7/19(土)1530
ご縁をいただいて、下手のかなりの前方席で拝見することができました。
よく観劇をご一緒するお姉さまと。
初見ですが、原作をゲキシネ(映画館)で見ていることもあり、劇団☆新感線と比較しながら見ることになりました。
『RRR』も先に原作映画を見たのですが、ここまで違いを意識することなく見られた覚えがあります。片や映像、片や舞台ということは大きいでしょうね。はじめから「違うもの」と切り替えて見られていたのかな…
もちろん劇団も演者も尺も違うので、違って当然ですし、潤色演出が宝塚を知り尽くした小柳先生ですから、もののみごとに宝塚色になっていました。逆に原作の中島かずきさんと原作演出のいのうえひでのりさんの懐の深さも感じました。原作者のなかには、一字一句たりとも変えてほしくないというシビアな考えを持つ方もいるようですが、実に寛大な捉え方をする方たちなのだろうなぁ、と。
プロローグまでは、背景の映像のせいもあってか?映像作品を見ているような感覚がありましたが、大人数が板の上に出てくるに及んで次第に舞台らしくなってきたような気がします。
登場人物の設定も変わっていましたし、もはやあれはあれ、これはこれと思ったほうが平穏かも。
全体として、原作のほうが重苦しく、陰惨で、(時々クスッと笑える場面が挿入されても)見ている間ずっと、底辺に逃がれられない業のような切なさが漂っていましたが、宝塚はそういうムードから逃げるあまり、特に前半ナンカチガウお笑い方向に振れていた気がします。
途中から『食聖』とか『めぐり会いは再び』を見てるような気がしてきました。これらもやっぱり小柳先生でしたね。良かれ悪しかれ小柳節とでも言いましょうか。
脚本のことはいったんおいて、演者について気がついたことを。
あらゆる意味で順不同になります。
まず目をとらえたのが鶴屋南北一座の女形(名前は俵蔵というらしい)。背の高さから男役とは気がつきましたが、振り返ったお顔を見ると、なんと輝咲玲央さん!まったくもって求められる役が様々で、毎回挑戦だと感心します。
賀茂白丞と南雀。かぶちゃんはすぐにわかりましたが、南雀のほうは?白塗りの化粧をした顔からはどなたかわからず、面白いしぐさ言動を見て、これはさきっぽくんでは?とあたりをつけました。原作にはなかった独自の役で、相関図によれば桜姫の許嫁らしいのですが、キャストを増やすための他は、残念ながらあまり意味のある役ではなかったですね。ゾロゾロと行列を従えて出てくる様はそれだけで笑いを誘いましたけど。
鬼の皆さん。数えてみたらたぶん12人。希沙くん(100期)から凰陽くん(106期)までの男役10人、娘役2人。『AnotherWorld』の赤鬼青鬼のような化け方ではないものの、メイクに工夫をこらしておりポーズやダンスも目をひかれます。ただし…ほとんど弁別はつかず鳳真くんと世晴くんがわかったのが奇跡のよう。
鬼にこれだけの人数を配し、賀茂グループに大勢の巫女さんを加えても、107期以下は役も付かず…とてもお役の少ない作品でした。
邪空の極美くん。えーと、なんか精彩を欠いたような…気のせいだといいんですが。原作の井原剛志さんの迫力がハンパなかっただけに、こちらがすごく期待しちゃったのかも。あのカツラもなんだかなー。井原さんは自毛の立ち上がり(怒髪っぽい)みたいで違和感ありませんでしたが、極美くんにはそぐわなかったと感じました。ま、あれが似合うというのも相当ですけど。笑
美惨の小桜さん、あのキュートなビジュアルで、どんな美惨を演じるか案じていましたが、思っていたよりずっとよかったです。原作との比較になりますが、夏木マリのようにキ〰️っとヒステリックにならず、終始冷めた感じにつくっていて(なるほど)と思いました。
桜姫の詩さん。まぁ思い込んだら一直線のKYなキャラですからね〜。誰がやってもあんなものと思いますが、次期トップ娘役が決まってるのに今更新人公演のヒロインなんてと鼻白む思いでしたが、本公演のお詫びキャスティングだったのかな?
柳生に続いて着流しのこっちゃん。盛大に裾をまくって走り去るのを感心して見送りました。下手にはける時はほんとに近かったので。草履であれだけ走れるのはすごい。単なる脚力か、底に滑り止めの突起でも付いてるのか?
闇のつばきのありちゃん。同行のお姉さまは「ありちゃんは女性役が似合わないね〜」とため息しきりでした(私はキレイだな〜と思って見てましたが)。それでも真ん中に立つオーラがある、一番よかったとも。
なんと言っても、阿修羅に変わったときのドスのきき方が男役ならではの迫力がありました。原作の天海祐希さんを彷彿とさせる神々しさでした。
同行者は、男役の女性役と言えばこっちゃんのアデレードはほんとにかわいかったね〜と幕間に語っていましたね。こっちゃんが男役を卒業する日ももう秒読み。退団後の作品は当然決まっているでしょうが、女優としての登場が楽しみな人ですね。
安倍晴明側の鬼御門三界衆の、①碧海さりお、②大希颯と、そして御剣海かと思いきや③夕陽真輝のびっくりキャスティング。夕陽さんのファンには申しわけありませんが、そこは新人公演取った人が順当なのでは?と思いませんでした?
邪空のほうの三人の、天飛華音と稀惺かずとはバリバリ路線ですから固いとしても、なぜ三界衆に御剣くんがキャスティングされなかったのか?将来に影の射す感じでザワザワします。
悩みながら書いていたせいで、二回目の観劇が近づいてきてしまいました。
とりあえず初見の印象をいったんアップして、次回に譲ります。
最後にショー『エスペラント』について少しだけ。
同行のお姉さまは「星組のショーは目が回る」と始まる前にぼやいていましたが、疾走感は星組に限らず最近のトレンドかもですね。しかし今回のショーは割とゆったりに感じました。岡田先生の言うような「陶酔感」ほどではないものの、物語的要素もあって生田先生らしいと思いました。『シルクロード』をちょっと思い出しながら拝見していました。
ほかに、
•こっちゃんに相手役がいないのだな…と実感
•聞いてはいたものの、フィナーレで極美と天飛が同じ三番手羽を背負っていたのを実見して衝撃
•ベーシックな黒燕尾、なんか久しぶりに見た感が…(それほど熱心に礼真琴歴代作品を比較してないので誤りあるかも。単に感覚です)
またすぐに次の観劇があります。
二回目は初見の様々な驚きから覚めて、楽しく見られることを期待しています。
ではまた〜 (^^)/