8/17(土)1230

19列目上手、娘と。

ご縁をいただいて。my楽となりました。


お隣がヅカ友の同級生だったり、ほかにも知り合いに会ったことが感慨深い日でした。

劇場に通い始めた頃はいつも一人観劇で、お友だちと楽しそうに話している他の方が羨ましかったのが思い出されます。感想や感激を語り合えたらいいな〜とか。チケットを入手するのさえ難しいのに、どうやったら二人以上で観劇できるのかしら?とか。

そんなこんなで数年経つうちに、あちこちに繋がりができ、たまたま隣り合わせた見知らぬ方と連絡先を交換し、ヅカ友の同級生と何十年ぶりかで奇跡の再会を果たし、おもしろくなさそうに連れてこられていた娘が、(情報収集面では)私を上回るヅカオタと化し、、、いろいろなことがありましたね〜

宝塚の歴史を振り返るレビューを観ているせいか、私自身のヅカ歴にも思いをはせるきっかけとなった気がします。


本日の眺めはこちら。





兵庫での息ができないような緊張に始まり、東京にきて一ヶ月あまり、47公演がもうすぐ千秋楽を迎えようとしています。

正直今回は観劇を控えようというかたや、もう宙組は観ないというかたもあったことは否めませんし、ショーだけじゃあまり食指が動かないという向きもあったと思います。価格的には(芝居がないので)通常公演よりだいぶディスカウントしているため、リピートしやすかったのと、東京は公演期間も長かったので、チケットは割に買いやすく、観たいと思う人は思う存分に観られたのでは?おけぴでもだいぶお譲りが出ていたようです。東京での劇場内の関西弁率が他組と比べて高く感じました。やはり兵庫での公演期間が短かったせいで遠征するかたも常より多かったのかもしれないですね。


観劇の都度全ての席を確認できてはないですが、さすがに連日満席というわけにはいかなかったようです。現時点で公式の一般販売は売り切れているものの、途中途中には戻りチケットも出て、東京には珍しいことでした。8/17のマチネでも近くに空き席がありました。

それでも、それでもです。ショーだけで東京50公演近く、ほぼ満席に近い状態で走りきれそうなのはほんとに大した事だと思います。釈明も謝罪の場も与えられず、舞台に立つことでしか気持ちを表せなかった生徒さんたち。彼女たちの葛藤やストレスは外からは見えませんでしたが、何もなかったわけはないですよね。兵庫での緊張だけではない、決意と集中力と団結力が伝わってきていました。


この公演にあたってすごく力づけられたのが、演出の齋藤吉正の宝塚愛でした。正直これまで、自分のやりたいことに突っ走る、ともすれば空気読めなさ的なものが苦笑レベルの作品もあったと思います。アイドル方向に振れ、型破りもときにやりすぎでは?感じる私には、齋藤先生のぶっ飛んだ感性が受け入れがたいこともあって、(ハイハイ)と心のなかでかぶりを振りながら鑑賞することもありました。

しかし『ル・グラン•エスカリエ』を観て、昔の宝塚作品についても本当によくご存知で、その上で自分のやりたいことに挑戦なさっていたのだな〜と認識し直しました。今回宙組作品を手がけるについては、内外(主に外?)からもしかすると批判やら攻撃やらあったかもしれませんが、その干渉をはねのけ、結果的にすばらしい作品を仕上げてくれたことに感謝します。数々の過去作品から浮き上がるイメージの膨らみ、場面ごとに緩急をつけ、沈み込んだり弾けたりする場面を交互に配し、ときには物語を繰り広げて飽きさせない。最後の最後まで、よく知られたテーマソングのオンパレードで、私も(映像も含めても)すべての作品を観てはいないものの、耳に残る曲の数々、道を歩いているときや、電車に乗っているとき、はては仕事中にさえ、『ル・グラン•エスカリエ』がいろんなタイミングから頭の中で再生されて、ニンマリすることもしばしばの夏でした。

ききちゃんは長かった二番手時代、ダークなキャラが多く、それもまた魅力的ではあったのですが、(そうそう、そう言えばこんな人だったよね)とあらためて思い出したのがニューヨークの場面。キャップにラフな装いの、陽気な青年が似合っていました。このあたりも上演を重ねるにつれ、だんだんリラックスしてきたように思います。齋藤先生の構成は神がかってましたね。客席降りこそなかったですが、銀橋を繁く使い、奥行きをより深く、生徒の膝をついた後ろ姿を見せることで、仰ぐ高さもより高く、広がりのある空間が強く印象づけられ、舞台を実にうまく使いこなしていたことに感動しました。

春乃さくらは言うに及ばずですが、ほかの娘役の活躍も目立ったと思います。これまでほとんどピックアップされていなかったここちゃんも存在感をみせていましたよね〜。場を与えられれば、こんなにも輝けるポテンシャルを秘めた素材がゴロゴロしていることに驚くばかり。男役のオマケでなく、自ら発光するチャンスがあるのは今の時代っぽいと思います。それを見出し、使うことも、もしかしたら旧来の宝塚ではタブー(というか、憚られること)だったのかもしれませんが、型破りな齋藤先生だからこそできたのか?

宝塚も伝統は守りつつも、変わるところは変わっていく、ちょうど潮目の作品となるかもですね。

次の宙組のバウ作品も、雪組の新トップお披露目大劇場公演も齋藤先生で、本当に大車輪。やりたいことはまだいっぱいあるのかしら?これまでと同様まっすぐな宝塚愛を注いでくださると思って楽しみに待っています。