奇跡の1枚を手に。

令和7年7月7日、トリプルスリーの日

1400公演、シアターHにて紅鬼物語を拝見しました。

大阪東京と、50公演。東京では27公演の16公演目、7/8は配信の予定とか。順風満帆です。


前日の夜にリセールで購入。15495円でした。

チケット代金が15000円、手数料495円らしい。前売りで買うよりも手数料が安かったのでかるく驚きました。


幕が開く前に客席が照らされて、2-3分音楽だけが鳴ります。時間に幕が上がってプロローグが始まる宝塚とは異なり、期待とともにジリジリ待たされる感じですね。


何をどう書こうかと一晩置きました。

そして良かったところから遡って書くことに。



 まずは殺陣


いきなりクライマックスの話となりますが、見終わって一番の白眉だったのは、二幕の殺陣でした。

源蒼役の鈴木拡樹、鬼の栃の木役の早乙女友貴、やはり鬼の柊役の武田浩二はじめ、坂上金之助役の喜屋武豊(ゴールデンボンバー)、フレッシュな一ノ瀬颯も迫力の殺陣を繰り広げました。実際に力余って刀が飛ぶこともありましたし、この男性陣の中に交じって、れいちゃんもよくこれだけの立ち回りを演じたものと感心しきり。私はこの二幕だけもう一度見たいくらいです。

がむしゃらに藤を守る桃千代の論理が怖かった。憎んでいたわけでもいじめられていたわけでもないわが母親を目の前で殺されて、その下手人とこれから先の人生をつつがなく歩んでいけるものだろうか?と少し不安が残りました。いくら自分を守るためにそうしたとは言え、その瞬間は衝撃的すぎてものが考えられなくても、時が経つうちにフラッシュバックしたりするのではないか?と。

スピード感があり、ショッキングでもあり、目が離せない迫力で、なんなら二幕はオペラは握っていただけで、使っている場合ではありませんでした。



 物語の底流に流れるものと紅子の苦悩


劇団☆新感線、実見はバサラオに続いて二度目、ほかにゲキシネで三回見ています。時折(しばしば?)入るギャグ場面が新感線らしいと言えば「らしい」のですが、これが私にはちょっとしらける感じがして。度を超すギリギリというところでしたかね。

正直一幕は若干あくびをかみ殺すところも。

一幕1時間半、20分の幕間をはさんで二幕1時間35分と長尺の作品で、私には一幕が辛かった。

そのしんどさを支えたのが言わずとしれた柚香光で、現役時代から好きだった声、男役を卒業して初の女性としての佇まい、宝塚とは違う舞台化粧に見入りました。とりたててすごく作っている感じはなく、素のれいちゃんという印象でしたが、自然に見えることが逆にすごいのかも。なにしろちょっと前まで男役だったのですから。

夫の源蒼(みなもとあお)を愛するが故に、命を助ける力を得るために人肉を喰らい、いったんは鬼と化したものの、その鬼の姿を夫に知られたくなくて行方をくらましている紅子(べにこ)。

容疑が晴れて帰ってきてみれば、妻の紅子は娘の藤とともに消えていて、懸命に探し続ける蒼と部下たち。

人として生きたいと願う紅子の、ことに案じているのは自分の血を引く娘の藤の成長。鬼と化さないように、細心の見守りをしながら日々を暮らしている母の願いが切ないですね。

おまけに手下の鬼たちは、本能のままに「人を食いたい」とわめいて紅子を困らせるものの、その手下たちをも切り捨てられないから悩みは深い。どちらかに振り切れば楽だったと思いますが、鬼にも人間にもどちらにも振り切れないからの苦しみが全編を貫いています。


鬼の手下に対するときや、実際に鬼に変化したときは男役の経験が生かされているようで、瞬時に声やふるまいが変わるのはさすがですね。二面性のある役を演じるにはぴったりの、変わり身の妙を演じ分けていたと思います。

けっこう長い尺のソロのダンスもありましたが、裾までの長い着物ふうの衣装だったために、足が全く見えなくてちょっと残念でした。足に絡まるドレスは色っぽかったですけどね。



 そのほか印象的だったこと、気になったこと


劇団☆新感線らしく、客席降りというか、客席もほぼ舞台のように使う演出がひっきりなしにありました。私の席は上手で通路のすぐ後ろでしたので、村人や源蒼の部下たちがしょっちゅう目の前を通ってにぎやかでした。イノシシも通りましたね(笑)下手側はれいちゃんも通りますし、6:4くらいで下手にはけていった感じでした。


衣装の色と名前がリンクしていました。紅子は赤、源蒼は青。藤は薄紫。桃千代がなぜ水色で、坂上金之助がなぜ緑なのかは不明ですが(笑笑)、演者を知らなくても役が覚えられなくても、わかりやすかったと思います。紅子と蒼の娘がミックスして藤(=紫)というのも、地味に可笑しかった。


ところで集中力が切れた時に私が見逃したのかもしれないので(申しわけない)ですが、紅子の父母は双方人間のような気がするのに、紅子はなぜ鬼なのでしたかね?母親は「もっと早く殺しておいてやれば…」と後悔を口にしますし、父親は「ほかの人間を食べるよりワシを食べるがいい」と、自らを屠ります。どちらも深い愛情の発露のように思いましたが、お二人とも人間でまちがいないのでしょうか?


それと更に申し訳ないことに、(おそらく劇団☆新感線の脚本家は)知らない?こととは言いながら、宝塚ファンにとって、「紅子」と言えば紅ゆずるさんの別キャラクターでして、どうにもあの「紅子」がちらついてしまうのはどうしようもありませんでした。ほんとスミマセン^^; あかおにだからストレートに紅子で、劇団☆新感線側には関係ないことですが、余分なおせっかいながら、紅美子(くみこ)とかならよかったな〜


まさかもう見られると思ってなかった芝居を、奇跡的に生で観られて本当にありがたかったです。

しかしリセール販売が買えるタイミングって本当にナゾですね。