4/30(木)13時
ありがたいご縁で、雪組『DayDreamDali』の初日を拝見することができました。
O列のセンター寄り下手にて、よくご一緒するお姉さまと。
一幕はリアルタイムの時間を示す時計で、二幕は壊れた時計でした。
同行のお姉さまいわく、「谷先生って時計が好きねぇ」(笑)。そう言えば『元禄バロックロック』も時計ネタでした。ファンタジーでも特にタイムトラベラージャンルがお好きなような?
梅芸終わって、配信もされているものの、激しくネタバレになると思いますので、自分で見るまでは知りたくない方はここで引き返してください。
ネタバレになるというのは、ワタクシにもこの作品を掴みきれなくて、書きながら考えていきたいと思うからです。
ready?
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主人公は言わずとしれたダリ、そして鍵を握るのが妻のガラ(輝月ゆうま)、話を動かすのが絵の中から現れた?ナルシス(カセキョー)、主たる登場人物はこの三人です。
私自身は美術(特に絵画)にはさしたる関心がなく、ダリについてはあの「独特なヒゲ」と、いくつかのとても有名な作品をどこかで目にしたことがあるくらいなので、素材としてはとても新鮮でした。
構成は、ダリの晩年から時間が逆戻りしていくもので、と言っても完全に時系列に沿った巻き戻しではなく、少年時代や青年時代の話が錯綜する感じになっていました。少年時代のダリ(役名:もっとヤングダリ→音綺みあ)、青年時代のダリ(役名:ヤングダリ→紀城ゆりや)は別の演者が演じ、なんなら三人の年齢の違うダリが回想の同じ舞台にいることもありましたが、そのあたり混乱がなかったのがある意味すごいな…と思いました。壮年期を演ずるせおっちの放つ存在感が強烈だったせいかもしれません。
一幕では大量の説明台詞があり、私はちょっと集中力が途切れました。しかし結論から言うと、その部分が頭に入ってこなくても特に支障はありませんでした。笑
終わってみると、そもそもこの話自体が夢の中を描いたものと思われ、正にシュールレアリズムだったのでしょう。
カセキョー側にとってはガラ(クイーンガラ)は悪者で、ダリランドを守るためにダリ(キングダリ)にこちらに来てガラと対決してほしいと求めてきました。一方ガラ側はダリを追い払おうとする。ガラが破壊した時計はダリの寿命を司るもので、ガラはダリに生きるのを諦めないで欲しいと願っているというふうでした。
そこに実際のダリの生涯が時代を前後しつつからんできて、さらにダリの生き方が一般人の常識を逸脱したものだったため、夢と現の境目があやしくて、一層わかりにくくなっていたのでは?というのが、幕が降りてしばらくしての感想です。整然とした起承転結のあらすじではないので、(今のはなんだろう?)と考えていると置いてきぼりになるかもしれません。じっくり考えず流していくのも鑑賞の一つの手かと。
カーテンコールの挨拶でせおっちが「谷先生の緻密で頑丈な脚本」と評していましたが、こんなにファンタジー寄りの作品で、大きな破綻がなかったと感じたのは、ほんとうにかなり練られた作品なのでしょう。
以下演者について思いつくままに。
ナルシス側は時計の数字を表している白の衣装の1〜9プラス10(愛陽みち)と11(諏訪さき)が手下、ガラ側は全身黒の衣装の(たぶん)4人がいて、グループが対立する構図となっていました。
ナルシスグループは、ウノ(1)、ドス(2)、トレス(3)、クアトロ(4)、…と衣装に数字がついているので、モブに近い立ち位置ながら弁別が可能で、幕間に配役を見て一人一人確認できてよかったです。
諏訪さきは赤の衣装、愛陽みちはブルーグレーっぽい衣装で、1〜9とはちょっと差をつけた感じで目立たせていましたが、こう言ってはなんですが、しょせんナルシスの手下の一人で、諏訪さきにしてはちょっと残念な使われ方のように思いました。
グループの本格的な闘いとなる二幕が、私はけっこう楽しかったですね。踊って歌ってロックミュージカルみたいだな〜と。赤い衣装のシュワッチはここではとても目立ちました。![]()
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名目上二番手のカセキョーは、幻想のキャラクターを軽快に演じていて、せおっちとの掛け合いがおもしろく、ちょっとこれまでにないコミカルな役でした。圧倒的な華とダンスの実力、恵まれた舞台経験がありながらも、やはり人生経験の未熟さはなかなか埋めようもなかったと思われますが、今回は学年なりの若々しい役ではじけられて楽しく演じていたのでは?(いや、風間柚乃はどうなのよ?)とふと頭をよぎりますが…あの人は余人に比ふべくもない天性の才の持ち主でした。
真の二番手(もしかしたらヒロイン?)は…輝月ゆうまだったですかね〜。彼女もまさか、専科にいってから、しかも女役でここまで出番の多い役がくるとは想像もできなかったのではと思います。10歳年長の姉さん女房、実際のガラの体格はわかりませんが、せおっちを上回る体格の良さが二人の関係性をうまく表しているかのようで、いいあんばいの配役でした。冷たく厳しいクイーンガラだけでなく、ダリを案じる母親のような姉のような包容力も混在して、男役娘役のミックスが絶妙でした。どの衣装も床スレスレのロングドレスだったのも品があってよかったと思いました。
もう一人のヒロインの星沢ありさ、ダリの若い愛人アマンダと、ヤングガラの二役を演じ、特にアマンダはこれまでの彼女のイメージとは異なるドスのきいた派手な役。本人の人となりは全く知りませんが、役柄的には挑戦だったのでしょうか?情が深く、一方で勢いもある役どころがとてもよかったです。
新組長の透真かずきは夢の中では聖アントワーヌ、現実ではパブロ・ピカソを演じ安定安心。白雪さち花が退団して、91期は彼女と紫門ゆりやの二人になってしまいましたが、これからも息長く活躍してもらいたいものです。
そしてせおっち。(私を含む)世間のイメージするダリより、たぶんもう少しまともな感じでした。突然現れた超現実のナルシスに振り回されるのが、なんとも普通の人という印象を受けました。ダリもわざと奇人変人を演じていたというような見方もあるようです。超現実に惹かれてはいるが、彼自身はむしろ現実に縛られているのではないかなー。世紀の恋と称された妻のガラを失ってから、よけいに夢に取り込まれやすかったのか、まぁそれも想定内の心情で、せおっちダリの気持ちにも寄り添うことができました。
亡くなった大切な人の元に早くいきたいと思うのも、現世に残した人に天寿を全うしてほしいと願うのも、相反するようでいて裏おもての同じ想い。
ただあまりに「愛」と連呼するのが、私にはちょっとだけ鼻白むものがありましたが、このあたりが谷先生のテーマなのかもと思われました。
一回限りの観劇の機会をいただけてありがたかったです。多謝。

