11/22(金)1300、新宿シアタートップス
『ドロコン』を拝見。
4列目上手側にて
動機としては、留依まきせを見たい、という一点につきます。初の主演作、チケットも留依まきせ扱いで購入。
『ネバセイ』で卒業だった彼女の高い歌唱力は、ワンフレーズしか聞けなくてもいつも楽しみでした。『ネバセイ』で昇華したとして(←ワタクシの認識)退団でしたが、どこかでまた彼女の歌が聞けたらとは思っていました。一度『セーラームーン』で拝見しましたが、ちょっと消化不良な感じで、さりとてディナーショーはたとえ誰であれ嗜好が合わないので…
卒業後彼女のYouTubeを見てみたのですが、やはり素より芝居で見たいかなと思って今日まできました。
劇場は新宿。紀伊國屋の裏手でした。
公演はおとといが初日で、今日3回目。全12公演。
今日はだいたい6割弱くらいの入りでした。
チケットはカンフェティで登録もせずボタン一つで買えて5500円。予約してセブンイレブンで支払えばすぐに紙チケットが発券されて、いろいろハードルがメチャメチャ低い。
劇場は本多劇場グループという小劇場のひとつらしく、こちらはキャパ155ということですが、今日はこんな感じでK列まであって10席ずつ、110。席は増減可なのですね。

タイトルの『ドロコン』はドロ沼離婚裁判のことで、離婚というものは調停で解決することがほとんどで、法廷にまで持ち込まれることは稀なんだそうですが、その法廷が舞台。
留依まきせのインスタを貼りますね。
https://www.instagram.com/p/DCBJ1ofzoEp/?igsh=Z2RpMDBqenRqMDlr
出演者はどなたもはじめての方でしたが、みなさん舞台俳優さんでしょうかね?おおむね声量があって滑舌がよかったです。
まずいいことから。
留依まきせの歌唱は堪能できました。
【法廷コメディミュージカル】と銘打ってますが、いわゆるミュージカルのイメージとは違って、歌うことは歌うものの、昭和歌謡の替え歌合戦…と言えば当たらずと言えども遠からず(笑)
「三年目の浮気」「あの鐘を鳴らすのはあなた」などの替え歌で10曲以上は歌われています。まぁどんな歌でも彼女の歌唱力は健在。久しぶりで満足できました。
【法廷劇】とは言っても、検察と弁護側の丁々発止のやりとり、腹の探り合いのような緻密な組み立ては全くなく、被告人(留依まきせ)の弁護士に至っては、自分の感情ですぐに相手方に転んでしまうありさま。それがおもしろくもありましたが、これを法廷劇と言っていいものかどうかはちょっと疑問。大真面目な法廷劇と誤解して来場したお客さんはいないとは思うのですが。
法廷での宣誓の場面で、まず裁判長が原告に氏名を尋ねるのに歌うのが、『ガッチャマンのうた』「だれだだれだだれだ〜」というアレです。(おや?こういう系?)と若干戸惑いも。お客さんもはじめのうちはどこで笑っていいやら…という感じだったと思います。
そして被告側留依まきせの宣誓の時には曲は『我が名はオスカル』で、一般のお客さんには通じなかったかもしれませんが、コッソリ一人で受けてました。
その後も次から次へと昭和の歌謡曲の替え歌で、もちろんほとんどが知ってる曲なのでそういう意味ではおもしろかったのですが、ちょっと着想が素人っぽかったかな〜と。コメディというよりはお笑い?
あらすじは役名しのぶ(留依まきせ)夫婦の離婚を軸に、法廷内に何組かの恋人、元夫婦、不倫カップルが偶然集っており、当然ドタバタはしますが、お互いの関係や時系列がわかりにくいことはなく、90分引き込まれてあっという間。
最後には今ふうに「機械でなく人が裁くことの意味」をみんなで考え、「ものごとは一面だけでない」などの気づき的なものも盛り込んで、この裁判の「実は」の真実も判明して夫婦愛もよみがえりようやくの大団円かと思いきや、最後の最後でまさかのどんでん返しあり。収拾がつかずに終わってしまい、「続きはトウコンで」どこまで嘘かホントかわからない次回作の宣伝まであって、煙に巻かれてしまいました。
演者の方については、うまいな~と思ったのが裁判官を演った鈴木歩己さん。肩からずり落ちた法衣までが演技かな?
唐突にお腹にきた(トイレに行きたい)という演技を、10分以上続ける渡辺慎一郎さん。めっちゃ目が合って励ましの目線をおくりました。結局間に合わなかったらしい…(こういうのがお笑いネタっぽい)
キレた演技が秀逸の梅村綾子さんはとにかく濃い。あとから文学座の人だと知って納得。
書記官で狂言回しも務める赤松怜音さんはいつも苛ついていて強めの口調がとても印象的。歌は高音には自信ないのかも?この方に限らず、みなさんかなり歌うのですが、聞きづらいほどのことはなかったです。歌謡曲ですしね。
司法修習生役の中西彩乃さん、滑舌がいい。すごく聞き取りやすかった。
ナゾの女鈴木すずこ役の二宮響子さん、かわいいし、ミニスカから伸びた足がきれいと思ったらセーラームーンの女優さんらしい。突然出てきて場をかき回し、台風の目だったのにアッサリ退場。この後始末はいったい…?
新人弁護士役の石井博物館さん。この方もちょっとお笑い寄りの人かな?体が大きいのに反して自信なさげな佇まいで、最後の逆転ホームランにもオチがあるというズッコケかた。
原告(夫)の宮村アキラさん。最初から最後までキョドった感じで、好感がもてませんでしたが(スミマセン、つまりよく体現できてました)それなりの理由があったことが最後に判明。そりゃ、キョドるわよね。歌唱は堂々とは歌ってましたが、だいぶピッチが合ってなくて…留依まきせがいたわるようにカバーしてました。しかたないですよね〜、そりゃ彼女の方に分があります。
芝居全体として、女が強く、男がひよってる感じの色合いで、男性を笑いものにしたほうが平和なのかもしれないなーと思いながら見ていました。女性を虐げたり笑いものにしたら、作り物ではない過去がまだまだ身近過ぎて笑い事ではなくなってしまいそうです。女性の社会的地位が低い社会はいまだに続いていますから。