4/9、4/10と2日続けての観劇。
骨折後まだ2週間ですし、電車の駅よりも近いバス停からバス利用やら、時にはタクシーも使って日比谷へ。
今回はショーのワタクシ的注目ポイント。
4/9(水)1800公演
お知り合いの方にご縁をいただいて、娘と。
一階16列下手にて。
この日のながめはこちら。

第四景『神がき』の歌うま神社
注目している方も多いと思いますが、毎週生徒さんが週替りで歌うので、(誰なのか、何の曲なのか)と楽しみにしています。リピート観劇の醍醐味のひとつ
この日は「‘か’の14番、風翔夕ちゃん!(107期)」でした。歌は『仁』より『My life ,Your life』。衣通姫(京三紗)の前に広げられる紙の上辺に「かざと ゆう」と書いてあるのが見えました。
マンガ原作、テレビドラマで先に放映されて、雪組と月組で上演された作品。大した興味なく出かけて、意外とおもしろかったという印象があります。振り返ると齋藤吉正先生だったのね。
次の新選組の場面の、羽織を脱いだスタイルでにこやかに登場。静かなイントロに続く温かい声の歌い出し。フィナーレのダブルトリオ常連の彼女ですが、本公演の舞台でのソロ披露は初。音楽学校の文化祭でもソロを取った実力者です。本公演で毎日歌うならともかく、9回の機会しかなく緊張感もあろうと思うのに、高ぶりもなく、気負いもなく実にナチュラルにじんわり聞かせてくれました。
週替りだとしたら、残り二週であと二人、あと二曲。真白くん、鳳城のあんくんの歌唱も聞きたいですね〜。演出の先生の意向で出演者はギリギリまで伏せられているそうですが、人材多過ぎて絞れないヤツ(笑)
第六景『いりあひのかね』、ダブルゆう
白塗りで黒燕尾という仰天の『LOVE』がありますが、ここで海軍の軍人とLOVEの男との間で、日々楽しいやり取りが行われているのにお気づきでしょうか?私が注目しているのは軍人の輝ゆうと、黒燕尾の風翔夕のダブルゆう。
兵庫ではただ話をしているくらいだったかと思いますが、今日は風翔くんがハイタッチした手を、輝くんがおしいただいて口づけしたり、、途中で風翔くんのステッキをパッと奪ってしまって、風翔くんの方は(あれ?あれれ?ステッキがない…)と慌ててみたりと、たぶん最近は毎回違うことをやっているのかも?その二人を注目しているとほかの演者が見ていられないのですが、きっとほかでも何か繰り広げられているかもと思います。実際目が足りません。笑笑
第七景『葛城』、手品と織史くん
全身緑色の葛たちが登場。見せ場は、式子内親王が逃げない理由に定家がハッと気がついて「私の執心だからですか?」と問うた時に、式子内親王を縛っていた葛が手品のようにパッと解けるところですよね〜。どこをどうグルグル巻いたのかは何回見てもわかりませんが、一つくぐるところを間違えたら解けないわけで、毎回(ちゃんと解けますように!)と祈ります。私が観た回で解けなかったことは今のところありません。105期以下の下級生たち、千秋楽までがんばって!
解けたあとも葛たちは二人に寄り添うように囲んでいますが、ひときわ目立つのが織史くん(107期)。一番前でなかなかの辛そうな姿勢ながら、終始たいそう雅な笑みを浮かべています。ほかの葛たちがわりにスンとしているので、つい目を奪われてしまいますね。
そして二日目、4/10(木)1330公演
旅行社の手配です。
半ドンの娘と待ち合わせ。二階4列目下手側。

第八景『いく世の花』
りせなるをフューチャーしての、衣装を見るに蝦夷と琉球王国が舞台の作品です。
なにしろここまで定家と式子内親王の恋を軸に進んできたのに、突然の違和感。ストーリーテラーのずんちゃんは、「日本にも許されたかもしれない恋があった。同じ時代だから、会ったことがあるかもしれないね」と一応話を繋いでいますが、明らかに取ってつけ。この間に主たる出演者が着替えをして、フィナーレとなるための時間稼ぎなのか?あるいは大先生に敬意を表しての忖度か?(妄想です)
演出の都合はともかく、(宝塚にこんな芝居もあったのか)と興味がわいたことは事実。
ずんちゃんの呼ばわる「判官九郎(ほうがんくろう)〜!」とは義経の別名。鎧甲冑の武士は義経ということですね。
実見はしてなくて手元で調べたところ、源義経のジンギス・カン転身説に着想を得た甲にしきへの植田紳爾先生の当て書きで、『この恋は雲の涯(はて)まで』(1973年)。時代設定は1190年頃。実質的な退団作だったと思いますが、実際にはもう一作出演した模様。甲にしきは私たちには東京宝塚劇場の支配人としてロビーに挨拶に立っていた小さなおばあちゃんとしてなじみ深いですが、昨年の夏、退任していらしたのですね。劇団の経営が低迷していた頃を支えたスターとして影響力は甚大だったようです。
なるくんのほうは『春櫻賦(しゅんおうふ)』で曲は『美海美島』。
1997年の雪組、谷正純先生で轟悠主演。琉球王国の若者龍山が捕虜となった家族を救うため薩摩に渡り、その後桜の北上を追う形で女歌舞伎の一座にまぎれて蝦夷まで旅をするという設定の話らしいです。なるほど〜(宝塚あるあるな感じです)。時代設定は1600年頃。これは定家からはだいぶ時代が下がっています。
当時観劇した方の感想を見ると、物語としてはかなり辻褄の合わないトンチキっぽいものの、舞台設営はすばらしく、錦絵を見るようだったとか。むろん轟悠の魅力全開、パフォーマンスは最高だったと。今月スカステで放送があったようですが、残念ながら見逃しました。
50年前、30年前の作品で、舞台はレアな場所であるもののいろんな意味で(意味深…)いかにも宝塚っぽい作品のようですね。谷正純先生は最近亡くなりましたが(意外と若くて72歳)、ずっと年長の植田紳爾先生はまだご存命。私たちは今も生き続けている長い歴史を目の当たりにしているというところでしょうか。
110年、紡いできた舞台がこうして再び日の当たる場所に現れ、孫曾孫の世代の生徒さんが演じて受け継がれていくことは本当に稀有なことですね。
古いものが全て良いわけでもない、しかし全て悪いわけでもないといういまをどう泳ぎ渡るか、経営陣には腰を据えて頭を使って取り組んでもらえたらと切望します。
この美しさを後世にも伝えていくために。