私が当時勤めていた会社の神戸支店は、1995年1月17日の阪神淡路大震災で打撃を受け、しばらく大阪支店に間借りして営業していました。
2月に入って神戸支店が入居しているビルが再開するのに伴い、上司は私に1週間ほど神戸支店の経理担当者の応援に行くように指示しました。
その往路の新幹線の車中で不快なことがありました。
当初は自由席で立って行くつもりでしたが、指定席が取れてしまいました。
その席が3人掛けの窓側でした。
乗ったのはひかり号の喫煙席で、東京駅を出た時は私の隣2席と前後の各3席は空いていました。
私は自分の前のテーブルを倒して書類を広げ、電卓を叩きながら仕事をしていました。
次の新横浜から隣2席と後ろ3席に男性5人連れが座りました。
私の真後ろの席の人がこの5人の中ではボス格のようで子分に「なんで前の席をこっち向きにしないんだ?」とゴネ始めました。
当時の私は1日2箱吸うヘビースモーカーで、ボスの言動にムッとした私は、タバコを立て続けに吸いながら仕事を続けました。
すると、真後ろの人は苦しそうに咳込みだしました。
ボス「早く席を向かい合わせにしろ!」
子分「それはまずいっすよ。書類広げて仕事してますよ。」
ボス「そんなの関係ねえよ。こっちの方が人数が多いんだから従うように言って来い!」
子分「ちょっと見て下さいよ。いくらなんでもまずいっすよ。」
そこへ車掌が検札にやって来ました。
ボス「臨時でこの車両を禁煙車にしろよ」
車掌「あいにく禁煙車は自由席・指定席共に満席でございます」
ボス「だから、この車両を臨時で禁煙車にしろって言ってるんだ!」
車掌「この車両はおタバコをお吸いになりたいお客様の為の車両です」
ボス「オレ様の半径5メートル以内は禁煙と決まってるんだ!」
車掌「それでしたら、立ち席になってしまいますが自由席の禁煙車両へお移り下さい」
私はタバコを吸い続けながら仕事を続けました。
このような不快な思いをするくらいだったら、自由席で立って行った方がマシでした。