人材サービスの会社で人事部長をしている旧友は、経理部長からの相談を受け、10月1日付人事発令のプランへ経理部の内部異動を盛り込んだ企画書を作成することにしました。

 

しかし、経理部の異動は急いだら8月1日発令が可能だったのに、彼が言うには「そうしなかったことを悔やむ事態」が生じました。

経理部の管理課(全員女性)では、メンバー全員が課長のパワハラに耐えられないとのことで、経理部長の席へやって来て退職届を突き出して「たった今を以て退職させて頂きます」と迫り、課長の暴言の録音をその場で再生してみせたそうです。

その女性達が言うには、その1時間ほど前に妊娠している係長が破水したのに、課長は「明日が請求データの入力の締めだから」と早退して病院へ行くことを認めず「濡らした床は自分で払いといて」とも命じたそうです。

メンバー達は怒ってしまい、課長が席を外したスキに、主任が1人付き添って病院へ連れて行ってしまったそうです。

戻ってきた課長女史は、部下が2人いなくなったことに気づき、筆頭係長に質して実情を知ると、激怒して「部長に言ってあの2人は勿論、私に背いて加担したあなた達も処分してもらうからね。私なんか仕事の為に何回流産したか知ってるの?」と豪語したそうです。

これを聞いた筆頭係長は「みんな、付いて来て」と言って職場を抜け出してしまい、管理課長が「戻りなさい!職場放棄は許しません!」と叫んでいるのを尻目に空いていた会議室へこもり、退職届をしたためた・・・という次第だったそうです。

 

経理部長は管理課長を呼び、メンバー達がいる前で真偽を質しました。

管理課長は「係長という役職者なのですから、子供は諦めてでも締め日を迄にやり遂げるくらいの使命感が必要です」と、主張を曲げなかったそうです。

経理部長は「ゆがんだ考えの貴女がいると部下達の士気に関わるので、定時迄いたことにしてあげるから今すぐ帰って下さい」と命じました。

そして、急いで私の旧友である人事部長と人事担当の役員にも同席してもらって協議を開始したのですが、悪い時には悪いことが重なるもので、経理部長が離席しているスキに、経理課長が筆頭係長に例によってネチネチと「早く辞表を出してよ」と強要しだしました。

係長は、今度ばかりはICレコーダーでその模様を録音し、経理部長が人事部長達と協議している部屋へやって来てその録音を再生したそうです。

これを聞いた一同は、急遽経理課長のことも議題に加え、2人の課長は一般職へ降格して現在の部署へ留まる処分になったそうです。

 

翌朝の朝礼前に、この決定を人事担当役員が本人に申し渡したところ、管理課長は「2回も流産しても会社に尽くしてきたのに、そんな理不尽なことを言われるくらいなら今日で辞めさせて頂きます!」と言い出しました。

経理課長は「上司として部下を叱っていただけです!」と言って非を認めず「なぜ降格されなくてはならないのか理解できません!」と抵抗して号泣したそうです。

その直後の朝礼では、人事担当役員が2人の懲戒処分を発表してしまい、昼前には経理課長から経理部長へ退職届が提出されたそうです。