5/16(木)1330

パルシステムの貸切、妹と。

二階A席8列目下手。階段のキワで、見通し良かったです。知人が手配してくれました。

私は花組はなかなか初日を迎えられませんでしたが、いざ開けたら怒涛の観劇ですびっくり




さて、三回目の今日はモヤモヤすることについて。

アップするまでに何日か頭を冷やしました。

別の感想ももちろんあるでしょうが、あくまで私個人の感じたことですので、まずはお断りしておきます。


今作をプラスマイナスで点数をつけるとすると


①トップがダンサーなのにショー作品(との二本立て)がない→マイナス1

②小池修一郎の一本物というご祝儀→プラス1 

③話の展開や会話の運び方が雑→マイナス1

③セットや衣装にお金がかかってない→マイナス1

④ダンサー兼振付師という役柄で、芝居上でダンスシーンがふんだんにある→プラス1


軽重は当然ありますが、全体に負け越しに感じます。

それでも観劇後にイーブンに持っていけるのは、出演者の熱にほかならない。本当に花組生には敬意を表したい。ステキな退団公演にしてくれてありがとう拍手拍手拍手



以下モヤモヤ4連発。

今作を手放しで称賛のかたは、どうかここで閉じてください。



ready?



モヤモヤ

初見から感じていて、未だ腑に落ちない気がするのが、聖乃の役。いや、腑には落ちてるかな、、、三番手に役が必要だった。しかしそもそもこの話に語り手が要るほど複雑だったとは思えないし、たとえ必要だったとしても、余計なことをこれほど喋らせなくていい。

お友だちとも話したことですが、

たとえばマルセルとカトリーヌとの往復書簡の場面で、上手にまどかちゃん、下手にれいちゃんが居て、マルセルの手紙を読み上げ「と、書いてありました」と言わなくても、互いに手紙を読み上げる録音を使えばいいことだし、(こんなセリフ要る?)といっそおかしくなりました。レジスタンスに参加することになったときにも、「ロベールに伝えました」とわざわざト書きをしゃべる必要ありませんよね?聖乃自身はもちろん台本通りにしゃべっているだけなのですが、本人的にはどんな気持ちかな?と気の毒に思わないでもなく…

芝居の中でわかる展開をわざわざ喋らせる意図はなんなのか?それこそセリフひとついくら、歌唱ワンフレーズいくらという歩合だからなのか?と疑義を抱いてしまいました。


モヤモヤ

帰りが遅くなったアネットがドイツ兵にからまれているところをフリッツに助けられた時、彼女が唐突に「水が飲みたい」という真意は?緊張からなの?お酒を飲んでの帰り道なら喉も渇くかもしれませんが、こんなときはとにかくすぐに帰りたいもの。(あなたの部屋に行きたいわ)という意思表示なのかとも思われますが、その割に態度が硬くて、とりつくしまもないのはなぜなんでしょう?まぁ結局はフリッツから仕掛ける形にはなりましたが。「パリジャンはもっとキスがうまいんだろうね」に対して「さぁ、どうかしら」はあまりに計算高い感じがして、一途で真面目な(ふうに見える)アネットのキャラとしては違和感を覚えました。

二人の初対面の時にフリッツが出した質問に、アネットが(フリッツの考える)適切な答えをしたときから、惹かれ合っていたのだとは思いますが、、、しかしそもそも「傷ついてパリに辿り着いたドイツ兵の求めるものはなんだと思う?」の問いに、「解放(?開放)」というのが適切な答えかどうかも私には疑問です。フリッツは(例えば「お笑い」のような)具体的な答えではなく、抽象的な概念を期待していたということなのか、それとも、はじめから好意を感じていたアネットの答えを「是」としたのか?このあたりもモヤモヤです。

それにしても、フリッツの純情なこと!


モヤモヤ

ジャズ(ここではスウィングと言われることが多い)をヒトラーが嫌っていたことは、複数の証拠資料にいき当たりました。下等な音楽として排斥されていたようで、まぁだからこそレジスタンスや体制に反発を抱く若者などには、逆に密かにもてはやされていたらしいです。しかし、ラテン音楽はOKということを裏付ける資料は、(どこかにあるのかもしれませんが私には)探せませんでした。「単にれいちゃんにラテン衣装を着せたかったんでしょ」と娘が言うのが、案外真実に近いのかもしれません。

このあたりはまぁ笑って許せる範囲だと感じてはいます。


モヤモヤ

マルセルとカトリーヌが互いの手に触れて「熱い」というやり取りが三回くらいあり、ここはたぶんベースがあって、毎回多少アドリブを入れていると思うのですが、えーと…申しわけないくらい全然おもしろくない。トップコンビも、 お客さんの反応をさぐりさぐりな感じかと。

この二人の会話ではもう一つ。マルセルの部屋で「座って」と言われたカトリーヌが、「(椅子は)一つしかないけど?」と返し「ソファにでも」「ベッドと兼用でしょ」というやり取りも、会話としてちょっと妙です。ル・サンクもプログラムもないので記憶違いはご容赦ください。


一つ一つは小さなことですが、喉に刺さった小骨のように気になって、集中できないこと甚だしい。


退団公演に小池御大の一本物というのは、退団するトップスターにとっては最大級の餞別には違いないと思います。だから愛するごひいきが大切に扱われた証左として受け入れられるのでしょう。けれど彼のオリジナルものがコケ気味なことに、目をつぶっている人が多いのもあながちウソではないと思います。

また様々な制約から予算もあるでしょうが、退団公演に豪華な舞台を期待していた一般的な観客にとっては、ちょっと肩すかしだったことも否めません。


モヤモヤはほかにもあれど、起因するところは初見に感じたことに尽きるような気がします。

しかしあれやこれやをハタにおいて、まんなかのれいちゃんとそれを支える花組生の情熱に、惜しみない拍手を贈りたいのもまた本音。大きなムーブメントを起こしたスターを見送れることは、忘れ難い幸せとなるのはまちがいのないところです。


次が最後の観劇の予定です。

様々なモヤモヤはいったん脇において

退団者の輝きだけをしかと見とどけてこようと思います。


ちなみに、特に宝塚のファンでもない妹の感想は「あの説明をしゃべる人は要らなかったんじゃない?」というもので(笑)。彼女が三番手ということを知ると、「そのうちに着替えて別の役で出てくるのでは?と思ってずっと見てたけど、芝居の中でちゃんとした役柄があると良かったね」と。

妹の直近の観劇はたしか、『はいからさんが通る』だったかと。奇しくもお披露目と退団公演を観ることに。

「A席で5500円は安いよね」と私が言うと、「あんまりいろんなものを観たことがあるわけじゃないけど、こんなに毎公演満席なのは宝塚だけなんじゃない?だから(そんな値段で)やれるんだよ」との分析。物価高やら、働き方改革やら、諸事ご時世を鑑みて、そろそろチケットは値上げの頃合いではないかなー。私たちも覚悟が必要かと思った次第。