1970年代に地元FM局が日曜の午後に放送していたクラシック音楽番組のテーマ曲にも興味がいってしまいました。

番組のオープニングとエンディングは同じ曲でしたが、オープニングは管弦楽だけの演奏なのに対し、エンディングではヴァイオリン独奏がすぐ登場する為、ヴァイオリン協奏曲であることは間違いありませんでした。

クラシック音楽に詳しい父に聞いたところ「これはブラームスではないのか?」といういい加減な答えでした。

こんどは、放送局へ問い合わせずに地元の一番大きなレコード店へ行った折にクラシックコーナーの人に聞いてみました。

店の人はすぐに「これはモーツァルトと同世代のヴィオッティ(1755~1824)のヴァイオリン協奏曲第22番ですよ。オープニングは第1楽章の前奏のところで、エンディングは第1楽章の大詰めのところですよ」と教えてくれましたが、肝心のレコードは2ヶ月前に廃盤になったばかりで、遅くとも半年後には改番されて再発売されるだろう、とのことでした。

店の人がこれだけ詳しいということは、放送局を通さずにレコード店に直接問い合わせている人がかなりいることを覗わせます。

そこで、そのレコードが改番・再発売された時の予約をしている人の名簿に自分の名前を書き込みました。

 

中学2年に進級してすぐ、そのレコード店より「改番により再発売されました」という案内のハガキがきました。

日曜のピアノ教室の帰りに、レコード店へ立ち寄って小遣いの残りをすべてはたいてそのレコードを買いました。

そして、両親が会合で不在になる金曜の夜にそのレコードを聴き、思いを満たしました。

 

この時、パガニーニの再来とされるサルヴァトーレ・アッカルド(1941年生)というイタリアの名ヴァイオリニストの演奏を聴いた最初でした。

又、作曲者のヴィオッティはヨーロッパで多肢に分かれたヴァイオリン流派の始祖ともいうべき巨匠で、多くの弟子を育てたヴァイオリンの名教師であったことを知りました。