6/25(水)1300公演、JCBチケットの抽選で購入。
二階二列目上手。
幕は無しでした。
平日昼間にも関わらず、現役世代の男性客が多く目についてちょっと驚きました。
私は3日連続の観劇の最終日。

謝珠栄先生の作品と聞いて、つい構えてしまうのは私だけではないかも?
ロビーで開場を待つ間、近くで待っていた方たちの会話が聞こえました。
「昨日知り合いが見に来ていてね」「どうだったって?」「なんか難しかったらしい」「へー」「何も考えないで見たほうがいいかもね」…
感想があまりにも謝珠栄作品ぽくて、心のなかでひそかに頷いていました。
私は前作『ライラックの夢路』(雪組)で鍛えられましたので、ある程度覚悟して見ました。そのせいか思ったほどアレではなくて、むしろ拍子抜け。
しかしこれはネタバレ無しで書くのは難しいと感じましたので、自分の覚え書きとしてネタバレ全開で記します。
なのでこれから観劇でまだ内容を知りたくない方は、ここで引き返してくださいませ。
それと謝珠栄先生のファンの方にも、絶賛記事ではありませんことを先にお断りさせていただきます。
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導入は主演から番手順に登場。さらっと人物紹介的な(実際は紹介してません)、顔見せ程度のかんじですかね。あとから振り返るとこれがなかなかの伏線になっているので、もう少しゆっくり時間をとってもよかった気がします。
マイティと愉快な仲間たちって感じで、男役は真白くん、あのんくん、りせくん、奈央くんの4人組。娘役はひばりちゃん、二葉さん、風羽さん、花恋ちゃんとこちらも4人組。
ヒロインにきよらさん、友達ポジションがこっていで、悪役がりっつ。まぁ悪役は振り分け見たときからわかってましたね(笑)
作品を貫く象徴的なフレーズは、「すべては偶然でなく必然」。
舞台は1920年のイギリスのバース(保養地)、第一次世界大戦後の不景気な世情で、労働者たちが厳しい生活をおくっている一方、貴族や政治家など裕福な暮らしをしている人々もいるという社会背景がまずあり、移民の流入に不満がつのるという格差社会が描かれます。
ジーノ(こってい)はイタリアからの移民で社会の底辺で喘いでいるけれど、他に何か心に秘めていることがあるらしい。
そこに突然「イタリア統一(戦争)」というワードが割って入る。このあたりから(あぁやっぱり?)みたいな気持ちになります。『ライラックの夢路』が思い出されますね〜。社会派なんですかね?
労働組合とブルジョア階級の対立だけでも重いのに、これにまだイタリア統一(戦争)のような国を超え世代を超えた争いごとをかぶせるとは、いつものように盛り込み過ぎの予感しかしない。
ことはこれで終わらず、二幕ではスピリチュアルな事象も重なってきます。一幕終わりで、マイティが撃たれて生死をさまよっているとき、会ったことのない過去の祖父に乗り移り、イタリア統一運動で赤シャツ隊として戦って弟と共に撃たれて死んだのを夢の中で体感。しかもその弟というのが、実はジーノの祖父だったという衝撃の事実が明るみに!つまりマイティとこっていは従兄弟の子ども同士。(…だよね?)
もうこのあたりでいっぱいいっぱいな感じではありますが、とどめにまだ一芝居ありまして…社交場の執事をつとめていた秋奈るいが実は諜報部員、きよらさんはアヘンの違法取り引きの証拠集めをしていた調査員とのことで、マイティたちが演し物を装って悪役のりっつを追い詰めて、しょっぴくのに協力することになるという顛末。
それで題名のRed Stoneというのはそもそもなんなのか?というと、こっていが持っていた赤い石(トスカーナ地方の産出と言っていたような?)で、育ててもらった祖母にお守りとしてもらったものとのこと。きよらさんが拾った持ち主のわからないその石を、マイティが預かっていたことで、銃弾の直撃を免れて命が助かったといういわく付き。銃撃で半分に割れた石の片方を、マイティがこってぃからもらうことになって、とりあえず大団円。
…伝わったでしょうか?
こうして書いていても、頭の中がゴタゴタする感じはずっとあります。
たとえばこの物語を何も知らない人に伝えるとしたらどう言ったらいいか?
大筋としては「主人公が、なにか暗いものを抱えた人と偶然出会い、お節介をして関わってみたら、二人の祖父どうしは、実は戦場で命を散らした兄弟だった。その出会いは偶然ではなく必然だったのだ」
とでもなりましょうか?
ここにかなりのボリュームでイタリア統一(戦争)とアヘンの違法取り引きが絡んでくるので、説明が厄介になります。
それで一番言いたいことはなんでしょう?
盛り込みすぎたせいかボケてしまっているように思いますが、主人公が「人を喜ばせる仕事がしたいと、なぜかずっと思っていた」と繰り返し語るので(それが祖父の乗り移りのせいかどうかは別としても)、ボードビリアンとして生きる彼の芯であることはまちがいないのかな?
作品のメッセージを受け止めきれない中途半端な気持ちでした。
劇場を出ると、「あとでじっくり解説してね」と複数回見ているらしい同行者と話しながら通り過ぎる人がいて、わかりにくいお話しだったことは否めないと思いました。
さて、この作品から宙組組替となったマイティと二葉さん、きよらさん。これから協力して宙組を支える力となってくれることを期待しています。同じKAATでしたから、マイティの東上『銀ちゃんの恋』を思い出しました。当時はすごく緊張しているようでしたが、すっかり貫禄がついて、余裕が感じられて頼もしかったです。
終演の挨拶のとき、初組配属の最下級生の二人を紹介しました。
悠久颯くんと柚月翔くん。緊張と畏れ多さと嬉しさとで泣きしゃべりの颯くんを、ヨシヨシと見守る座長のマイティがとても優しくて明るくて、本当に微笑ましく見守りました。
組子揃ってのお披露目は9月。
経験を積んだマイティの存在感が大きいし、
どんな化学反応が起きるのか楽しみにしています。