和物のショーからの、一転アメリカが舞台の芝居。

舞台となるのは華やかな映画界、のエキストラのはなし。

芝居には幕がありませんので、恒例の今日の席からの眺めはなしです。


主人公は早くに資産家の親を亡くした息子で、財産はおじが管理しており、受け取る条件がその娘(従姉妹)との結婚だが、それに反発して放蕩しているという、どこかで聞いたことがあるような話。そもそも成人に達している場合、自分が相続すべき資産を、たとえおじであれ相続になんらかの制限を設けることは禁治産者とかでない限りは法律的にはできないはずでは?と思うのですが、まぁそこんとこは置いとくとして…


主人公は映画スターのトニーと親友なことから、映画界や撮影所になじみがあり、エキストラのみんなとも面識がある模様。それぞれの人物との関わりはあまり描かれていなくて、ふわっと顔見知りなんだろうな〜という程度にしか接触がない。

ききちゃん、ずんちゃん、さくちゃん、もえこまでと、まっぷーさん、みねりちゃん、りっつには明確に役があり、ひととなりがあり、セリフもあるものの、こってぃ、ひなこ、あのんくんといった路線男役にはこれといった設定も、ろくすっぽセリフもなく、ほぼモブ扱いなのに驚き。かろうじて名前はあるものの、役柄も等しく「エキストラ」ですしね。今作では我慢役ですね。そんな中存在感を発揮するのが、撮影助手役の凰海るのくん。ガンコ職人の監督(りっつ)に気を配り、出演者の機嫌に心を砕き、あっちへすっ飛びこっちへ顔を出し、八面六臂の大活躍。なんかこの役、なんなら二三人配してもよかったんじゃないの?『今夜、ロマンス劇場で』の時は、スタッフがやたらたくさんいて、それはそれで多過ぎて笑えたけど。

撮影所がその現場になっている芝居は、『今夜、ロマンス劇場で』の他にも花組の『ラスト・タイクーン』、星組の『ベルリン、我が愛』などすぐにいくつか思いつくほど数々あって、それだけエンタメの関係者としては身近な場所なんでしょうね。今回はその中でエキストラにクローズアップした作品ですが、その割に(残念なことに)エキストラの書き込みが浅い。もちろん同じエキストラとは言っても、トップ娘役たるさくちゃんはちゃんと描かれてますけどねー。失礼ながら(背景や周辺まで書いてる時間なかったのかな?)と勘ぐったりしちゃう…

まぁとりあえず真ん中はちゃんと話にはなっていて、滞りなく大団円に向かって進んでいきます。

多少の波乱も予定通りで、その後の収束も想定内。なんの意外性もありません。安心と言えば安心この上ないですね。


配役が発表になった時、瑠風の役がシャーリーンでどう見ても女性の名前でしたので、(まさか女役?!)とザワザワしましたが、舞台稽古の映像を見るとスカートはいてますし、初日が上がってスチールも出て明らかになってみると、ほんとにほんとに女役で、映画スターということで役柄の衣装では冠も付けているため、そうでなくても背が高いのにひときわ、てか誰よりもでかい笑い泣きそれで実見してどうだったかと言うとですね、全く違和感なかったです。性格は悪くないがあまり賢くはない美貌のスターで、ちょっとお騒がせ女優というか、空気を読まないのが傍から見てると笑いを誘うという役でしたので、あまり女女してなかったのが違和感ない原因だったかなー。ただ本人的には、登場のたびに笑いが起こる状況はおそらく初めてだと思いますので、むしろそれを楽しんで演じていたらいいなーと思います。


一幕めの和物のショーでも、洋装にシャベ化粧という驚きのビジュアルでびっくりちょっとした黒燕尾と娘役群舞がありましたが、こちら芝居の方にもフィナーレとパレードが付いていて、二度おいしい感じです。

ショーの中詰ではなく、物語の終わったところで突然客席降りとなり、客席はジャズのリズムに巻き込まれます。宙組の客席降り、いつ以来でしょうか…少なくともここ4年はないかと。にぎやかなのにちょっとウルっとしました。

一本物でもないのに歌唱指導があり、ずんちゃん上手から、瑠風がドレスで下手から登場。どっち見たらいいのー?!と混乱。瑠風のドレスは芝居の時とはまた違っていて、なんとも豪勢なしつらえですね〜。

そして歌唱指導が終わると、先ほど客席降りからはけたばかりの出演者がロケットに登場。すぐあとに娘役の群舞があるため、学年が上の娘役は出られないので、なんと105期からの下の男役が多数参入。全体にでかい!(笑)大迫力。プログラムを見ると娘役はなんと109期の4人しか入ってない!そりゃでかいはずでした。でも男役の時と違ってみなさんほんとにチャーミング。なかなかロケットもレアな学年にもなってくるので、気になる生徒さんがいれば探してみるのも楽しみかと。


娘役群舞の衣装がステキ。体に沿ったスレンダーなシャーベットオレンジのドレスに、張りと光沢のある生地のピンクのオーバースカート。二色が見え隠れするのがなんともかわいい。男役群舞の衣装も、娘役と同じく光沢のあるシャーベットグリーンで、おそろいっぽくて萌えます。階段で思い思いに座っているだけでカッコよくてあっちも見たい、こっちも見たいと目が泳いで困ります。ちなみに瑠風はこの時だけ男役で出ていますおねがい

通常のショーのように最後にはデュエダンもあり、そしてパレード。安定のさよちゃんのエトワールから、最後のききちゃんを迎えるまで、まるでショーの終わりのよう。これ、芝居だったよね?とあらためて思い返します。舞台がクラブでBGMがジャズだからこそのショーとの溶け合いが自然で、切れ目なく入ってくるんでしょう。この流れは実にうまかったと思います。瑠風は芝居の女役に戻ってドレスで階段を降りてきます。勝手が違うでしょうから、(足元気をつけて)と祈りながら見守ります。膝を折ってのあいさつが不慣れな感じでなんともほほえましい照れ


幕が降りたあとも、「ご観劇ありがとうございました」のあとも演奏が続いて一曲楽しめるので、そのまま座って手拍子をしている人もいましたね〜

公演時間ですが、下記のようにお知らせされているものの、最後まで演奏を聞かないで幕が降りて普通に退出しても10分弱プラスの感じでした。遠征民は要注意。