3/14(金)1900、『マスタークラス』の初日を観てきました。

世田谷パブリックシアターにて。





初日を観ることはほとんどありません。取れないことが一番の理由ですが、今回はたまたまノゾミストで当選しました。

今日が近づくにつれて、本人でもないのに緊張が高まってきました。プロの心配をしてもしかたないのにね。


望海さんが『徹子の部屋』に出演したあと、日刊スポーツに黒柳徹子さんの望海さんへのメッセージが投稿されました。以下全文。


黒柳徹子さんからのメッセージ


「マスタークラス」をブロードウェイでみて、(海外コメディシリーズでいくつかの作品を一緒にやられていた)演劇集団円の高橋昌也さんに「マスタークラス」をやりたい!とFAXを送った。


客席と話をしながら自分と男性の話をほぼひとりで伝えるお芝居なので、難しい作品でした。
客席との掛け合いを面白くしないと退屈してしまう。ちょっと笑わせるところも必要だしね。

演出は、外国人の演出家(サミー・ダラス・ベイズ)が「屋根の上のヴァイオリン弾き」でちょうど日本にきていると知り、自分で頼みにいきました。
ブロードウェイの「マスタークラス」を演出していたわけではないけれど、演劇や作品のことをわかっている方なので良いと思ったんです。

学生役のうち、3人目がテナー歌手なのだけど、オペラではテナーの方が毎日歌うということは絶対にないので、数日経つと声がビリビリなってしまって大変そうでした。やってみて悪いことをしたなと自分でも思ったくらい(笑)。

マリア・カラスを演じるにあたって、彼女に関する本は全部読んだけれど、そんなに数はないんです。あんまりあちこちでしゃべっている人ではなかったんですね。その分資料は少なかった。


自分のやったオペラのタイトルを語るシーンがあるので、そのオペラ作品はビデオを借りて全部見ました。でないと、どこシーンについてのセリフなのかがわからないので。いろいろなオペラをやっていた劇場も調べてイメージしました。実際にあったことはなるべく理解してやったほうがよいと思います。ただ、すべてマリア・カラスが言ったことでできている芝居だとなっているけれど、実際にあったわけではないのかも?という箇所もあるので、そういったところが、実在の人を演じる大変さだと思う。


私の時は、コメディでできるところはコメディにしました。あんまり深刻にやってしまうと面白くないんじゃいかなと。台本を読んでいると、コメディでやれるところも何カ所かありますよ。

それから、マリア・カラスに見えるように付け鼻をつけていました。あの長丁場なので、途中で鼻を落としたら嫌だなと思いながらやっていたが、無事にできました(笑)。

当時、「幸せの背くらべ」と「マスタークラス」で読売演劇大賞をいただきましたが、きっとマスタークラスで獲れた賞だと思っています。

望海さんが音楽をやってこられたことはこの芝居を作るには損にはならない。「わかっている」ということは、わかっていないよりずっと良いと思いますから。何が、とはいえないが、マリア・カラスは音楽に関することしかほとんどしゃべらなかったので。

私は、友達でもある、マリア・カラスが晩年リサイタルを一緒にまわっていたテナー歌手のジュゼッペ・ディ・ステファーノに、電話していろいろなことを聞きました。マリア・カラスはどんなものを食べていたかと聞くと、インゲンマメをよく食べていたと教えてくれた。あとコウベビーフと言っていたので、日本に来た際に神戸牛を食べていたのでしょう。

日本でのリサイタルも聴きに行きました。マリア・カラスが引退を発表したあとに、日本の人たちがあまりにも優しいからというので、日本でならば、とリサイタルにきたそう。レコードでは聴けないこと-。マリア・カラスがどういう風に現れて、どういう人なのかを知りたくて聴きに行きました。

日本に来たときは、元々太っていたものをダイエットして半分の体重をキープしていたころで、エレガントだった。客席から渡されるお花の受け取り方、ピアノへの手の掛け方などの仕草の品が良い。こういうふうにするんだなと勉強になったけれど、太っていたときはそうではなかったそうです。努力の人ですね。

サナダムシダイエットで痩せたという話も本当らしいです。サナダムシについてはイギリスの貴族の友人に聞いたのだけど、痛みや心当たり、何事もなく痩せていくらしい。なんだろうと思って病院にいって調べたらサナダムシがいて、虫下しを飲んだら治ったということがあったそう。マリア・カラスはこれをダイエットに使ったんですね。望海さんは痩せる必要はないわね(笑い)。

お芝居は2幕にかけて難しくなっていく。生い立ちを話すシーン。オナシスとの子供ができたが、おろすように言われたという話のくだりなど。芝居としては面白いところだけれど、相当長いので、退屈させないようにしなければいけないと思いながらやっていました。

望海さんはきれいな人ね。マリア・カラスに似ている。鼻は、つけなくて良いわね(笑い)。


マスタークラス初日を拝見して


前述の黒柳徹子さんのメッセージを読んだ時は、いろいろわからないことがあったのですが、初日を拝見してみて、さすがに実際に演じた方の言葉だと腑に落ちました。


まず前提として、私はマリア・カラスその人については名前を知るのみ。黒柳徹子さんの舞台も当然観たことがありません。なんなら今回のあらすじや演出、他の出演者についてもほとんど無知で出かけました。


初見の驚きは、望海さんの声。

14列目の上手で拝見していたのですが、(え?だれ?)と思わずオペラで舞台上を確認しました。もちろん望海さんでした(笑)

ヘッドセットマイクは着けてないのか、見えないようにどこかに装着しているのか?生声だとすれば私は初体験。600席の小さめの劇場とは言え、3階まで声を届かせるのは至難の業。

もう一つの驚きは、そのセリフの膨大さ!

もちろんさすがにストレートプレイだとは知っていました。しかしこれほどとは!一幕め1時間、二幕目も1時間、しゃべり通しです。圧倒されるセリフ量、その上、単に朗読しているわけでなく演技もしているわけで、途中から口があいちゃいました。この人すごすぎる。

どれだけの努力、どれだけのポテンシャル、作品ごとに成長する向上心、尽きない演劇への興味とリスペクト。この作品でまた演劇賞をとるんじゃないか?と予想します。

まったく歌わないわけではありません。声を張り上げることはないものの、囁くように語りかけるように、セリフの中から切れ目なく歌い出したり。そんなときは息をしているのを忘れるほど、全身を耳にしていました。
パートナーとの掛け合いを一人芝居のように演じるシーンでの男性側のセリフは、男役を思い起こさせるトーンで、まるで現実にそこに二人が立って対面で芝居しているかのようでした。男役の経験は、彼女の財産なのだ、と胸が熱くなりました。

圧巻の初日を終えて、いえ、正しくは初日観劇を終えて(笑)呆然としてしまい、消化に時間がかかりました。
一夜明けて蘇ってくる感動をバネに出勤前にダダダっと綴りました。
また来週もう一度観劇の機会があります。
ノゾミストには5の1と手ひどく振られてしまいましたが、別途チケットが入手できました。初見の、意識が飛ぶような(寝てるわけではないですw)衝撃を超えて、落ち着いて拝見できたらと思っています。

取り急ぎ冷めぬうちに。