古典型対向配置をポリシーとする指揮者はクーベリック以外にも何名かいましたが、レコード会社や所属する放送局の圧力に妥協せざるを得ませんでした。

そのうちの1人はドイツ人のミヒャエル・ギーレンMichael Gielen(1927~2019)です。

添付の動画は当時ギーレンが首席指揮者を務めていた南西ドイツ放送交響楽団を指揮したベートーヴェンの『英雄』交響曲で、一番左の第1ヴァイオリンの隣は第2ヴァイオリンではなくヴィオラになっており、とりあえずチェロとコントラバスが右側になることで、対向配置を保ちながら異端となるのを避けています。

ttps://www.youtube.com/watch?v=Z6Lb-x5ks-g

 

懐かしいところではルドフル・ケンペRudolf Kempe(1910~1976)がいます。

ケンペは実演では古典型対向配置で指揮することがほとんどでしたが、レコード録音ではミヒャエル・ギーレンと全く同じ妥協を強いられました。

ケンペが指揮したブラームスの交響曲全集とブルックナーの交響曲第4番と第5番は名盤として高く評価されているものの、レコード会社はヴァイオリン両翼ながらチェロとコントラバスを右側に配置することにより異端となるのを回避しています。