80歳でCDデビューとなったヴィーン少年合唱団OBのゲオルク・ティントナー(1917~1999)は実に素晴らしい指揮者でした。
ヴィーン少年合唱団在籍時にその音楽監督だったフランツ・シャルク(1863~1931)の指揮でブルックナーの宗教作品を歌ってその魅力に惹かれ深い愛着を抱いていた、と懐述しています。
Naxosレーベルのブルックナー交響曲全集の指揮者として起用されたことからブルックナーの名手というイメージが強かったのですが、ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン・シューベルトの交響曲でも素晴らしい指揮ぶりでした。
ブルックナーの交響曲全集はとりあえず完結させたのですが、ブルックナーの作品には複雑な版の問題がある為、さらに異稿や宗教作品の録音も予定さながら、ティントナーの病状悪化によりそれらが実現しなかったのは大変残念です。
それにしてもこれだけ優れた指揮者が1990年代半ば迄なぜ埋もれていたのか?ということになりますが、ティントナーの活躍の場は南アフリカ~オセアニアという、ドイツやオーストリアを中心とするクラシック音楽の本場とは地理的に遠かったことと関係ありそうです。
その後もカナダのハリファックスで活動を続けた為、メジャーになるのに相当の時間を要しました。
ただそのお陰で、身上とする古典型対向配置での指揮を終生通すことができました。
1994年にNaxosの社長Klaus Heymann(1936年生)と香港で出会い、1997年にブルックナーの第5交響曲でCDデビューとなりました。
そのCDを聴き、それまでベストと考えていたルドフル・ケンペ指揮ミュンヘンフィル盤(1975年)を上回る出来に深い感銘を受けました。
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