9/7(土)11時公演、

東京芸術劇場プレイハウス(中ホール)、

友の会で娘が当選

一階8列目上手にて。


今日明日各2公演で、明日が千秋楽。

非常に評判が良いらしく、楽しみにしてきました。

前日は、初日映像や稽古場映像、Now on stageを見て、ついでのことに月組全ツのほうの予習として、「琥珀色の雨にぬれて」(2017雪組全ツ)の映像も見て、当日を迎えました。

私にしては準備万端チョキ


あっという間に一幕終わって、楽しい気分で幕間。

二幕も秒で終わって、拍手のあと席を立ちながら周りのお客さんが「よかったね」「楽しかったね」と言うのを(うんうん)と頷きながら退出。幕間含めて2時間半、間延びもなく心地よいテンポ感で進み、意味不明の(ハテ?)の箇所もなく、短いながらおしゃれなフィナーレも付いて、ほんとに久しぶりでストレスなく作品を観られました。


プレイハウスは834席、後で友人に聞いたら轟さんの最後の舞台『婆娑羅の玄孫』はここだったそうです。規模感は大きからず小さからず、膝前も余裕があり、一列の横幅も短くて、一階は11列目?くらいから階段になっていたでしょうか、私のところは緩やかな傾斜でしたが、それほど前のかたがかぶることも気にならず、快適に観劇できました。舞台の奥行きはそれほどでもないものの、舞台幅が広く高さも充分。サイド席も見切れるほどではないようで、観客にとってはいい劇場と感じました。


見終わってほんとに良作だったと思いましたので、もっと大きいハコでできればよかったなーと。劇場の予約もたいへんなのでしょうが…

あとはバウでわずか8公演。あまり多くの方は観られないと思うと残念至極。


再演と正塚先生


1990年バウで初演、正塚晴彦作品。初主演の久世星佳、ヒロインは麻乃佳世。久世星佳ね〜、実見は『Heli-x』の司令官役でのみ。凛としてかっこよかったな…天海祐希時代の二番手だったとのこと。映像でも未見です。34年前ですね…

フライヤー(上)とプログラム(下)の表紙↓








正塚先生、脂の乗った頃の作品でしょうか、テンポもセリフもいい流れで、たびたび客席から笑いが起きて、直近作品の月組『消え残る想い』でモヤモヤしたことを思うと、別の人が書いたような気すらするほど。(失礼を承知で敢えて言いますが、正塚ファンの方には申しわけありません(_ _) 創作活動にはやっぱりピークがあるのかな…。正塚先生も今更大劇場に引っ張り出されるとは思ってなかったかもしれません。

それにしても110年の歴史を誇る宝塚歌劇。まだまだあまり知られていないステキな再演作品が眠っているのでは?柴田先生ばかり繰り返し持ち出さないで、その発掘にも取り組んでほしいものです。


東京は千秋楽間近ですが、これからまだバウ公演、配信も18日だそうですので、ネタバレがイヤな方は閉じてくださいませ。ただ、実際に見ないとわからないことは多いと思いますので、以下はザックリあらすじとか雰囲気とかをお伝えできるだけではないかと思います。


あらすじと配役について


さて、Bluff(ハッタリ)という作名の通り、騙し屋(詐欺師と言い換えても大きな間違いはないと思います)集団の復讐劇。詐欺も犯罪には違いありませんが、(相対的に)より大きな悪に立ち向かうという点で、主人公サイドはギリ正義を標榜する立ち位置です。

風間くんドノヴァンたちの騙し屋仲間、佳城くんメンデスたちのマフィアチームという大きな二つのチームの対立で、独立した場面として、メンデスとアイリーン(みちるちゃん)夫妻の掛け合いが織り込まれ、ほかに、ロジャー(彩海せら)とシャロン(花妃舞音)の姉弟の関係も複層的にかぶさってきます。もちろん、ドノヴァンとシャロンの恋模様もウインク

あみちゃんロジャーは、話の大筋に絡む立場ではないものの、マフィアの周囲のチンピラの生きざまというような時代をうつす象徴的なアイコンとして、所々にその存在がちりばめられていて、異彩を放っていますね。なんといっても、間合いが最高にうまい。毎日同じことをやっているのだろうに、毎日笑いがとれる。マジメになりきっているからこそのおもしろさ。冒頭のシャロンとのやり取り、ドノヴァンとのからみ、キティへのアプローチ、どれも心底から発せられるセリフなので観客のツボに入る感じ。 


筋書きとして難しくはなく、登場人物も作り込みが緻密で、すぐに芝居に引き込まれていきますが、観客も佳城メンデスと一緒に騙されるというのが痛快な感じでして、舞台裏を見せられているはずなのに、最後の最後にどんでん返しを知らされるというので、(してやられた〜)と額を打つカラクリになっています。

変装している風間くんが実に巧みな芝居で、そのあたりも騙される観客も多いと思うのですが、それどころか、観客にも伏せられている伏兵が複数いるため、誰が味方で誰が敵かは、完全に伏線が掴めて見ている初見のお客さんはごく少ないのではないかと思うくらいよくできています。


たぶん多くの方がその魅力にあらためてやられたのでは?と確信するのが、佳城葵さん。元々達者な役者さんですが、今作では妻のアイリーン(みちるちゃん)との恐妻家らしいやり取りがおもしろすぎて、かわいそうすぎて、おバカすぎて、笑いがたくさん起きていました。みちるちゃんも前作『消え残る想い』のエゼキエル役に続いてエキセントリックな女性を演じますが、前作の詐欺師まがいの霊媒師よりも更に、肝のすわったマフィアのボスの妻でゴッドファーザーの姪という最強の妻。みちるちゃんは作品ごとに全く異なる表現をする役者さんで、ほんとにみごとな化けっぷり(→ほめてます)。対する佳城さんも負けず劣らずの丁々発止(というより状況的にはみちるちゃんからの一方的な謂わば丁々丁々www)の火花を受けて、結局は自爆するという、もう笑わずにはいられないおもしろさです。これからご覧のかたは、この二人の登場をぜひ楽しみにお待ちください。


気になったこと


良作だとは思うものの、三つだけ気になったことがあり、自分の覚え書き。

一つは繰り返し歌われる歌の歌詞「シナリオはロングバージョン」というリフレイン。プログラムも買ってないので確かな歌詞もわからないし、正塚先生の作品の着想や意図も不明なのですが、その部分だけ耳について、(なにがロングバージョンなのか?)と都度考えました。

もう一つは偽ダイヤを作るという機械の面構え。もちろんそんなものは現実には無いので完全に想像の産物ですが、なにかの操縦装置か、発射装置かのように見え、筋書き上おそらくは偽ダイヤに絡む装置だろうとは薄々思いながら見ていましたが、ちょっと妙な構造のように思えました。


そしてシャロン!

(Sharon) ならイスラエルの姓

 由来はヘブライ語で「森」

(Châlon) ならフランス語圏の姓

 カロンと読めば、三途の川の渡し守の名前

(Sharon) 英語圏における女性名


月組のもう一方、全ツのヒロインの名前もシャロン(天紫)です。

両方とも再演で、初演の年も演出家も異なるのに、同時期に同組で、同じ名前のヒロインとは!なんたる偶然。

よくある名前なんじゃないの?と娘。

う〜ん?有名な人でパッと思い浮かぶのは女優のシャロン•ストーンですが、他には思いつかない。偶然の思いつきが、今重なり合ったということか!

と妙になにかの必然を感じてしまいました。


明日はもう一方のシャロンに会いにいきます 

新幹線後ろ新幹線真ん中新幹線真ん中新幹線後ろ新幹線真ん中新幹線真ん中新幹線後ろ新幹線真ん中新幹線前