今回は、4年前に人事を担当していた時にあったことの回想です。
毎年、5月中旬あたりから、人事の給与担当者へは社員が住む自治体より住民税の特別徴収に関する書類が届きます。
その書類をもとに、給与計算ソフトへ住民税の各月の給与天引き額を入力していくわけですが、これと並行して人事の責任者が代々やっている作業があります。
それは、前の年の年末調整で算出された所得金額と、自治体が通知してきた所得金額にズレがないかどうかをチェックすることです。
この邪魔くさい作業をする理由は、年末調整から算出した年間所得と自治体から通知してきた年間所得が一致しない場合(そのほとんどは会社の給与所得より多くなるのがほとんどです)は、会社からの給与以外の所得があったことがわかります。
その金額いかんによっては、就業規則で禁止されている 副業 をしているかどうかを内々にチェックするのも人事の業務だからです。
ズレが生じる要因はおおよそ次の通りです。
・相続関係による一時所得
・動産/不動産・有価証券の売却による一時所得
・副業
このチェック作業により、給与所得の約1.5倍もの所得金額を自治体から通知された女性社員が1名浮上しました。
その社員はその年の8月末に退職しました。
退職理由は『プライベート迄陰湿に調べる会社が信用できなくなった』とのことでした。
前任者からの申し送りでは、その女性社員については「問題ない」とのことでしたが、念の為にその女性社員へ社内メールを送信して確認したところ、その返信は『かつて住んでいたマンションや親から相続した一戸建て住宅や駐車場の賃貸収入が会社からの給与を上回っているから』とのことでした。
本人は「就業規則で禁止されている副業とは異なる」と主張していました。
税理士をしている旧友に相談したところ「できることなら、税務申告書を見せてもらえたらいいんだけどね」と言われましたが、顧問の社会保険労務士から「プライバシーの侵害になるのでダメだ」と諫められました。
そこで上席者である管理部門統括役員に相談したところ「その女性の直属長にそれとなく探るように頼んでみる」ということになりました。
(続く)