愛聴している指揮者で、フルトヴェングラーの精神的後継者といえるのがチェコ出身で主に旧西独で活躍したラファエル・クーベリック(1914~1996)です。

演奏スタイルはクレンペラーとは大きく異なり、フルヴェンも真っ青な躍動感と生命力に溢れています。

生前はブルックナーの交響曲の解釈で高く評価され国際ブルックナー協会からブルックナーメダルを授与されるほどでしたが、レコード会社の冷遇ぶりはひどいものでした。

オーケストラの楽器配置のところ(↓)で述べたように1977年迄専属録音契約をしていたレコード会社はブルックナーものを1枚も制作せず、1978年から契約した独・CBSがやっと2枚制作しただけでした(他はモーツァルトやシューマンの交響曲集)。

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1980年代に入ると新興のレコード会Orfeo社がバイエルン放送協会のテープ倉庫に眠っていたライブ音源をCD化するようになり、1963年のブルックナーの第8交響曲(ハース版)のライブ音源や引退公演(1986年)のブルックナーの第9交響曲をCD化しました。

 

1977年迄専属していたレコード会社は、クーベリックの祖国=チェコの作曲家であるスメタナやドヴォルザークの作品は積極的にレコードを制作しました。

今も決定盤の名をほしいままにしているスメタナの交響詩『わが祖国』は、アメリカのボストン交響楽団を指揮したもので、素晴らしい演奏でした。

又、ドヴォルザークの交響曲全集はベルリンフィルとのコンビで制作され、それも素晴らしい出来でしたが、当時ベルリンフィルの首席指揮者だったカラヤンの体臭を引きずっているという印象は拭えませんでした。

第2代首席指揮者を務めていたバイエルン放送交響楽団とのコンビで制作されたドヴォルザークの『スラブ舞曲全曲』はそれ以上に素晴らしいもので、フルヴェンが憑依したかのような躍動感と生命力で深い感銘を与えてくれました。

 

クーベリックは1963年にバイエルン放送交響楽団の第2代首席指揮者に就任してから、身上とする古典型対向配置で録音を行うようになりました。

ただ実演では100%対向配置でというわけではなく、状況によっては現代配置だったこともありました。

当時専属契約していたレコード会社がが1970年代半ばにベルリンフィルとのコンビで制作したシューマンの交響曲全集も現代配置でした。

クーベリックはこのシューマン全集がよほど不満だったのか、4年も経ず1978年にCBSへの移籍第1弾がバイエルン放送交響楽団を指揮しての再制作となり、個人的にはCBS盤の方がクーベリックらしい伸び伸びとしてはつらつとした演奏で好きです。

聴いていて明るい気持ちにさせてくれる指揮者といえます。