6/27(土)、

宙組のZorro、本日はマチソワにて。

マチネはエポスの先着で。

初見のときに書いたように、発売の滑り出しはあまり芳しくなかったのか、売れ行きもボツボツで、全く競争でもなく買えました。関係者にあまりチケットが分配されないのでは?という懸念がありましたので、自力で買えるものは買えるだけ買っておこうと、手当たり次第に購入した結果、なかなかの観劇回数に。

ソワレはご縁のあるかたにお世話になりました。


マチネはA席、二階10列、センターブロック




二階以上はどこで見ても舞台がよく見えます。



ソワレは13列下手側

自分の席からの眺めの記録になるように、幕の写真は全て1倍で撮っています。多少、手元で撮ったか腕を伸ばして撮ったかによって大きさが違って見えますが、だいたいはこんな感じ。

前の方の頭がかぶって真ん中辺が見えにくかったのが残念。一階は段差が少ないので上手下手はその危険がありがちです。




初見の時はいろんな情報がわ〜っと押し寄せてきて呆然としてしまい、詳細は段々染みてきたような感じで、今日は4回めと5回目になります。

これまでに書けていなかったことを少しずつ書いておきたいと思います。

書きたいことがありすぎて、まとまらずでご容赦ください。


芝居の構成とセット

まずは階段の踊り場に後ろ姿のゾロがスポットに浮かび上がり、セットの階段に赤いライトが入って、象徴的な“Z”の文字が灯々(あかあか)と点灯します。

どどーんって感じで、初手から最高の入り効果!

この階段は可動式でいつも舞台の上にあり、酒場だったり坑道だったり、処刑場だったり地下牢だったり様々な場所に変化します。

ここにかぶさるカンテがまた、心を揺さぶる美声でして、真打ち嵐之くんの渾身の歌声が会場を一気に芝居の世界に引き込みます。つかみはみごと拍手拍手拍手

プロローグでは続々と人が増えてきて、哀愁を帯びたギターの旋律と、パルマ(手拍子)とサパテアード(足で刻むリズム)と、激しい振りに舞台が満たされて世界観を表現。

そして一転、少年少女が現れてお話しが始まるという導入部。この転換もスムーズでしたね〜

娘役が子役時代を演じるのは宝塚の常套手段ですが、ディエゴ、ラモン、ルイサの順に、美星帆那(105)、梨恋あやめ(108)、ゆり遥(109)。おおむね番手(順調なキャスティング)順なのでしょうが、兄弟、そして同い年?の女子のローティーンの頃のサイズ感がちょうどよくて、感心しました。この3人の子ども時代はこのあとも何回も出てきて(セリフはあったりなかったり)、物語のアクセントとして重要な役どころとなります。


物語の背景

現代の私たちにとっては、カリフォルニア州ロサンゼルスと言えば、ハリウッドやパラマウントなどに代表されるの映画産業の盛んな都市で、最近では大谷翔平の活躍で、一気に日本の飛び地になったかのような親しみを持つ人が増えている都市。歴史的には1800年代初頭にはメキシコ•スペイン領で、1850年の米墨戦争を経てアメリカ合衆国の31番目の州となったという所で、この物語の時期は乱暴な括りですがほぼスペイン。日本では江戸時代の末期に当たります。(明治維新が1868年)

アメリカの歴史ってまだ長くないせいもあって、私たちが学校で学ぶのはヨーロッパ史よりもずっとボリュームが少ないと思います。なので不勉強なことにこういう時代があったことに驚いたりするわけなんですが、1850年と言えば、最近と言うのは語弊があるもののそんなに昔のことでもない。その頃はまだまだ戦争、侵略、独立、併合が普通にあって、国境線は日々書き換えられていた事にあらためて気がつかされます。


この物語の登場人物もスペイン語名の人がほとんどです。実際スペイン人の移住者なのか、同化政策なのかはわかりませんが、為政者となるには本国?スペインに留学することがステータス。弟のディエゴは父親からの指名でスペインに行くことになります。本人にはその気がなかったので辛い別離ではありましたが、エリートコースに乗ったということ。兄のラモンがロサンゼルスに残ることになって、この作品の事件の引き金となるのは皮肉ですね。同性の兄弟の扱いは難しいです。



ディエゴの不安と自信

ところでディエゴがスペインに留学してから、おそらく数年後に(ローティーンからハイティーンへ)物語は飛びますが、この間少なくともはじめのうちは真面目に勉学や剣術に励んでいたのかについて、ちょっと気にかかりました。その時期の描写はなく、突然刹那的、享楽的な青年となっていたので、ルイサに助力を頼まれたとは言え帰国したところで実際の役に立つのか?については不安しかない。もちろん本人も「兄貴と闘うなんてムリ」と言ってますし、はじめはかなり尻込みします。兄ラモンはおそらく、こと剣術に関してはまっとうにみがいていたことは想像に難くない。そんな格上の剣士と戦うのですから震える思いだったかと。

自信は全くないながら、持ち前の「困っている人を助けたい」という気合だけで帰国を決意、悩みながら解決策をさぐります。ことこまかく描かれてはいませんが、「僕一人だけではヒーローになれない、みんなの力があって成し遂げられる」と言っていることから、おそらく町の地理地形の知識を得たり、危ない時は匿ってもらったり、複数の仮面騎士による陽動作戦などを駆使して(複数のゾロはたぶん心象風景でもありリアルとも解釈できるのだと思われます)、兄ラモンを追い詰めていけたのかも?と想像しました。

それが父がディエゴに見出した「人に愛される」才ということなのかと思います。



演者の熱演

とにかく熱量の高い公演で、フラメンコの群舞やコーラスがいくつもいくつもあります。


目立っているのが凰海るのくん。

前作のラズダズで助監督を演じて急上昇。今回は通し役でなく何役もやっていますが、フラメンコの場面ではソロで起点となるサパテアードを打ち始めたり、側転で場面を横切ったり、波輝くん(106)も前転を披露していますが、更にキレがあります。そしてコブシのきいたカンテ!ちょっと高めの声ですが、迫力のある歌唱をそちこちで披露しています。歌もダンスもこんなにできる人が、これまではあまり表に出てきてなかったのですね。どちらかというと小柄の方ですが、ポストりっつかもしれないと思い始めています。クセのある役もできそうな感じです。


もう一人、雪輝れんやくん。

平民役でもジプシーでも出ていますが、やはり特記すべきは神父様。たぶん毎公演違うしゃべり方でアドリブをかましていますが、今日はマチネが歯の抜けた年寄りのようなしゃべり方、ソワレが“カ”が「キャ」となるようにしゃべっていて、一言目が「どうしましたキャ?」。瑠風はこの場面、毎回気合を入れなおして耐えているらしく、今日も呼吸を整えてから椅子に座ったのがわかりましたが、やり取りを続けるうちにつられたのか?食事を届ける時間を聞かれたときに「ジキャンですか?」と答えてしまい、客席は大爆笑笑い泣き笑い泣き笑い泣きそれでも最後まで芝居を続けていて感服しました。


酒場での風色くんを囲んでの楽しいナンバー「one more beer」では、ワンフレーズずつ下級生が歌い継いでいきますが、誰一人滑らないという百点満点の出来栄え。コーラスの宙組の名を貶さないすばらしさでした。センター付近の達者さは言うに及ばず、本当に下級生まで粒ぞろいの実力に毎回感心しきりです。


いったん最後に


こんなに観劇を重ね記録を書いていても、まだセンター付近に具体的に触れられていないことに焦りますが、今日はいったん終わります。

最後に、瑠風がこれで組替になることが本当に本当に辛い!辛すぎる…

今回悪役ながら多くの人の心を鷲掴みにしたようで、瑠風のポストカードに「売切」のメモが付いていました。見込みが甘すぎでは?千秋楽にかけて、もっと入荷しておくようにしてもらいたいものです。