行ってみたいなーと思ってましたが、アテンドがないと不安な界隈。

お値段もさることながら、どういう客層なのかとか、退屈しないかとか不安がいっぱい。

バレエに詳しい方の心強いご案内で、今宵バレエデビューを果たしました!(てへっ爆笑


12/6(金)1830

オーチャードホールにて、Kバレエの『くるみ割り人形』を。幕間25分含め2時間5分。

一階21列のやや上手寄り。


最後からの巻き戻しになりますが、まずはとっても楽しかった!キラキラ


と、これを踏まえた上で振り返って驚いたこと、気がついたこと、感じたことを素人全開で語らせてください。(_ _)


 Kバレエ

まずKバレエとはなんぞや?ということですが、熊川哲也のK(←たぶん)。K-BALLET TOKYOの創立者、芸術監督。正式な役職名はわかりませんが、演出、振付も行い、ジュニアを育てるバレエスクールも設立、敏腕経営者の顔も持つスーパーCEO。

イギリスのロイヤルバレエ団に東洋人としてはじめて入団し、その後プリンシパルとなった立志伝中の人。たぶんその頃(1990年前後)に成人だった人には、記憶のどこかに彼の名前があるんじゃないかなー。海外での成功を受け、日本でもちょっとしたアイドル並の人気があったような?特にバレエに興味のなかった私にも、その顔と名前がわかるほどのかなりの有名人だと思います。どんな人でも年をとるので、おそらく現役を引退していているのだろうとは思っていましたが、どこで何をしているのか?はさして話題にもならず、今回の観劇であらためて日本のバレエ界のために粉骨砕身していることを知った次第。自分の知名度を最大限に活かしてバレエの普及、発展を願って活動しているのを知ってジ~ン。現役の頃は、よく知らないのにイメージが(お高くとまってる)というか?むしろイヤミな感じがしていたが、、、と言うよりなにか感想を持つほどに興味がなかったという方が近いかも。

まぁとにかくそのアイドルだった彼も、いつの間にか52歳となっていて、後進の指導と業界の発展に心を砕く立場となっていたことに驚くばかりです。

さて前置きが長くなりましたが…(笑)はじまりはじまり。


 舞台の進行と出演者のこと

(魔物?の)鋭い爪が生えた足のある時計を大写しに描いた幕をバックに、舞台前のオーケストラピットで演奏が始まります。

〘出演者を誰も知らないのに、主役がどの人かわかるだろうか…?〙そこか?笑笑

※以下の文中で「?」表記が多いのをご勘弁ください。なにしろ知識不足でわからないことが多すぎて…

〘  〙のなかは私の心の声になります。


紗幕の後ろに天蓋付きのベッドが置かれているのが見え、ネズミらしき影が複数取り巻いているという不穏な雰囲気。

〘いや、ネズミでかくない?〙

人間がかぶりものしてるので、更に一回り大きい!


クリスマスの街の情景に続き、少女の家でのパーティーの様子。主人公の一人であるクララは、シンプルな薄いピンクのドレスをフワフワとひるがえし、パーティーの喜びや楽しさを表現。

〘とても小柄に見えるけど、子ども?それともサイズの小さめの大人?〙梅木那央さん、2023年高校卒業とのことなので、まだ未成年でしょうかね。


〘馬跳びで遊ぶ少年の足がピーン!とのびててすごい。これもはや、馬跳びじゃないよね?笑〙


〘クララ役に限らず、パーティー参加者の子ども役は小柄で(それともほんとに子ども?)、お父さんお母さん、プレゼンター(役名ドロッセルマイヤー)は大人サイズに見えるけど、体格が役付きに左右されるのか?子ども役が大きかったらそれはそれで変だけど…〙


〘ガス灯を消しにくる使用人とか、この場面では全然踊ってないけど、やはりバレエをやってる人なのよね?きっと他の場面では群舞に入ってたりしてる?〙

なにしろいつも宝塚歌劇を見るときは、センターを外れたベテランとか、駆け出しの若手を舞台で追っているせいか、立ってるだけの人やら、ソロがない人とかの動向が気にかかってしかたない。顔がわからないので、(あ、この人、ここに出てた!)とかも知れないので、一層気になる(笑)


一幕の最後は雪の精の群舞。

15人くらい?の雪の精がみごとな群舞を展開するのですが…

〘すご、豪雪!!

袖からも天井からも降るわ降るわ、とめどなく紙吹雪が落ちてきて舞台を埋め尽くす。

〘足元滑らないか??〙と不安でしかたない。


幕間の25分はたぶん、この雪の片付けに必要な時間だった(笑)ずーっと掃除機の音がしてました。


二幕では、どうやら夢落ちしたクララが人形の国でネズミの王と戦うくるみ割り人形部隊と出会う。

〘剣と、(ネズミは)クマデ的な武器でエアーでなくカンカンと戦ってるし!〙

そして倒れたくるみ割り人形を助けて仮面を取ると、美しい騎士が現れるのですが!

〘きゃ〜っ!美しい〜ラブ

まわりでも一斉にオペラが上がりました。



ジュリアン•マッケイ、27歳アメリカ人。

往年のクリストファー•ウォーケンに似てる!マスクを取った顔がこれって反則過ぎるでしょ。


そして登場するもう一人の主役マリー姫。

スラッと背が高く、手足が長く、主役の人がわかるだろうか?などと不安な気持ちで幕開きを迎えて申し訳ありませんでした!とひれ伏したいくらい、ヒロイン感あふれる方でした。日髙世菜さん。

同行者がバレエは足!と日頃からおっしゃっていたので、立ち方とか歩き方とかガン見しました。素人目にもひとつひとつの動作がムダなく洗練されていて美しいひと。

帰宅するバスの中で日髙さんを検索すると、熊川哲也をして一目惚れさせ、一足飛びにKバレエのプリンシパル入団という逸材らしい。バレエにめぐりあって鍛錬するところまでは誰でも可能性はあるけれど、もって生まれた体というのはまさしく天からの授かりもので、ほんとうにバレエの神から愛された方に違いない。ギフト(才能、そして外見と身体能力)、環境、努力、、、いくつもの偶然が出会ってようやく花開くものなんでしょう。

すばらしいダンサーがいることは知っていても、実見することはめったにない。あらゆる意味で敷居が高いし、公演数も少なくチャンスもそんなにない。自分が自由意志で動けて、観劇に割ける時間とお金があるかもカギ。そんななか、この一期一会は幸運だったと思います。もちろん日髙さん以外にも才能あるダンサーはいるでしょうが、私がその方々を頻繁に見られる可能性は多くはない。今日の舞台との出会いには感謝するばかりです。


そしてフィナーレ。

〘ミュージカルと違って、下位から主役へと一人ずつ登場して挨拶するわけじゃないのね。〙

彩りの様々な華やかな衣装で揃って舞台に立つ出演者。

この辺り、宝塚歌劇やミュージカルのフィナーレとおなじみの雰囲気があり、〘もしかしたらこのあとのバレエ作品もいけるかも?〙と僭越ながらふっと思いました。

二回のカーテンコールのあと、ソリストのみなさんがカーテンの隙間からグループごとに現れ、挨拶するのも楽しくて、特に受けていたのがネズミグループ。長くて細いシッポが妙にリアルでしたね。前が見えにくいのか、演技なのか?行列が詰まってギュウギュウにぶつかり合うのもなんだかかわいかった。王様は男性ダンサーだと思いますがついに被りものを脱がず、お顔もわからずじまい。〘他の場面で他の役で出ていたのかな〜?〙

最後のカーテンコールで客席が立ち上がって拍手をおくっていると、パーン!と大きな音とともに金銀のテープが降りそそいで宙を舞い、大盛りあがり。通路より後ろだった私の手元にも落ちてきました。

そして舞台の天井からは『MerryChristmas、良いお年を』の看板が降りてきていました。


 舞台装置と衣装

なにしろ他のバレエ作品を見たことがありませんから比較しようが無いのですが、なんでも職業が選べたら何になりたいか?という質問に「大道具」と即答するワタクシとしては、装置、美術はとても満足できるものでした。セリや盆こそありませんが、クリスマス頃のヨーロッパ(舞台はドイツのニュルンベルクらしい)の雰囲気や、二幕の人形の国のセットも、いかにもオモチャっぽい夢に溢れた造りで没入感がありました。

二幕の世界の国々の踊りをするソリストたちの衣装は、説明がなくとも国がわかるようになっており(正しくはないかもしれないが、我々の思うその国の特徴を掴んでいたという意味で)、それぞれに楽しい踊りを堪能できましたし、この場面で特に私の目を引いたのは王様と王妃様の豪華な金色の衣装でした。このお二人は重い衣装を着ているので踊ったりはしなかったのですが、王妃をエスコートする王様や、衣装をさばいて階段をのぼる様がため息が出るほど美しくて、下で繰り広げられている民族衣装の祭典を片目で見ながら、バルコニー席にいるお二人をチラ見するという高度な技にチャレンジしていました。お年頃的にはソリストでガツガツ踊る時期を過ぎ、Kバレエの重鎮的な方(宝塚歌劇で言えば組長のような管理職?)なのかと推察しましたが、最近は何によらずプログラムを買わないので正しいことはわかりません。


 客層

いろんな舞台に違わず、女性客が多いのはバレエもいっしょ。日本の舞台は女性が支えているのよね〜。

チョイチョイ見かける年配の男性はいろんな方面の関係者ですかね?(→つまりは仕事がらみ)。「ブラボー!」などの掛け声は、決まって男性の声でした。

お子さんがそこそこ来ていたのも客席の特徴だったでしょうか。おそらくはバレエを習っている男子やら幼児(男女)やら、正規料金でなく、なにか子ども向けの優遇があったかもしれませんが、親の気概を感じますね。もちろん子どもの向上心も必要ですが、一流を身近に見て将来のバレエ界を背負うダンサーが生まれれば、これに過ぎる恩返しはありませんしね。

金銀のテープを拾いに小さい子たちが集まってきてました。こういうのなんだか楽しくなるのよね。


 思い出との重なりも

バレエを観てみたいという話になったとき、音楽的にも時期的にも『くるみ割り人形』はどう?という提案を受けて、即決でした。

どうしてこんなにノスタルジーを感じるのか自分でもはっきりとはわからないのですが、おそらく様々な時期の思い出が心の奥底に沈んでいて、くるみ割り人形には自分なりの思い入れがあったのだと思います。今年の夏ドイツ、チェコ、オーストリアに旅行したときも、絶対に買いたいおみやげの一つがくるみ割り人形でした。



上の写真はローテンブルクアプデアパウダーで、城壁に囲まれた町なのですが、昔はキコリが多い地域で、雪に閉ざされる冬に内職としてくるみ割り人形が作られていたとのことで、ショーウィンドウに大きな飾りを置いてある商店が多かったです。

最近ではドイツ以外で作られた輸入品が安く売られているとのことでしたが、私の購入した(下の写真)のはドイツ国産品のお墨付き。衣装はだいたい赤でしたが、ヒゲのあるタイプの人形が多かったですね。これを手に入れることができて旅行は大満足。

様々な思いが合わさってステキな舞台を観ることができて幸せな年の瀬でした。

ご案内の上お付き合いくださったお友達にはほんとうに感謝しかありません。(_ _)

また機会があれば別の作品も観てみたいと思えたのが、今回一番の収穫でした。

それにしてもバレエダンサーのwiki、不完全過ぎる。いろいろ知りたかったのに情報なさすぎです。

しかし残念ながら、これが今の日本のバレエのシェアを表しているのかもしれません。熊川哲也さんの努力が実りますように。


https://www.kumakawa.org/about/