本日の記事は、静岡県にお住まいの方々及び静岡県に関係がおありの方々にとっては、極めて不快な内容になりますことをお詫び申し上げます。

 

川勝平太氏の辞意表明会見では『自分はリニアを10年止めてやったんだ、JR東海に勝ったんだ!』という意識がありありとしています。

後継者選びでは、かつて川勝氏を担ぎ出したスズキ鈴木修相談役(1930年生)の動向が早くも注目されています。

鈴木氏は、JR東海の故・葛西敬之元会長(1940~2022)と中部財界の主導権争いをした時の遺恨から、川勝氏に働きかけてJR東海のリニア事業を徹底的に妨害したのは公然の秘密です。

旧知の政治筋の情報では、リニアへの妨害を続ける川勝氏へは、今年に入ったあたりから官邸サイドからかなりの圧力がかかっており、さすがの川勝氏もそれに耐えられなくなったとも言えましょう。

この為、辞意表明会見の終盤は逆ギレ状態でした。

 

巷では、川勝氏の一丁目一番地はリニア中央新幹線の中止だったと目されていますが、私の読みは東海道新幹線静岡空港新駅です。

東海道新幹線のトンネルの真上に建設された大赤字のローカル空港に駅を開設しても、採算が取れないのは目に見えています。

辞意表明した背景には、JR東海との空港新駅に関する水面下での協議に何らかの進展があった可能性があり、静岡県サイドが完全に断念したか何らかの代替案で妥結したことも含意しているとみられます。

静岡県側は、停車させる列車の種別に関しては一切言及していなかったので、仮に新駅を開設するとしたら常識的に考えてこだまになります。

おまけに空港が東海道新幹線の掛川駅から16㎞しか離れておらず、仮に空港駅を開設しても停車したこだまはほとんど加速できないまま次の掛川駅に停車することになる為、後続のひかりのぞみの高速運行の妨げになります。

JR東海が空港新駅の開設に難色を示した最大の理由がこれで、駅の運営収支の赤字分を静岡県が補填する条件を付けても拒み続けたことは、しっかり筋が通っています。

 

そもそもJR東海がリニア中央新幹線の品川~名古屋間の暫定開業目標を2027年に設定していた背景には、2035年±5年には襲来が確実な南海トラフ巨大地震に備え、最低でも東京~名古屋間の高速鉄道の二重化=冗長化を図る目的がありました。

南海トラフ地震が襲来し、その後の誘発地震により中央本線やリニア中央新幹線も一時的には運行を停止する期間が生じるのは避けられません。

しかし、巨大津波による壊滅的な被害で復旧に年単位の時間を要する恐れがある東海道本線や東海道新幹線に比べたら、リニア中央新幹線の運行休止期間はごく短期間で済みます。

この為、南海トラフ地震が襲来しても、人の往来はリニア中央新幹線で、貨物輸送は中央本線で代替可能となります。

去る3月29日の国土交通省のモニタリング会議にてJR東海の丹羽社長が「品川~名古屋間の開業は早くて2034年」と表明したことは、東京~名古屋間の新幹線の二重化が南海トラフ地震の襲来に間に合わない恐れがあることを意味し、最悪の場合、高速鉄道の冗長化を妨げた知事として川勝平太氏は歴史に悪名を刻むことになります。

 

又、静岡県民の一部には、昨日声明を発表した市民団体のようにリニア中央新幹線に反対の人がいることも問題です。

理由は次の2点です。

①リニアのトンネル掘削は南アルプスの自然を破壊する

②リニアは静岡県内に駅ができないのでメリットがない

まず①は、感情的動機から出たものなので、これには賛成できません。

鉄道にせよ高速道路にせよ、インフラ整備には環境面である程度は諦めなくてはならないものが生じるものです。

そうしないと工事一つできません。

静岡市長の難波喬司・工学博士が懸念する希少植物は、移植したらこと足ります。

②については、私は反対する理由にはならないと考えており、静岡県民が大局的かつ長期的視野で「損して得取れ」あるいは「小を捨てて大に就く」という考えを理解してほしい限りです。

次の南海トラフ巨大地震では、静岡県は地震と津波で西日本より甚大な被害になることが予想されています。

その復興は、当然大都市である名古屋と大阪が最優先になるはずですが、この先も②をタテに協力を拒んでいると、国内の静岡県に対する憎悪感情は最悪のものになります。

東海道本線が復旧しても、運行されるのは名古屋以西へ復興物資を輸送する貨物列車だけになり、静岡県の復興が一番後回しになってしまう恐れもあります。

政府が報道操作をし、静岡県の被害を過少報道させることも充分あり得ることで、静岡県よりも西日本(特に四国)への同情が集まってしまいかねないので、政府に睨まれることは将来的に見て得策ではありません

国民世論とは恐ろしいもので、2011年の東日本大震災の復興では福島県や宮城県の甚大な被害が同情を集めて復興はかなり優先されましたが、青森県や岩手県北部の復興はかなり後回しになりました。

 

次の県知事選挙へ向け、後継候補と名乗る又は目される有力者にも注意が必要です。

静岡財界のドンとされるスズキ鈴木相談役が推す候補が、スズキ本体及び下請け・孫請け・協力会社が一体となったスズキ丸抱え選挙で当選する確率が高いとされています。

問題は、鈴木修氏がこの先も葛西敬之との遺恨をタテにリニア着工を妨害するつもりなのか、という点です。

個人的には鈴木氏が大局的視野で改心することを願っていますが、人はそう簡単には変われない為、鈴木氏が推す候補を落選させることが静岡県民の良識と言えましょう