4/16(水)1300、東京ブリリアホール

Q列(17列)のど真ん中。


見え方について悪名高いブリリアですが、ど真ん中だとさすがに見やすかったです。

よく観劇をご一緒するお姉さまと。

今日は都民半額観劇会にはじめて当選しました。年間4回の申し込みチャンスがありますが、5回目にて初当選。貸切ではありませんが昨日のソワレと今日のマチネでS席1000席が都民観劇会のチケット。年配のご夫婦らしき組み合わせが目立ちます。


時期によっては、人気の公演も多数用意されていて半額ですし狙い目ではあるのですが、ダブルキャスト等の場合、チケット捌きの良い日程では設定がない気がします。『フランケンシュタイン』は第一キャストは中川晃教、加藤和樹のベテラン勢で、今日のキャストは小林亮太、島太星の若手。

私としては朝夏まなと、花乃まりあが見たいのでどちらでもというところ。




(キャストボードは二階席6階の奥)


二幕で休憩20分入れて三時間。なかなかの大作です。

昨日も別キャストで観たという同行者によれば、こちらは韓国ミュージカルで、日本では再々演だとか。

2017年の日本初演ではまぁ様の役は濱田めぐみ、花乃ちゃんの役は初演、再演(2020年)とも、音月桂だったそうです。

「とにかく暗いから」という同行者の感想も含め、ミニミニ知識を入れた上でいざ!


※ネタバレ全開ですので、観劇を楽しみにしていたい方はご注意ください。




まずはざっくり一言…

いや、ほんとに暗い、病んでるわ。

救いようのない終わりだし、何から何までボタンのかけ違いどころか、そもそも「生命を作り出す」という出発点からまちがってない?天才というのは、自分にどこまでできるのかやってみたいものなのか?倫理観とか道徳観念はどこかに置いてきちゃうのかしら…

誰も幸せにならない物語で、例によって悲しくなるのでなくだんだん腹がたってきましたよ。ムカムカ


ホームページのビジュアルが、出演者それぞれに貴族風の装いとサーカス風の装いの二種類あって、なんじゃ(??)と言う感じでしたが、一幕と二幕では別人物(というか、別人格?)を演じていました。特殊メイクに近いものもあり、いったい誰なのかわからない人も。

この二幕で役を通してやっているのは怪物だけで、あとは全て別人格。それとも何か意味があるのかな?隠された欲望とか?あまり深読みする必要はないのかもしれませんが。

怪物が生きていくためにどんなに辛い目にあってきたか、「コロッセウム」という演し物小屋で人間扱いされず、闘士として使い殺しにされてきたという経緯が語られるわけなんですが、まぁ壮絶…殴る蹴るは普通。焼ごてを胸に当てたり歯を折るなど、人道離れし過ぎて吐き気がするレベル。

ここで花乃まりあ演ずる底辺で這いずり生きる娼婦が、とにかくすごい汚れ役。父親に犯され母親に小遣い程度で売られて、という設定。ひどすぎる…しかしどんな格好をしていても花乃ちゃんはかわいいわ。歌唱もたっぷり聞かせてくれました。

まぁ様はこの二幕では、コロッセウムの座長。残忍で拝金主義で、戦わせる闘士は金づるとしか思っていない。一幕ではフランケンシュタイン博士の善良な姉役だったが、後に怪物によって伯父を殺したかのように陥れられ、人々から責められて絞首刑となってしまう、という気の毒な女性。弟を信じて勇ましくかばう姿、一転して二幕では座長として悪逆非道を尽くす様はどちらも貫禄充分でした。さすがセンターを張ってた迫力です。

そう言えばこの二人は、宙組で一時期一緒でしたね。まぁ様が花組からきて、花乃ちゃんが花組に組替えとなったのでした。


同行者は、「今日の若手のほうが(ベテラン勢より自分は)よかったかな。怪物は加藤が迫力あったけど…」とのことで。

怪物はほとんど半裸と言っていいような恰好なのですが、背は高いしすごく鍛えていてガッチリしててビジュアル的にもおそろしかったらしいです。

今日の小林亮太•島太星はもちろん初見でして、小林亮太は『鬼滅の刃』などの舞台、島太星のほうはテレビドラマでの活躍が主たるもののようで、26、27才とまだまだ若い。歌唱はすごくうまいというわけでもなかったですが、すごい音の飛び方をする楽曲を、高ぶる感情を乗せて絶唱してて、おおむね好感がもてました。ピッチが外れてるわけでも、低高音が出てないわけでもなかったし、まぁこれからも場を得られたら伸びていきそうで楽しみですね〜。


もう一人気になったのがまぁ様より背が高く押し出しも立派な女性がいて、(だれよ?)と思いました。出演者のプロフィールをネットで調べてみると、177センチとありましたから栗山絵美さんで正解でしょうか?東京芸大の声楽科出身とのことなので、歌い手さんでしょうかね?ミス・ユニバース・ジャパンのファイナリスト(5位)であったそうです。


ほかには鈴木壮麻さん、松村雄基さんは脇を固める有名どころ。いつかどこかで絶対見ていますね。

鈴木壮麻さんはあっさり死んじゃうのですが、短い出演時間に(アドリブかな〜?)かなり客席の笑いをとって爪痕を残していました。もっと歌を聞きたかったですが、それはあまりなかったのが残念。

松村雄基さんは直近ではムーラン・ルージュのジドラーですね。お二人とも60代ですが、いつまでも若くてかっこいいですね〜おねがい


最後のカーテンコールで主演の二人だけが舞台に出てきた時、ぶつかり合うようにハグしあって抱き上げていたのに、客席から温かい笑いと拍手が起きました。なにしろ後半はほとんど、エゴと憎しみがぶつかり合う、残忍な復讐劇だったので、客席もようやくほぐれた感じで少し救われました。



向き不向き?好き嫌いがある作品のように思います。

ミュージカルと聞いて思い浮かべるようなものとはだいぶ違う。

ビクター(フランケンシュタイン博士)とアンリ(後の怪物)の友情から始まり、お互いを思い合う形で一人は死地に赴き、一人はその命を蘇らせたくて手術を行ったのにも関わらず、記憶を受け継がない怪物が誕生してしまい創造主を恨みに恨んでつけ狙う結果に。しかも本人を狙うのでなく、伯父や姉や妻など、本人にとって大切なものを奪ってやるという最大限病んでるやつで…どうしてこんな話になっちゃうかな…そりゃまぁスタートがまちがってたからと言えばそうなんだけど。物語の幕切れもなんとも後味が良くなくて、これを毎日演じている俳優さんたちの心の健康を祈るばかり。役を引きずる方もいると聞きますので、パッと切り替えができてるといいなーと思います。