
 
質問その1「なぜですか?」
質問その2「他の治療法はありますか?」
質問その3「セカンドオピニオンが欲しいので、私の診療記録をいただけますか?」
質問その4「少しの間、こちらを向いて私の話を聞いてもらえますか?」
質問その5「ここはティーチング・ホスピタル(研修医が研修を行う病院)ですか?」
質問その6「治療方針について、希望を言ってもいいですか?」
質問その7「次回の予約をしたほうがいいですか?」
 
みたいです。
 
一つ断っておくと、アメリカの雑誌の記事を日本語に翻訳したものっぽいので、アメリカの看護師が推奨する医師に尋ねるべき7つの質問、ということかと思われます。
 
興味深いですね。
 
1つ目の「なぜですか?」は、
常に「どんなことでも、すべて、漏れなく」聞くべきで、特に、その医師がなぜその治療方針をとるのか、理由をはっきり説明してもらうことが大切である。
ということみたいです。
 
言わんとしてることは分からないでもないですが、患者さんから「なぜですか?」と言われたら、多くの医者は「なぜ?とは何に対してですか」とか、「では逆に聞きますが、どうして欲しいのですか?」みたいな返しをされる、そういった可能性は高いように思います。
 
「なぜですか?」自体がすごく漠然とした質問なので、使う場面は気をつける必要があるかと思います。
 
 
2つ目の「他の治療法はありますか?」
この質問はして悪くないと思います。
他の治療法の選択肢を知ること、それは非常に大切なことです。
ただこの質問も一つ注意が必要だと私は思っています。
 
例えばあなたがインフルエンザにかかった場合で考えてみましょう。
 
Case1 
医師: 検査の結果、インフルエンザのようですね。ではゾフルーザと言うお薬出しておきます。最近出たお薬で、一回内服するだけで、インフルエンザの治療が完了するお薬になります。
あなた: 他の治療法はありますか?
医師: 以前からよく使われるお薬でタミフルというお薬がありますが、1日2回服用して、5日間服用する必要があります。
お薬の効果に大差はないと言われていますし、一回服用するだけで治療が完了する、ゾフルーザの方がいいんじゃないかなぁと思いますけど、どうされますか?
 
続いて
Case2
医師:検査の結果、インフルエンザのようですね。ではタミフルと言うお薬出しておきます。
1日2回、5日間服用してください。
あなた: 他の治療法はありますか?
医師:比較的新しいお薬でゾフルーザというお薬があります。一回内服するだけで、インフルエンザの治療が完了するお薬なんですけれども、ここ最近、耐性菌といってゾフルーザが効かないインフルエンザウイルスの問題が結構話題になっているのと、値段もタミフルと比ると、倍近く高いお薬になるので、そういうことを考えると、タミフルにした方がいいんじゃないかなぁと私は思いますが、どうされますか?
 
一つ断っておくと、インフルエンザの治療は他にイナビルやリレンザ、ラピアクタなどもありますが、そこまで話すとややこしくなるので、ゾフルーザとタミフルの二つだけを例にあげました。
 
Case1.2での医師の説明は、非常によくありがちなものかと思います。
 
おそらくCase1では、多くの患者さんは「じゃあゾフルーザにします」って言うと思いますし、
 
逆にCase2では、多くの患者さんは「タミフルにしておきます」って答えるんじゃないでしょうか?
 
外来という限られた時間で、患者対応をしなければいけない医師は、残念ながら、何から何まで全てを説明してくれる訳ではありません。
 
多くの医者は、自分が推奨する治療法を患者さんに選択させるよう、自然と誘導している、そういった部分はあると思います。
 
言いたいこととしては、仮に他の治療法を提示してもらったとしても、ほとんどの場合は担当医が最初に提示した治療法を自然と選択してしまう、そういった流れにはどうしてもなってしまうのかなぁとは思います。
 
 
長くなったので、今回はこの辺で。
 
次回3つ目以降の質問について思うところを書いていこうと思います。
 
ではでは